VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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残りの面子は誰になる




人よ、竜よ、英雄よ 其の二

「おぉ、ペッパーよ。既に準備は出来とるぞい」

「御疲れ様です。そして…………ありがとうございます、ポポンガさん」

 

前回ポポンガによって召喚が行われた場所に皆と向かえば、同じ様に魔法陣が地面に描かれ刻まれた其処で老ゴブリンは準備を整えていた。

 

「やっぱりポポンガって『ユニークモンスター』なのかなぁ………」

「いや、話聞いたけどジークヴルムとは『友達』みたいな関係らしいし、本人曰くユニークモンスターでは無いとか何とか…………」

「プレイヤーのリスポ地点を任意で変えられるって、正直やってる事は相当なんだがな………」

 

どうやら三日間の間にポポンガと会話していたのか、プレイヤー達のヒソヒソ声が耳に僅かながら届く。

 

ポポンガに耳打ちで其の事を聞いてみたペッパーだが、彼は「まぁ儂の魔法は、ユニークモンスターと見間違えられても仕方無い事やっちょるからの。今更気にしてもしょーがんし、別に気にも留めとらんわい」と軽口で返してきた。

 

「ウォッホン──────では、ペッパー・天津気(アマツキ)よ。御主が此の地に呼ぶ、有志達の名を想起せよ」

 

午後十時を過ぎた瞬間、ポポンガの言葉にプレイヤーやNPC、ドワーフ達の視線が蒼空を舞う勇者と老子鬼の大賢者の方へと向く。

 

現時点でポポンガとの個別好感度の観点から、他者より頭二つか三つは抜きん出ている彼が呼び込むプレイヤーによっては、自分達のアドバンテージの成否に関わる為に成り行きをジッと見守って。

 

「…………………決めました。今回呼ぶのは…………SOHO-ZONEさん、カローシスUQさん、キョージュさん、ヤシロバードさん、マッシブダイナマイトさん、Animaliaさん、SF-Zooのタンク五人衆、ジョゼットさん。そしてムラクモさんに……………ディープスローターさんを此の地に召喚して下さい」

「任せんしゃい」

 

其の声と言葉で紡いだ勇士達の名に、プレイヤー達はざわめいて。最後に述べたプレイヤーの名に至っては、サンラクとサイガ-0は明白(あからさま)に『嫌な顔』をしていた。

 

サンラクはディープスローターというプレイヤーが、嘗て魔法を創造するというゲームに置いてサービス終了に追い込んだ『悪辣さ』を、嫌と言う程に知っているからこその嫌悪感から。

 

サイガ-0は阿修羅会のPKer達によるサードレマの正門での襲撃時にやって来て、自身の想い人と親しげに話していた事を含め、何れ確実に己の恋路に立ち塞がり得る『敵』であると確信しているが故に。

 

「我、此処に乞い願う者。人の声に寄り添いて、勇姿を此の地に誘う者」

 

ホルヴァルキンの暗闇の空に掲げた杖を振り回し、魔力で出来たアストログラフが浮かべば、其れに比例して地面に刻まれた魔法陣が様々な彩りと共に光を放っていく。

 

「悠久なる空、果て無き地平、隔てし大海。境と世界を越えて、勇姿の到来を約束せり」

 

魔法陣から光の粒が溢れ、其の粒は粒子と変わり、粒子は形を成して人の形を作り。形作られた人の姿は立体を作る様に、魔法陣の内側に一人また一人と現れる。

 

「世界に生きる一なる星よ、砕けども再起する二なる星よ。我が友の声に応え、此の地へ出でよ──────!!!」

 

現われフィールドを見渡して慌てふためく者、知り合いを見付けて走り寄る者、そして此の一件を起こした者に詰め寄る者に分かれ、ペッパーが事情を事細かに説明する事で一先ずの収束に至るのだった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(何時の間にか変な所に御呼ばれされてたと思えば、サンラク君が居たのは良いんだけど、まさか『色々と』濃くて粒揃いの面子が揃ってるなんてねぇ…………)

 

此の場に集ったプレイヤー達に一通りの挨拶を済ませ、サンラクと付かず離れずの距離感に加え、サイガ-0に対しても『視線』を送っているディープスローターは、今回の一件を計画して他のプレイヤーに討伐対象の赤竜ドゥーレッドハウルの特色や特徴を説明する、張本人(ペッパー)を見ていた。

 

(プレイヤーを『召喚』する魔法…………朋友救助(フレンドワープ)がおよそ10分で効果切れなのに、10分経っても効果が持続してる。もしかして『リスポーン地点其の物』を、此の場所に書き換えたのかなぁ…………あのポポンガってゴブリンは)

 

彼女の思考の先で出した答えは、図らずとも当たっていた。問題なのは此れがスキルなのか魔法なのか、プレイヤー『にも』習得可能か否かという点。ポポンガの武器の形状や装束、他のプレイヤー達の会話から此れが『魔法』であると()()は出来れど、其の魔法は『魔法使い系最上位の賢者でも()()()()()なのか?』という一点に絞り込まれている。

 

ディープスローターの予想は大方『当たっており』、今現在はペッパーによって職業(ジョブ)星化(スターアップ)が可能となっており。其の条件が『特定の初期職か其の上位職時にポポンガと接触し、彼との好感度判定で一定以上の好感度を持つ事』によって、ポポンガの方からユニークシナリオが発生。

 

シナリオクリアを成し遂げる事で、セットされたジョブが強化、そして『星化された職業で習得可能なスキルや魔法を一定以上覚える事』で星化職就職者はポポンガからのユニークシナリオが発生し、クリアする事によって『更なるクラスアップ』が行われて星化最上位職に昇華。

 

星化魔法使い職の最上位たる『極星大賢者(スターラウズ)』に至ったプレイヤーは、ポポンガの用いる物のダウングレードには成れども、プレイヤーの召喚する魔法を『行使』出来るのである。

 

魔法使い系職業の最上位職たる『賢者』に到達したプレイヤーにとって、魔法という概念の習得はMPの消費量という以外に壁は無いに等しく。更には『魔法を納めた魔導書や使い捨て魔術媒体(マジックスクロール)の入手』が出来れば、如何なる魔法であれど習得可能であり、実質『全ての魔法を扱える』に等しいのが、今のディープスローターというキャラの特徴だ。

 

(サンラクを『御取り寄せ』…………あ、コレって所謂『デリバリー物』だよねぇ!好きな人の『ピー』を『ピー』出来る………って事!?やっばい、ドキがムラムラしてきちゃった!)

 

ディープスローター、本名を彬茅(あきがや) 紗音(しゃのん)。嘗て存在していた、魔法を創造する(マジッククリエイト)ゲーム────────『スペル・クリエイション・オンライン』を終わらせた元凶たる(悪魔)は、喜悦を含んで笑って(嗤って)おり。

 

そして其の視線に反応したサンラクは、悪寒と共に身震いをしたのである。

 

 

 






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