VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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現れた始源




人よ、竜よ、英雄よ 其の九

レイドモンスターとは古今東西様相様々なゲームでもあるが、複数のパーティーによる合同戦力を用いる事を前提条件とした、強大で強力なモンスター達の事を指す。

 

システム側からの提示によって示された、レイドモンスター『(むさぼ)大赤依(だいせきい)』…………真っ赤な赤一色の『血肉』に等しい状態ながら、ありとあらゆる生物を喰らったと見受けられる特徴を各部に生やし、まさに『レッドキメラ』と呼ぶに相応しい見た目をしている其れを一目見て、ペッパーは此の化物が『捕食行動を確実に取ってくる』と予測を立て。

 

捕食行動を取る事を前提として、自分とパーティーを組んでいる者達へと指示を飛ばす。

 

「アイトゥイル!ノワ!ヒトミさん!此の場から直ぐに離脱を!可能な範囲で鉱人族と竜人族の撤退援護をしつつ、身を守る事を最優先に立ち回って!!」

「ペッパーはん!?ワイも戦うのさ!」

『ワゥン!』

当機()も個体名アイトゥイル、及び個体名ノワと同意見です契約者(マスター)

「あの貪る大赤依…………身体中から生えているモンスターの部位からして、十中八九『捕食攻撃』をしてくる可能性が高い!食らったら一発アウトの『即死攻撃』をデフォルトで持っているだろう事と、アレは『(くる)える大群青(だいぐんじょう)』と同じカテゴリーに居る!」

 

あくまで予想でしか無いペッパーの発言だったが、恐るべき事に彼の予測は『ほぼ全て』が的中していた。あらゆるレトロゲームをプレイし培った『脳内情報』と、現時点で相対している貪る大赤依の『視覚情報』の高速照らし合わせで導いた答えは、狂える大群青の脅威を目の当たりにしたアイトゥイルとノワに、撤退させるという選択肢を取らせるには充分過ぎる説明であった。

 

「ペンシルゴン!サイガ-100さん!カローシスUQさん!周辺に居るプレイヤーの皆さん!此の場に居るNPCを安全圏に逃がして下さい!!!貪る大赤依は確実に捕食攻撃と、捕食対象を自分の身体に付け加える可能性が高いです!機動力の高いプレイヤーは戦線を維持する事を主目的とした、避けタンクとして大赤依を足止めを!NPC達を安全圏に移動させたら遠距離攻撃可能な人は、奴にダメージを与えてください!」

 

ペッパーが指示を飛ばし、彼の声色から緊急事態と認識したペンシルゴンとサイガ-100が動き、数瞬遅れて他のプレイヤーが行動を開始した──────次の瞬間。

 

『DoWoOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!』

「ッ!?!」

 

彼がサキガケルミゴコロを点火した僅か一秒後に貪る大赤依が咆哮を上げ、スキルの効果によって脳内に発現された少し先の未来で彼が見たのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『貪る大赤依の身体から伸びた赤い触手により、自分が上空に殴り飛ばされて頭から地面に落ち、首が折れ曲がり。其の最中に逃げ遅れた鉱人族と竜人族が、赤竜ドゥーレッドハウルの死骸が赤の触手に絡め取られて取り込まれ、貪る大赤依の身体からパーツとして生えてくる』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────という、人によっては文字通り『トラウマ不可避』のN()P()C()()()()()であった。

 

「さっせるかぁアアアアアア!?!!?」

 

集律視標着目(ワーナリー・スポットヘイト)&天空の神眼(ラトゥルスカ・ゴッドアイズ)を脳で考えるのでは無く、熱いヤカンに触れて火傷をしない様に離れるのと同じ、()()()()の要領で起動。

 

上空より俯瞰の視点で見下ろし、ヘイトを唯一人に絞り込ませるスキルが、貪る大赤依の身体から放たれた赤の触手達の狙いを自らに絞り込ませ、大赤依は自分が見られたと赤の触手を天に向けて放つも、其処には誰も居らず。

 

「先制奪取!!」

 

長期戦………最悪夜が明けて朝すら越えそうな予感を抱きながらも、一先ずエレメオールブレイカーを装備して近場に在った足を殴るも、四属性の一撃が効いている様には思えない。

 

「オラァ!」

「此処だろう!?」

覇断制界(はだんせいかい)!!」

「【巨神の崩撃(ティタノマキア)】!!」

「カタストロフィー!!」

 

そんな中で複数の銃声が響き渡るや、貪る大赤依に魔力弾が命中。刹那にアッパーカットで土の巨腕が、轟々と燃える白輝と黒炎の斬撃が、赤の怪物を思いっきりブン殴る。

 

誰だと片目で視線を向ければ、サンラクが左手にミル・ト・コルン(レア物)と右手にアラドヴァル・リビルドを握り、其の近くにはサイガ-0とディープスローターが短杖二刀流、サバイバアルが大剣を、ヤシロバードが狙撃銃を構えていた。

 

「ペッパー!ドゥーレッドハウルの死骸はどーすんだ!?」

「最悪、取り込まれると割り切った方が良い!取り敢えず皆が来るまでの此の場を繋ぐ!!」

「了解、です………!」

「赤い化物だなぁ………!カカカ、久し振りにデカい敵と戦えらぁ!」

「さて、銃で何処まで立ち回れるか………。最悪弓で貢献するから、期待してて良いよ」

「僕ぁサンラク君とランデ──────」

 

『Weleeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!』

 

「「全員散開ッッッ!!!」」

 

ペッパー・サンラクの声で皆一斉に動き出す。伸びる触手はまるで『舌』の様であり、プレイヤーを吹き飛ばすべく迫り、ドゥーレッドハウルの死骸を絡め取らんと、物量を以って戦場を走る。

 

「おるぁ!!」

「パリィは!?」

「一応出来る!が、そもそも物量差でやるのは得策じゃねぇ!」

「あ!ドゥーレッドハウルの死骸が赤いのに取り込まれてるよ、サンラクくぅーん!触手の苗床みたいだねぇ!!」

「だーってろ、ディプスロォ!?!」

 

隙在らば下ネタに走るディープスローターに、サイガ-0が目に見えて怒りと言うべき感情を向けており。そしてドゥーレッドハウルの死骸は貪る大赤依に取り込まれ、其の身体に変化が起きる。

 

そんな中でも一人、ヤシロバードが冷静に狙撃を敢行する状況でも、貪る大赤依は赤い血肉の塊だった身体を『ドゥーレッドハウル』の物と同じに変えて、サンラクによって斬り飛ばされて欠損した左腕を他のパーツで補い、其の姿をドゥーレッドハウルと『ほぼ同じ状態』になるまで変貌させたのだ。

 

「ヤシロバードさん、銃で撃ち込んだ感触は!?」

「イマイチと言えるね。『むさたん』には矢の方が効くのかな?」

「む、むさたん………?」

「貪る大赤依って言うんでしょ?だったら、むさたんの方が語呂が良いし覚えやすいと思うよ」

「…………情報伝達的な観点からするとアリ、なのか?とと、弓矢と銃でどっちが効果有るかは解らないので、引き続き射撃を頼みます!」

「了解した、任せてくれ!」

 

ドゥーレッドハウルの死骸を喰らい、其の身をドゥーレッドハウルの物と同じ姿に変えた貪る大赤依。仲間や関係NPCを退避させ、味方が戻るまでの時間を繋ぐべく奮戦する六人の開拓者達。

 

突発的に開幕した始源との戦いは、まだ始まったばかりだ。

 

 

 






討ち果たせ、始源の怪物を



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