ペッパー、栄古斉衰の死火口湖に往く
「マジかぁ………レディアント・ソルレイア君。お前、甲虫皇攻略の鍵だったのか………」
「とんでもない事になったけぇな…」
「そうさね、ビィラック姉さん…」
ヴァイスアッシュとの会談を終え、一度休憩室に戻った一向。ペッパーはアイテムインベントリから、ユニーク
レディアントシリーズの中に含まれ、ビィラックに依頼して製作したカテゴリーと同じ
試しに装着出来ないかと、レディアント・ソルレイアを調べるが、
「…要求ステータスが完全に『お前脳筋に成れ』と言ってきてるんだが…。まぁ首輪のお陰で手に入ったポイントを振って、レベルキャップに到達すれば装備は出来る…。けど敏捷とか器用にも、ポイント振りたいんだよなぁ…」
バックパッカーの使命を果たせるように成る為にも、敏捷やスタミナは必要だ。一応敏捷に関して見れば、耐久を半減させて敏捷を高めるボディパージや、ハイリスクだが敏捷と筋力を3分間だけ2倍に出来るオーバートップビートも在る。
「………まぁ取り敢えず、だ。栄古斉衰の死火口湖に行って、当初の目的である
「解った、任せとけぇ。其れとペッパー、わちも栄古斉衰の死火山湖に連れてっちょくれ。レディアントシリーズを見ちょったら、俄然完成形が気になってもうての」
万が一の事も考え、ビィラックにレディアントシリーズを預ける事にしたペッパー。栄古斉衰の火山湖に行こうとするや、父親と自分の話を聞いたからか、鍛冶師を引き継いだ者ならぬ兎として見届けようと、彼女は同行を申し出てきた。
「解りました。アイトゥイル、ビィラックさん。準備が出来次第、火山湖に向けて出発しましょう」
ビィラックはユニーク装備一式を鍛冶場に置きに行き、アイトゥイルは恒例となりつつある旅人のマントの中に隠れ。数分後戻ってきたビィラックは装備を一度外して、ファーコートに擬態する形でペッパーにくっ付く。
アイトゥイルが開いたゲートでサードレマの裏路地に出るや、試運転がてらスキル:オーバートップビートを起動したペッパーは、黒い線を描くが如く、街を駆け抜けて往き、僅か2分で
残り1分で出来る限り離れて、其所からはデメリット解除と
エリア・栄古斉衰の死火口湖には、大まかに『2種類』のルートが存在している。
1つは、火山内部に在る太古の時代の坑道を通り抜け、山の反対側に出た先で待つエリアボスにして、ガゼルの頭部にバッファローの角、山羊の毛皮と胴体を持つエリアボス・
字面だけ見るなら、後者の登山ルートの方が速くエリアボスに到達するのでは?と思う開拓者も多いだろう。しかしコレは大きな間違いで、此の栄古斉衰の死火口湖の山肌には、ペリカンの嘴にダチョウの身体をした『ブルックスランバー』なるモンスターが住み着いている。
此のモンスターの恐ろしい点は、プレイヤーを発見するとストーカーの様に地の果てまで追い掛け、捕まえると口の中にプレイヤーを頬張り、其のまま火口の淵まで運んだ挙句に、高い場所から湖の中に放り込むという、落下死不可避の恐怖が待っているのだ。
ならば、逃げれば良いのでは?と思うだろうが、此のペリカンダチョウ、序盤の敵としては驚異的なスピードと、無尽蔵に等しいスタミナを保有し、体力も馬鹿高いので序盤装備で狩るのは中々厳しく、更に言うと常に『5羽以上のコミュニティ』を形成して襲うので、見付かる=落下死確定ルートになっている。
よって『正規の攻略』をするなら、火山内部の入り組んだ迷宮の様な坑道を地道に進み、山の反対側に出てエリアボスと戦うのが、一番の得策なのだ。
「間近で見るとやっぱりデカいな、標高2000mは有りそうか?此の山」
「何時見ても大きいのさ…」
「ほんまじゃけぇ……」
『昔は生きていた』とされる火山、其の坑道入口近郊に辿り着いたペッパー達一向は、空に向かって聳える勇姿を見上げ、各々の感想を溢した。
「さてペッパー、ワリャ此処からどうする?坑道から炎水剛岩を探しに行くか?」
「鉱物は後でも探せます。けれど
「でも、其れが何処に在るのかはワイ等には解らないし、オカシラも教えてくれなかったのさ」
おそらくヒントは出すから自分で見付けてみせろという、ヴァイスアッシュからの見えない伝言だろう。しかしペッパーには、火山の何処に隠したのかが、ある程度ながらも予測出来ていた。
「ただ1つ、俺には機構が在る場所に『目星』が立っているんですよ」
「そりゃホンマか、ワリャ」
「ペッパーはん、本当なのさ?」
「はい。其れを説明しながら、山を登りましょう」
旅人のマントが風に揺れる中、ファーコートのビィラックと脇の下に挟んだアイトゥイルを連れて、ペッパーは登山を開始した。
「普通は山に物を隠す場合、土を掘って坑道を作り、罠を張って最奥の地に仕舞うのが一般的です。けれど、其れだと何れは、凄腕の開拓者に発見されてしまう。彼女はそう考えた可能性が在ります」
一歩ずつ山肌を進み、力強く斜面を踏み締め、少しずつ確実に上へと往くペッパーは、人が空を飛ぶ答えを世界に示した女性が、どのように考えていたかを推理する。
「ダンジョンやら未踏の地は、いつか誰かに踏破される…。其れもまた運命なのさ……」
「ならワリャ、あの人間の女は機構を何処に隠したんじゃ?」
「……此のエリアは昔、火口からは常に溶岩が噴き上がり、周辺地域一帯に大量の火山灰を降らす程の、凄まじい火山だったと聞きました」
考察クラン:ライブラリの記事では栄古斉衰の死火口湖は地層を調べた所、今よりも遥か昔に活火山だったという情報が出たらしい。
「溶岩が飛び散り、火山灰で前が見えない、そして何時噴火してもおかしくない状況。俺が其の『答え』の開発者ならば……『火口部分の壁面の何処か』に仕舞いますね」
「火山の火口の中…なのさ!?」
「な、そんな事しとったら『熔けて無くなる』けぇよ!?」
アイトゥイルは兎も角、ビィラックに至っては至極全うな感想だ。其れもそうだ……自然とは気紛れで、天気とて今の時代でも完全に予測出来る訳じゃない。1歩間違えば、空を飛ぶ答えが世界に甦る事は、2度と無くなってしまう危険が有るのだから。
「ビィラックさん、其所なんですよ。彼女はきっと邪な者に、答えを構成する他の要素が見付かってしまって、最後の1つが機構だけになってしまった場合を想定し、備えて居たのではないかと」
そうしてペッパーは、自分の推理を2羽に向けて語り出す。
「常に活動している火山には火山灰を含め、有毒なガスや高温の溶岩が飛び散る危険地帯で、まともに近付くことすら出来ない。仮に其れを乗り越えて来たのなら、何らかの『トラップ』を稼働させ、機構ごと持ち出した者を火山の中に落とそうとしたんじゃないかな…と」
心正しき者以外の手に渡るならば、自分の夢が二度と甦らなくなったとしても、其の者には決して渡さない。そんな彼女の覚悟が在ったのだと、ペッパーは考えた。
「た、確かに…。技術を悪用するかも知れんなら、わちもそんな決断をしたかもな…」
「あの人…そうなるのを考えてたなら、ヴォーパル魂に溢れた人なのさね…」
ヴォーパル魂が未だに何を意味しているかは定かでは無いが、人の持つ『心意気』や『気高さ』といった物が関係しているのだろうか?其れは何れ解る時が来るだろうと、ペッパーは其の思考を一度記憶の片隅に置いて、己の歩みを進め続ける。
目指すは山頂、昔は溶岩と灰と毒ガスが舞い満ち、今は静寂となった火口の淵だ。
幾つもの可能性を考慮すべし
レディアント・ソルレイア:ユニーク
ヴァイスアッシュ曰く、3つの要素を揃えずとも稼働はするが、現時点では眠っている状態にあり、ティラネードギラファとカイゼリオンコーカサスのドデカイ攻撃を受ければ、目を覚ますと言うらしい。
モチーフはジェネシックガオガイガーの脚を構成する、スパイラルガオーとストレイトガオーの変形・合体待機状態に、『ゼルダの伝説 ふしぎのぼうし』で登場するアイテム『ペガサスの靴』を、足して3で割ってカラーチェンジした様な見た目。
ブルックスランバー:栄古斉衰の死火口湖に生息しているペリカンの嘴にダチョウの身体をした鳥型モンスター。常に5羽以上のコミュニティで行動し、プレイヤーを発見すると警察犬の如く猛追。
捕獲するや火口の淵まで運んだ後、湖に目掛けて放り込む。捕まれば先ず脱出不可能&高所からの落下による即死が適応されるので、登山ルートでエリア越えをする命知らずのプレイヤーは非常に少ない。
モチーフは『ルーニー・ティーンズ』のキャラクターで、音速と幸運の疾駆鳥『ロード・ランナー』にポケモンの『ウッウ』を合わせた様なモンスター。