VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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守らねばならぬ




食は命の支え。其れは知的生命体の生存行動

「しんさくができた!たべていって!」

 

シグモニア前線渓谷に置いたブリュバスから出て、無尽のゴルドゥニーネの八番目であり、サンラクや自分からしても『ヘタレ』を地で行くアルビノツインテール少女『ウィンプ』がエルマ=サイナを連れて、木製の皿に料理を乗せて持って来た。

 

盛り付けられた其れは、焦げ気味ながらも『確りと焼き目が付いた小判上の形』で、熱々のソースが掛けられて。付け合せの人参からは、かなり甘い匂いが漂い、其れが『グラッセ』である事が解る。

 

総じて此の料理はアーミュレット・ガルガンチュラのゼリーマテリアルを使用し、他の食材を用いて捏ねた『ハンバーグステーキ』に近い物であると、ペッパーは予想を立てた。

 

「コレは?」

「サイナにおそわってつくった、はんばーぐ?ってやつよ!」

「解説:アーミュレット・ガルガンチュラのゼリーマテリアルに様々な野菜と卵、そして調味料を配合して繋ぎとした、次世代人類種の間では非常にポピュラーな料理です」

「上達してますね………因みに味見はしましたか?」

「とうぜんよ!サミーちゃんにじっしょくしてもらって、だいじょうぶだったから!」

「補足:料理の味付けは足し算であると、ウィンプには伝えてあります」

納得(成程):よくやったな、サイナ」

充足(やったぜ):」

 

ドヤ顔のサイナが規格外特殊強化装甲の手で、尻尾の先で器用にサムズアップをしたサミーちゃん的に、ウィンプ渾身の逸品らしい。

 

アイトゥイルは警戒しているが、物は試しとテーブルに座りり、合掌しながら「いただきます」と述べたペッパーは、フォークとナイフを使って器用に切り分け、ハンバーグを口に運んで咀嚼。続けて付け合せのグラッセも食べ、暫し味わった後に飲み込んだ後に彼女へ言った。

 

「…………アーミュレットのゼリーマテリアルが無味無臭である点を除くと、食感はハンバーグ其の物だな。ちゃんとした挽肉を使えば美味しくなるよ」

「ほんと?」

「あぁ。グラッセは少し甘いけど、ハンバーグのさっぱりさと合わせるなら充分だね。強いて言うなら、塩と胡椒のパンチが弱かった。もう一振りか二振り入れても良いと思う」

 

アーミュレットを狩り、ゼリーマテリアルを調理して食し、また狩ってを繰り返せば、レベリングと料理技能の両方を上げられる。

 

美味しい料理を作れ、最適な休息が出来れば、必然的にモチベーションの維持にも繋がるのは間違い無く、モチベーションがプレイングに直結している事が多々有るので、常に高い状態を維持する事は大切だ。

 

「御馳走様でした。美味しかったよ、ウィンプさん」

「そ、そう!じゃあまたつくるわ!」

「頑張って下さい。あぁ、其れと出来上がった物が有るので、ウィンプさんとサミーちゃんさん、サイナさんに渡しておきます」

 

インベントリアを操作、エフュールが作ったツァーベリル帝宝晶のアクセサリー達を取り出し、ウィンプやサイナにサミーちゃんへと、見た目は黒衣に身を包む女騎士が女王陛下に品を献上するが如く、出来上がった品々を示す。

 

「前に手に入れたツァーベリル帝宝晶を知り合いのアクセサリー職人に依頼して、動き易く身軽ながらもツァーベリル帝宝晶の力が宿った物になりますので、どうぞ御使い下さい」

「あ、ありがと。えっと………」

「代理回答:誉めて遣わす」

「ほ、ほめてしゅかわす!」

『シュ〜』

 

途中で舌を噛んだ事に関して、ペッパーはツッコミをする事はせず。ノワが『グルルルル…………』と威嚇しているので、アイトゥイル共々思いっきり撫で撫でしまくった事で上機嫌となる。

 

イヤリングやネックレスの装着はサイナがやってくれるとの事で、ペッパーはアイトゥイル・ノワ・ヒトミを連れて彼女が構築したゲートを潜り、猫妖精(ケット・シー)の国・キャッツェリアに在る別荘へと飛んで、其処から当初の目的たる『黄金のマグマ』──────其れが採取可能な地域『グレイブヤード積竜火山(せきりゅうかざん)』へと向かい走るのだった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

環境とは時として、森羅万象に対して『選択』を強いる事柄でもある。特に生物に置ける弱肉強食では顕著となり、其処で生き残る為に生物が取れるのは、幾つかの選択のみ。

 

即ち足掻き藻掻いた果てに環境に『蹂躙』されて『絶滅』するか、或いは其の環境に『適応』した『進化』を遂げるか、其れとも其の環境を己の手で『塗り替える』形で己を『環境』としてしまうかの、大まかには三つの進化の形が有る。

 

征服人形(コンキスタ・ドール)のヒトミ曰く『新大陸の西側に行く程に、モンスター達の身体には其の特徴が顕著に現れる』との事で、此処は新大陸の『グレイブヤード積竜火山』に近付いたエリア。

 

空は活火山から噴き上がる灰を含んだ雲が日光を遮って時折灰が降り、岩と砂利に枯れ木と枯草が在るのみの、所謂『死の気配』が漂い始める場所であり、そして其の付近を移動していたペッパー達一行は、モンスターと遭遇していた。

 

「思った以上に『デカいな』、あのカメレオン!?」

「解説:種族名称は『コンバスティッカーメレオン』。自身の体内温度を上昇させる事により、対象を『熔断可能温度』にまで加熱した舌で捕食。及び外敵を仕留める『爬虫類型モンスター』だ、気を付けろ契約者(マスター)!」

 

コンバスティッカーメレオン………火山地帯が近付いた辺りで遭遇した全長『五十メートル』クラスの巨大カメレオンは、全長()()で見るならペンヘドラント大樹海地帯に居る『ドラクルス・ディノサーベラス』を上回る巨体を持つ。

 

相対してみて初めて『カメレオンと出会ってしまった哀れな蝿の気持ち』という物が、ペッパーは此の瞬間に理解出来たと言っても良いだろう。

 

「解説ありがとうございます!ヒトミさんは引き続き適性距離からの狙撃行動、アイトゥイルは俺の肩に、ノワは影を利用しての撹乱を!あの超高熱の舌伸ばしは『カメレオンの目が瞬きしたら直線』で、時計回しで『右からの薙ぎ払い』!反時計回りなら『左からの薙ぎ払い』の三パターン有る!其れと奴さんは『熱が全身に回ってる間はどうも視力が落ちる』らしい!其れから『尻尾だけ冷気』を纏ってる事から、おそらく冷却装置(ラジエーター)の役目を担ってる!」

 

カメレオンしかり爬虫類系の生物は其の殆どが『変温動物』である事が多く、自力で『体温調整が出来ない動物』だ。其れはコンバスティッカーメレオンも同様に、全身が発熱する中で唯一『尻尾の先から付け根部分』に掛けて、冷気を纏う形を取る事で自身が熱暴走(オーバーヒート)に成る事を防いでいるらしい。

 

「正攻法は尻尾を仏陀斬って熱暴走させるんだろうけど…………。コンバスティッカーメレオンよ、お前は『死神に斬られた事』は有るかな?因みに俺は有る、別の世界だけどね。ヒトミさん!」

「了解:目を狙撃します」

『グルッ!!』

 

ノワがコンバスティッカーメレオンの影に潜り込んで動きを封じ、ヒトミは狙撃銃で片目を叩いて目を閉じさせる。アイトゥイルが【華魔威断(カマイタチ)】で隙を作った刹那、レーアドライヴ・アクセラレートでペッパーが前へと踏み込み。

 

左手に握った秀刀(しゅうとう)白金(しろがね)】が死神の斬撃(デス・マサカー)のスキルエフェクトを宿した事で、黒いオーラを纏う一閃と共に静かに。だが『クリティカルの角度』で振り抜いた事で、コンバスティッカーメレオンの首筋から赤いポリゴンの放出によるダメージエフェクトと共に、傷口から『青黒く冷たいエフェクト』が漏れる。

 

()()、其れがお前に残された『最後の時間』だ。此方は逃げるつもりは毛頭無い…………だから『百秒以内に仕留めてみせろ』、無論此方も全力で抵抗するけど──────なッ!」

 

機動力強化スキルと機動力補助スキルを点火、コンバスティッカーメレオンとの死闘をペッパーは演じる。炎熱を纏う舌攻撃を回避し、空を駆け走りながらに尻尾や身体に斬撃を刻み付け、そして全身全霊の全力刺突の終極刺突(グルガ・ウィズ)で尻尾を突き破った瞬間、死神の斬撃の効果である『百秒後に確定即死』が発動した事で、コンバスティッカーメレオンの巨体が倒れ伏した。

 

「コンバスティッカーメレオン、超高熱の舌を伸ばして敵を焼き切る恐るべき攻撃を行う、巨大なるカメレオンよ。次に会う事が有れば、一対一(タイマン)で勝負をしよう」

 

礼を述べた後に崩壊したポリゴンを見送り、現れるはコンバスティッカーメレオンのドロップアイテム達。部位破壊をした事で尻尾の他に、表皮や目玉にカスクと舌が二種類落ちた。

 

「やったのさ、ペッパーはん」

『グルルン♪』

「御疲れ様だ、契約者(マスター)

「皆も御疲れ様です」

 

アイトゥイルとノワには撫で撫でしつつ、一羽一匹一機にマナポーションを飲ませて回復を行い、其の間に落ちたドロップアイテム達をインベントリアに入れ込んで、皆の下へと駆け足気味に戻る。

 

「尻尾は冷気を纏うから『氷属性搭載』で、舌は『攻撃用と捕食用』の二枚舌だったんだ。攻撃用の舌は『熱を吸収する事で攻撃の速度が上がる』………鞭とかロープ系の武器強化に使えるんだろうか?」

 

今回の目的を完遂した後にビィラックへと相談してみる事とし、暫しの休憩室の後に一行は再び火山へ向けて移動する。

 

其の足取りは素早く軽やかに、そしてひたすらに前へ前へと突き進みながら……………。

 

 

 






塞ぐ敵を打ち倒せ

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