未踏の領域
深海三強の一角、
そして最終的に其の力を振るっていたキメラモンハナシャコは、僅かな勝利の余韻を突いたペッパーが、其の身に纏う深淵のクターニッドに関係する一式装備の
其の素材を回収した所に深海の王ことアトランティクス・レプノルカが襲来し、王を失った廃罪玉座に襲い掛かり出したのを見て、ペッパーは喧嘩を売りに行って深海という圧倒的な敵優位を環境下で討滅し、再び深海深層を目指して更なる深みへと降り続けていた。
(未だ見えない海の底、何処まで続いているのやら…………)
『僕等は
ヴァイスアッシュからの御使いで、BC-ビーコン復活に必要だった三つのΔ装置を探しに、
地下に在った神代人類の一人・マッドサイエンティストの『エドワード・オールドリング』のラボに遺された映像の中で、噛ませ犬ながらも死する最後まで運命に抗った彼が、自信満々に述べていた言葉である。
其の言葉は『地の底』なのか『海の底』なのかは知らないが、其れでもエドワード・オールドリングは『災禍の根本』に気付いていたらしく、其れを
(ん……………?)
海中の水を弾き、潜り進み続けた果てでペッパーが見たのは、暗い深海の中に引かれた『境界線』で。本来ならば深くなると更に周辺は暗くなるが、其の場所…………所謂『海溝』であると共に海の底の底、海底へと向かう道は『淡く蒼白い光』が放出していたのだ。
(此処が…………深海深層へ続く道、か?)
ゲーマーの直感が『此処はヤバい』と叫んでいる。
おそらく此の先にヴァイスアッシュが言っていた
一時インベントリアに
(俺は開拓者だ。恐れるな、未知を楽しめ…………!往くぞ、覚悟を決めろ!)
インベントリアから現実空間へ戻り、意を決してペッパーは海溝の中へと飛び込む。蒼白い光が溢れる道を単身、下へ下へと突き進み、前へ前へと其の身は落ちて行く。
そして────────────
『規定潜水深度観測、条件達成』
『達成者プレイヤー名:ペッパー・
『称号【
此の時、此の瞬間。
淡く蒼白き一言で言い表すならば、深く蒼き清浄なる海の底。二号人類種にして
まるでBGMが掛かっていないホラー空間に放り込まれ、見えない敵の気配が常に身体に張り付き続ける気分を味わいながら、視覚・透視・感覚強化スキルを点火して見渡したが反応は無く。
今一度インベントリアに隠れて、万が一や億が一の可能性を考えて結果、全身装備中のマクティスシリーズを脱ぎ外し。女の身ながらインナーのみの真っ更状態(深海三強のアクセサリー+
深海の冷気に身体が凍え、吸い込んだ空気とスタミナが尽きるよりも前に、
海中で渦を巻きながら赫々と燃える
(成った、か──────ッッッ!?!?)
刹那自分の視界の端でキラリと一瞬『何か』が光り、全身の毛という毛が逆立ったペッパーは、アスカロンをインベントリに放り込んだ瞬間に其れを『見た』。
遥か遠くに薄っすらと映る『巨大な鯱の魚影』を。
だが其の存在の名を知るよりも前に襲い掛かった、海底の冷気を『一瞬で蒸し上げる熱波』と、接触した0.00001秒で体力を全損させる『圧倒的な衝撃波』でアバターを木端微塵にされ、海底から姿を消す事になったのである……………。
ペッパーを吹き飛ばして塵と変えた存在──────其の名を『アトランティクス・レプノルカ"
アトランティクス・レプノルカの
其の生態は深海三強の持つ能力を色濃く受け継ぎ、アトランティクス・レプノルカ由来のビームは『波動砲』と化し、アーコリウム・ハーミットの『捕食及び相対した対象の持つ情報の解析』と『対象に対して有効となるウィルスor自身を保護するワクチンを即時生成』。
更にはスレーギウン・キャリアングラーの様に『自身の分体達を無尽蔵に作り出し続ける』という、海中という領域下で出逢った瞬間、相対者の
あまりにも『強く成り過ぎた』事によって海中の環境を破壊し尽くす所か、最悪ルルイアスに迷い込んだ場合は都市やクターニッドに牙を剥き得ると『創世の神』に判断された王は、海底にて
そして王は此の日、己が居る領域に迷い込んだ圧倒的に小さな虫を見付け。嘗て喰らった『同族の気配』が漂う其の存在が、一体何をするのかと観察しながら静かに泳ぎ。軈て小さな虫が取り出した剣が深海の冷気に当てられながら、灯が照らされていくのを見た事で一つの『確信』を抱く。
何時の日か、此の小さな虫は。否──────小さな
己の放った光の余波で木端微塵に吹き飛んだ事を、産み出した分体で確認した三位一体は、再び静かに眠りへと付いたのであった……………。
神が封じた、最強の生物