勇者達 対 赤竜
一瞬の激突。
空気を震撼させた一撃。
其の静寂の果てに聞こえたのは。
『ゴ、ボ…………オグああああああああアアアアアアアアアアアアあああ!?!!?』
其のエネルギーが全身に入った亀裂や噴射口、穴という穴からドス黒い炎が噴出し、逆流した熱と炎に体内と体外を焼かれながら、悲鳴と共に悶えて苦しむ姿であり。
「「「ぶっ飛ばせぇぇぇぇ!!」」」
其れを好機と捉えたか、はたまた勝機と捉えたか。サンラクとペンシルゴンにカローシスUQの叫びが轟いて、シャンフロのユニークに飢えたプレイヤーが、虐げられてきた
ユニークシナリオ上の五体の色竜の一角、仕留められたならば何かしらの特典が…………おそらく『ラストアタック』こそが鍵を握っていると悟ってか、其の攻撃は更に苛烈さを増していく。
『ゴオォオオオ!!おのれぇえエエエエエエエエエエエエ!!!!』
「ちょっ!?」
「なんて回t……ごはぁ!!?」
「独楽かよ!?」
「
「回復、回復、回復ー!!」
黒炎を噴き出し猛スピードで回るドゥーレッドハウルに、SF-Zooのタンク五人衆や炎に耐性を持つ鉱人族、勇敢に挑む竜人族が巻き込まれて派手に吹き飛ばされる。
ペッパーが叫んで回復ポーションを投げまくり、火酒夏が辻ヒールで傷付いた者達を回復し、戦線を何とか持たせている。
「敵が回転するなら真上からだ!中心軸を狙い撃ってルスト!!」
「其のつもり………!ドゥーレッドハウルの背面中心部を突く、行くよ………
『了解、
モルドの無線通信により上空で戦況を伝えられたルストが、朱雀と共に旋回挙動で火山灰の空を吹き払い、月光を戦場へと齎すや急降下を開始。両腕に握り締めた紅蓮と翡翠が入り混じる、帝晶の巨大籠手を構えて狙いを定めた。
「【
『何、ぐぬ………!?』
「そして【
『ゴァ、ゴブブッ!?!?』
彼女にとってシャンフロでビームを撃てると見立てる形で選んだ魔法弓で培った狙い定めの技術と、ネフホロで積み重ね続けられたビーム攻撃兵装の経験値は、弓矢オンリーだった彼女に新たな可能性の扉を開き。
紅蓮と翡翠の二閃の輝きが、回転するドゥーレッドハウルの背面中心点に水晶塔を直撃させ、柱を中継点として伸びた月光の魔力が籠手へ注がれ、彼女の言霊で放たれた光はドゥーレッドハウルの背中に命中し、爆発を引き起こして其の回転を止めたのである。
光帝の籠手をペッパーから託されて以来、ルストとモルドはネフホロをプレイする傍ら、『昼夜で蓄積された魔力を如何なる配合をすれば、其の時間帯で最高の威力を引き出せるか?』という疑問に着目、実験と研究を積み重ね。
其の果てに二人は『昼間は日光3:月光1、夜間は日光1:月光3の割合をベースに魔力を配合すれば、ビームの破壊力と弾速を維持出来る』という特性に気付く事が出来、そして今し方繰り出された『日光魔力10%+月光魔力30%消費の』ビーム二連射により、ドゥーレッドハウルに大打撃を叩き付けたのだ。
『クソッ、クソがぁッッッ!!俺様がこんな、こんな所で死んで良い筈がねぇェェッッッ!!』
「人も獣も何時かは死ぬ!其れが貴様にとっては今日だったという事だ!同胞の無念、我が愛しき者の仇!此処で其の因果を断ち切るッッッ!!!」
ドゥルガの堂々たる叫びが、竜人族と鉱人族の闘志をマグマよりも熱く燃やす。投石機から岩石が空を飛び、投げられた槍が潰された噴射口に突き刺さる。
『ちくしょう、ちくしょぉおおお!!ちくしょうぅううううううううううううううう!?!俺様が死ぬ、俺はまだぁ……………!?!』
「我等の同胞も貴様の吐いた炎に焼かれて死んだのだ!死への恐怖を刻み、地獄へと堕ちろッッッッッッ!!!」
ドゥルガの渾身の槍投げがドゥーレッドハウルの眉間に飛んで、魔力の弾丸やスキルで補強された矢に、あらゆる武具や魔法が差し迫り直撃。
だが其れでも、ドゥーレッドハウルは耐え抜い「アポカリプス!!」
「「「「「「「「あ」」」」」」」」
『ご…………ッ!?お、あ…………──────』
最後の最後…………此処まで皆の活気や怒濤の攻めっ気に圧され、手が出せずにいたサイガ-0がレベルキャップ解放で進化した
既に死に体一歩手前の状態だったドゥーレッドハウルが耐えられる由も無く…………其の一撃はまさに『トドメの一撃』となって、三本の手足でズタボロとなった赤竜の身体を支えていた力を奪い取り、操り人形の糸がブツリと切れるが如く其の奇天烈な巨体は地面に崩れ落ち。
『現時刻を持ちまして、『赤竜ドゥーレッドハウル』の討伐を確認致しました。ラストアタッカーは『サイガ-0』様です』
世界にアナウンスを轟かせ、赤竜討伐を完遂した事が告げられたのである。
「……………あ、あの…………ごめんなさい、トドメ………刺しちゃいました…………」
「あ、いえ、レイ氏。誰がラストアタック持ってってもおかしく無かったんで、寧ろ此の瞬間をピンポイントでブチ抜いた辺り、やっぱ流石っすね」
流石は最大火力と褒める者、開拓者達の力を借りこそしたが赤竜討伐が完遂されたと喜ぶ者、やはり自分でトドメを刺したかったと悔しがる者と、三者三様十人十色の感情が渦巻く中でペッパーは一人、倒れたドゥーレッドハウルの近くまで歩み寄る。
「赤竜ドゥーレッドハウル。炎を撒き散らし、鉱人族と竜人族………そして数多の命を焼き焦がした厄災の竜よ。何れ生まれ変わり現れたとしても、俺が…………いや俺達が、再びお前を討ち果たす。……………ん?」
そう告げて見上げるも、彼は『ある事』に気付く。本来シャンフロのモンスターは大なり小なり、体力が底を尽いて死ねば大体『十秒程』でポリゴンと化し、消滅するのが『必然』なのだ。
だがドゥーレッドハウルの死骸はポリゴン化せず、此の場に未だ留まり続けている。一体何故?其の疑問を知らんとして、彼は
ジャンジャンジャンジャン!!!ジャンジャンジャンジャン!!!
「わぁ!?」
「何だ何だ!?」
「何か
ある者はインベントリに、ある者はインベントリアに、またある者はアクセサリースロットに『其れ』を装備している。其れの名は『深淵の警鐘』──────
インベントリやインベントリアに入れていようとも、一度始源の接近を感知すれば、けたたましい音を鳴らして警戒を促す其れにより、クターニッドを撃破して世界の真理書に目を通した者達は、直ぐ様警戒態勢を厳に周辺を見渡し。
「皆、今直ぐに此の近辺から離れて!奴は
フィールドを透視し、立体化して見る事が出来るペッパーが叫び竜人族や鉱人族を下げんとして叫んだ…………まさに其の瞬間。
『BluoOOOOOOOOOOOOaaaaaaaa──────!!!』
地面を突き破った衝撃で大地を震撼し、竜人族や鉱人族にプレイヤー達が吹き飛ばされる。何とか着地に成功した者や、地面に叩き付けられてバウンドした者が居る中で、遠くに離れていた者達は突如現れた『其れ』を目視するに至る。
『其れ』は血肉の様に赤く………其の色は単なる赤一色から成る、ある意味で『手抜き』にしか見えない思えず。まるで知性の欠片も無い様な、ある意味で死んだ魚の目の如く光を失った眼差しは何処を見ているのか、何を求めているのかが一切感じられない。
牙が、舌が、臓物が。骨が、蹄が、翼が、目玉が。道征く先々で手当たり次第に何もかもを貪り、己の肉体へと取り込んでいったと言うしか無い、嫌悪感を抱く様な悪趣味の極致に等しい『キメラ』な見た目をしていた。
「全員退避!鉱人族と竜人族含めたNPC達の避難を急いで!早くッッッッッッ!!」
ペッパーが叫び、単身ヘイトを請け負わんと前へと出た刹那。
『BollooOOOOOOOOOGErrrreOOOOOOOOAaaaaaaaaaaaa!!!!!』
赤い
『モンスター
『討伐対象:
『レイドバトルが開始されます』
『参加人数:24/45』
襲来せしは『赤』