進め、進め、進め
シグモニア
道中を阻む敵を討ち果たしながら、前へ前へと進み続けた一行は遂に、目的地たる『グレイブヤード
「此処が目的地、か。………しっかしでっかいなぁ」
「
轟々と燃えて黒い灰を空に放ち続ける光景は、まさにゲームに例えるならば『ラスボスが居る城にやって来た勇者一行』とも見て取れる。
尤も其の勇者は前衛偽装の元バックパッカーに王子様系女子征服人形、呑兵衛風来女黒兎とヤンデレ系最強種雌狼の分け身という、イロモノ揃いの一癖二癖では収まらない面子ばかりなのだが。
「こういう時は第一村人を探したりと、情報収集が基本だ。此の近辺に居る筈の『
各員に指示を出て隠し、ペッパーは近くの岩場に退避。
そして『スキル使用後の
其の範囲内ギリギリの所で『肘から先が鉱石に侵食されている身長130cm程度の少女が、周りを見渡し怯える様子で大河の水をバケツに汲んでいる』のを目撃する。
「………腕の部分が鉱石って事は、もしかして鉱人族か?」
「
「えぇ、目に関するスキルを使って。あと其の娘はどうにも『怯えてる』みたいなんですよね………」
「そりゃそうじゃ。何せ今の鉱人族は『単に
聞き覚えの在る声にバッと振り向けば、ヴァイスアッシュの『古くからの
そしてペッパーの中で、ウェザエモンやクターニッド、ジークヴルムとオルケストラ、リュカオーンにゴルドゥニーネにヴァイスアッシュと同じ…………『ユニークモンスター疑惑』を持つレベル200のヤバい存在──────『ポポンガ』だった。
「ポポンガさん、御久し振りです。何故此処に?」
「久方振りに鉱人族の作った酒を飲みたいんと次いでに、『赤系の
大型のモンスターが居るエリアで一体どうやってふらっとしていたのかは聞かないでおく事とし、
一先ず鉱人族の少女に会う為に、岩陰を利用しつつ距離を詰めながら近付き、道中でポポンガから情報を引き出す為にロールプレイを絡めた会話を展開した結果、赤系竜人族達は赤竜ドゥーレッドハウルから『奉仕種族の扱い』を受けており、赤竜の寝床にて生活をしているのだとか。
「聞けば聞く程にドゥーレッドハウルの『クズさ具合』が上がっていく…………」
「同意:」
「酷いもんさね」
『グルルル…………』
「まぁ儂から言わせれば、ドゥーレッドハウルは『小物じみたヤツ』じゃからの。まぁ其れでもヤツは当代の色竜が一角、もし戦うならば『決して侮る無かれ』じゃ」
「勿論です。『竜相手に嘗めて掛かれば、其の者の末路は死在るのみ』ですから」
ファンタジーしかり、どのゲームでも竜や龍は中盤から終盤の道中や、ボス系列に当たるモンスターが多い。そんな相手に最高打点の攻撃を行わなかった結果、逆にボコボコにされたというパターンは『ゲーマーあるある』の中に当て嵌まる。
そんなこんなで移動を続けつつ、周辺に敵が…………更に言えばドゥーレッドハウルが居ない事を確認。あと残り百メートル付近に入った所で、岩の隙間から『わざと』見付かる様にして顔を出せば、少女は驚愕と共にビクン!と小さな身は跳ね。
「久しいの『ミモリザ』ちゃんや、随分大きくなったな。
「あ、大賢者様…………!えっと、はい。『父ちゃん』含めて、皆元気です………」
ポポンガの口から出たのは、深淵のクターニッドを撃破してルルイアスから脱出後、船でフィフティシアに戻る最中にアラバから聞いた鉱人族の名前。どうやらミモリザと言う少女は、ガンダックの娘に当たる人物で。
彼女はカラメル色の鉱石に覆われた、褐色肌の赤短髪。オーバーオールとシャツの組み合わせからなる服装で、生活や鍛冶に使う水を汲みに来ていると見て取れる。
「ドゥーレッドハウル様に見付かったら、酷い仕打ちを受けるから………。ちゃんと居ない時を、見計らわないといけなくて…………」
「そうか、そうか………。実はな、ミモリザちゃんや。此方に居るのは『儂の友達』であり、ちょとした『恩人』なんじゃよ」
「えっ……………」
「初めまして、ミモリザさん。自分はペッパー………ペッパー・
「アイトゥイルなのさ」
『ワンッ!』
「カルネ=ヒトミだ、以後御見知り置きを」
名前隠しの効果をオフにして頭上に示しつつ、他のメンバーも含めて自己紹介をした所、ミモリザから「ヒエッ」と声を漏れた。インパクトが余りにも強過ぎたらしい。
「ミモリザさん。もしかしてドゥーレッドハウルのせいで、鉱人族の皆さんは飲水も満足に飲めないのですか?」
「………………はい。皆、日々を生きるのに………精一杯、ですから…………」
憔悴に無気力、希望が見えない暗闇…………そんな雰囲気を漂わせながら、ミモリザは答え。
ペッパーにとっては其れだけで──────彼女を含めた鉱人族達を『赤竜ドゥーレッドハウルの支配から救い出す』には、
「ミモリザさん、俺達をガンタックさんに。鉱人族の長の所へ案内して下さい。俺は
インベントリアから取り出した純白と金色の鏡面が輝く、星の願いと共に発露した、其の大いなる盾を握り締めながら──────ペッパーは力強く、ミモリザへと言ったのだった。
勇者は来る