戦いに備え
「ふぁあ……………」
赤竜ドゥーレッドハウル討伐連合軍参加プレイヤーとの話し合いや連絡網構築に、ユニーク小鎚の兄弟達の強化を含めた下準備、サンラクからの依頼を受けていたり等で、此処三日間忙しい時間を送っていたペッパーは午後九時半にログインし、欠伸をしながらもラビッツの兎御殿に在る休憩室のベッドにて起き上がる。
「…………武器の強化、装備の状況、アイテムの残数。やれる事は全部やって来た、後は他のメンバーのやる気や準備具合も関係しそうだな……………」
新大陸へと向かう船は現在四日目であり、後三日で新大陸に到達する計算だ。果たして赤竜ドゥーレッドハウルを討伐した後に、ジークヴルムのユニークシナリオにどんな『変化』が起きるのか…………楽しみでも有り、若干の不安も有るのは事実。
鉱人族の話を聞く限り、赤竜ドゥーレッドハウルは『レイドボス疑惑を持つ存在』……………片手間で勝たせる程にシャンフロのモンスターはギミック込みだとしても、運営が重力含めた物理エンジン等に一切の手を抜かない以上、決して甘くない難易度なのは間違い無い。
他にもまだ参加出来ていない
「ペッパーはん!こんにちわなのさ」
『ワゥン!』
「
「アイトゥイル、ノワ、ヒトミさん、いよいよですね。無茶はしない様に頑張りましょう」
走り寄って来たアイトゥイルとノワに頭を撫で撫でし、淑やかに一歩離れた場所で御辞儀をしたヒトミを見つつ、ペッパーは立ち上がる。此の三日間でユニーク小鎚三兄弟の残り二本を強化し、ビィラックに頼んだ武器の修繕と強化に真化は今日で完了している筈だ。
善は急げとの格言が有るので、一羽一匹一機を連れてビィラックの鍛冶場に向かえば、やっと来たかと言わんばかりの、同時に良い物が作れたと誇る様にドヤ顔をしている。
「来たけぇ、ペッパー。ワリャが頼んだ武器の修繕に強化、そして真化も夕方に終わった。ほれ、先ずは直し終わった武器じゃな。耐久をバッチリ満タンにしといたわ。そして新造した
強化されたミリア・アティオンこと『
深海で使用し修繕された武器達を受け取りインベントリアに加え、続けて取り出すは万が一に備えてビィラックに作り出して貰った深厳戟響脚に冥王の鏡盾。
ミリア・アティオンはアルクトゥス・レガレクスの素材により赤みを帯びた上、光を当てると淡い虹色の光を返す密林地域で狩りをしていそうな、狩猟生活を営む民族じみた装飾を施され強化された手斧武器。
クリスタルナイフは深海のモンスター達の素材をふんだんに使用した事で、蒼い海が血脈の様に刀身に這いて水晶の透明感に、ある種の深みを与えた短剣へと変貌し、其の装飾にはアトランティクス・レプノルカの意匠が施されていた。
アムルシディアン・クォーツを真化素材とした事で、巨大となった鞘・鍔・柄の全てが一回り大きく深みを帯びた黒に統一され、嘗て店売り刀だった
其の刀は刀身が嘗ての二倍の長さ・刃幅・太さを手に入れた大太刀へと至り、鞘より引き抜いた刃には峰と刃の境界線が見えぬ程の漆黒と、見れば見るだけ精神を吸い込まれてしまう程に『純黒』。
そして朽ち果てた状態から再起の炎が灯り、深海の冷気によって照る程の状態に戻り、採掘しまくった
「凄い…………ビィラックさん、ありがとうございます!」
「うむ。今日は赤竜を倒す日じゃと、ペンシルゴンやサンラクにサイガ-0が言っとったわ。武器と一緒に生きて帰って来い、わちから言えるんは其れだけじゃ」
「……………はいっ!」
武器を受け取って深々と頭を下げたペッパーは、仲間達を連れてアイトゥイルが開いたゲートを潜り抜け、
地下都市ホルヴァルキン──────鍛冶と酒に精通した鉱人族達の故郷にして、鍛冶師プレイヤーや
彼等彼女等の目的はペッパーが協力要請を要請した『赤竜討伐連合』による、当代の赤竜ドゥーレッドハウルの撃破であり、移動を含めた消耗を抑えんとして此の地に呼び込んだというのが理由でも有るからだ。
「やぁやぁ、
『グルルルルル…………!』
「まぁな。武器の強化やアイテムの補充含めて、今の自分にやれる事はやりきったと自負はしてる」
先ず始めに此方に気付いて声を掛けたのはペンシルゴンで、開口一番独占欲を含んだ言葉をブチ噛ました彼女に、やはりというか様式美というかノワが喉を鳴らして威嚇をし。愛呪が刻み込まれた右手で、ノワを思いっきり撫で撫でした事で御満悦、そしてペンシルゴンを見上げつつ『グルン♪』とドヤ顔を噛ました事で、再びバチバチと火花を散らし合う状況となった。
「おーおー、相変わらず修羅場ってるなぁペッパーよ〜ぅ?」
「相変わらずバチバチですわ〜…………」
「
「そう、ですね………」
「黒幕魔王と夜襲のリュカオーンのサンドイッチとか、生きてる心地しないわ」
「修羅場」
「修羅場だなぁ……………」
そんな此方の状況に気付いてか、三日前に召喚された
皆の防具や武器が『新品レベル』にまで回復・新調されていたり、装備や見た目が変わっていたりと、まさに『男子、三日会わざれば
何より此の場で最もペッパーの視線を攫ったのは──────
「よぉペッパー、元気にしてたか?」
「イムロンさん…………背が縮んだし琥珀みたいな腕になっているし、どうしたんです…………?」
元は190cmは在った筈の背丈は150cmまで縮み、両手は琥珀の様なオレンジ色の金属が纏わり付き、顔には立派な髭を生やした男性アバター………シャンフロ最高峰の鍛冶師プレイヤーのイムロンが、何故か『鉱人族と同じ姿』に成っていたのである。
「コレか?ホルヴァルキンに在った施設で『
「……………ロールプレイ崩れてますよ?」
「……………種族なのぜ!」
リュカオーンの
ともなれば
「さて……………残りの戦力も呼び込むとしよう!」
仕上げに向けて