赤竜ドゥーレッドハウル 対 赤竜討伐連合軍
ペッパーによる砲弾突貫先制攻撃によって幕開けとなった、赤竜ドゥーレッドハウル討伐戦。スタートダッシュは開拓者達の連合軍が取った事で、其のままの流れで戦況を優位に──────進められていない。
「クソアメンボがぁああああああ!」
「挙動が速い!開脚度合いで包囲網抜けるとか、挙動が変態の其れじゃん!?」
「アチチチチ!?!」
『ギャハハハハハハハハ!!燃えろ!燃えろ!!燃えやがれぇやぁ!!!烏合の赤共に醜いチビ共、そして俺様に歯向かった醜悪な
ドゥーレッドハウルの見た目を一言で言い表すならば、『ドラゴンの頭と尻尾が付いた巨大なアメンボ』だ。肩から肘、肘から手首、手首から指先の四肢に至る其の全てが兎に角『長く』、全身の至る場所に在る突起から放つ炎を利用し、変幻自在に出力を調整する事で加減速を行える。
そして腹部の突起からは噴射する炎以上の大火力を以って、自分の下に居る者達を焼き払い、炎に巻かれてながら悶え苦しむ様を見て嘲笑い楽しむという、ペッパーからの説明で聞いていた『以上』の悪辣さで、赤竜討伐連合軍に牙を剥いた。
だが其れ如きで心が圧し折れる程、此の場に居る開拓者達は全員が名の知れた実力者達であり、ちょっとやそっとの事で崩れる程甘くは無い。
「陣形を立て直す!俺がサポートしますから、SF-Zooのタンクさんとオイカッツォは移動を!ドゥルガさんは
「Animalia!『アレ』の準備をしてくれ、其の間全力で護衛する!」
「大絶賛準備中よッ!!」
「草餅君!家のヤシロバードと武器狂いと共に、ドゥーレッドハウルの噴射口を御自慢の弓で撃ち抜いてくれ!一箇所潰すだけでも出力が落ちる筈だ!!!」
「御了解!SOHO-ZONEさん、ヤシロバードさん!」
「任された!奴さんのブースターに、特大の一発をブチ込む!」
「解った、位置調整して射撃に移る!」
「火酒夏ちゃーん!回復おねがーい!!ディープスローターちゃんとルストちゃんにサイナちゃん達は、引き続きドゥーレッドハウルにチクチク攻撃ー!!」
「アスクレピオスで範囲攻撃魔法を回復に変えて放つよー」
「武器の耐久がヤバくなったら言え!わた……俺が持ち堪えられるだけ、耐久回復してやるッ!」
ペッパー・サイガ-100・ペンシルゴン・カローシスUQの、数多のプレイヤーの中でも歴戦の戦いを潜り抜けた猛者達の指示が飛び交い、戦場は混沌の様相を呈している。混沌というのは様々な要素が混ざり合った結果、シッチャカメッチャカな状態に在る事を指し、何方が有利か不利か等の境界線が解る程度を越えていたりするのが、所謂混沌でも有る。
だからこそ──────敵に効く攻撃方法の判明は、状況を好転に導く起爆剤と例えられているのだ。
「脚に刺突と斬撃は相性が悪過ぎる!打撃を叩き込んでくれッ!!」
カローシスUQのメイン
剣に己の魔法を宿した特殊な触媒剣たる『
魔法使い系最上位職業の賢者を持つディープスローターや、魔法特化の職業を持つプレイヤーとは異なり、剣を媒体とする都合上魔法の発動に制限が掛かる事や、剣聖が数多の剣を自由自在に縦横無尽に飛来させて斬り刻むというスタイル、果てには『其れって剣じゃなくて杖で良くないですか?』等、どう足掻いても『派手さが足りない』という欠点により、就職希望者が未だに剣聖8.5・神秘の剣1.5レベルの偏重具合に至っているのだ。
「マッシブダイナマイトさんにありったけのバフを!」
「任せてくれ…………行くよ!」
「少しだけど手伝います!」
「我等赤き竜人の想いも………!」
「ありがとう、御願いね〜…………!」
ライブラリのクランリーダー・キョージュと、
謂わば『アレ取って』だけで、相手が何を求めているかを理解し行動している、ルスト&モルドの関係のずっと先に存在する夫婦の仲の形であり、家族としての到達点たる極致の領域に等しく。
「家内にバフが完了した!」
「サンラク、サバイバアルさん、ルスト、サイナさん!マッシブダイナマイトさんが攻撃を掛けるので、ドゥーレッドハウルの動きを数秒止めてください!!」
「オッシャア!やってやろうじゃねーかァ!!サイナァ!エムルを連れて一旦離脱!」
「了解」
「武運を祈るですわー!」
「んなら此方が道を作るで、サバイバアルはん!サンラクはん!即席のジェットストリームアタックや!」
「盾持ちかムラクモ、前任せるぞ!!」
ドゥーレッドハウルが噴き出し、空気を熱する炎の中を単身ブチ破ったムラクモが巨大な耐熱性の盾で肉薄し、其の背中を足場にサバイバアルが赤黒いスレッジハンマーを握りながらのバフエフェクトを纏って跳躍。
其の後に生まれた道を走るサンラクが、追従していたサイナにエムルを渡して退避させ、轟々と赫く燃え上がり白熱して光すらも放ち始めたアラドヴァル・リビルドを両手持ちに、追従からのムラクモの肩を足場として空中を駆ける。
「ベヒーモスでレベルキャップを解放し、新たに手にした盾による
『なん、グブェ!?』
プレイヤー史上最多回数のレベルダウンビルドを行い、ベヒーモスの地にて三桁の壁を突破したムラクモが繰り出す、三桁スキルにして盾系武器の耐久其の物がダメージ判定として下される、強靭無類の突進攻撃がドゥーレッドハウルの鼻っ柱に打ち据えられる。
ペッパーが初手に繰り出したチャージに等しく、されども数多の改修を積み重ねた盾の強度は生半可なでは無く。ズドォン!!とも言える巨大なSEが鳴り響き、ドゥーレッドハウルの顔面と盾がぶつかり………両者共に凹んでいた。
「間髪入れんやない!ブチ込めやぁ!!」
「任せろッ!」
「ナイスだ、ムラクモ氏!」
墜落するムラクモに続くはサバイバアル、
「武威解放!からのっ──────テラトンッ! コラプサァァァァァァ!!」
『がッ……………ふぉ、あ……………!?』
凹まされた鼻っ柱の痛みに悶えるドゥーレッドハウルの意識の隙間を縫うが如く、サバイバアルが持ち得る筋力強化スキルを乗せた大鎚武器攻撃スキルで脳天を叩き据える。
鼻から脳に衝撃が入り、更に脳天に打ち込んだ鉄鎚がドゥーレッドハウルの意識を削って、次なる攻撃への備えを──────モーションとアクションを遅らせて。
「ムラクモ氏、サバイバアル!お前等の作った此のチャンス!無駄にはしねぇ!!」
右手の雷の撃鉄で胸を叩きて黒雷を纏い、アラドヴァルを構えた彼が言霊を紡ぐ。
「其はあり得ざる槍、断章積み編みて紡がれし非実在の輝き!!」
英傑武器は
黒雷のモーション加速、対竜特効のアラドヴァル・リビルドによる槍の刺突と似た、超速空中突進が灰混じりの夜空に流星を描き。
「──────『
其の言葉と共にサンラクが遠くへと飛んで行き、同時にドゥーレッドハウルの左腕の肘に当たる関節が食い破られ、宙を舞ったのである。
燃える、燃えろ