『赤』は吠える
『Guiiiiiiffffffffffffffffffffffff!!!』
「うるせぇええええええええええええええええええ!?!?!ディプスロ、ヤシロバード、クソレッドをぶん殴れ!!」
「はいよぉ!」
「はぁい!」
「サバイバアルさん!サイガ-0さん!大赤依から排出された『肉塊の木』を、隣同士の物を二本倒して下さい!援護します!」
「任せなぁ!」
「はい!」
戦闘開始から約十分が経過し、ペッパー達は今現在の貪る大赤依の繰り出した攻撃に対処しながら、得られた情報を纏めていた。
今現在の貪る大赤依は背中から『肉種』を発射、其れが弧を描いて地面に着弾すると同時に急速成長から、グロテスクと断言出来る『肉の大樹』をフィールドに生やす。其の大樹は肉種着弾から『二十秒』で成長・オブジェクトとなって残存し、最終的には着弾から『一分』で鳳仙花が種を爆破によって飛ばすのと同じく、血肉と衝撃波を混ぜ合わて弾け飛ぶという、控えめに言ってヤバいと言わざるを得ず。
其の大樹は一回の放出で『十個』は飛ぶ上に、爆発に至っては十本残した場合の戦闘範囲は『七割』近くが吹き飛び、唯でさえ危険な血肉の飛来は、銃火器による戦場の撃ち合いの中に居るのと同じく、死亡確率とルート算出のアサイラム・フェイトでも完全に避け切るのは難しい。
幸いな事に貪る大赤依の本体は出現場所から動かず、戦闘領域内にNPCかモンスターが居るなら『触手を用いての捕食行動』を、NPCかモンスターが居ないならば『肉種を放出と成長した大樹で範囲攻撃』を仕掛けてくる。
よってペッパー達が、
「おっしゃ、倒せたぞ!」
「此方も!」
「サンラク、ヤシロバードさん、ディープスローターさん!避難を!」
「はぁい!」
「解った!」
「ヘイト切りは任せな!」
サンラクがアラドヴァル・リビルドを振るい、ウツロウミカガミでヘイトを残して離脱した瞬間、肉の大樹が勢い良く弾け飛んで、血肉の弾丸が飛来。
安全圏に逃げ込んだ一同に流れ弾が迫るも、ペッパーとサンラクが
「サンラクも作ってたんだな、女帝城の顕壁盾」
「まぁな。
「随分と頑丈そうな盾だな………」
「武器狂いが色々聞いてきそうだね、其の盾の事やらをさ」
「サンラクくぅん!クルよぉ!」
ディープスローターの声で貪る大赤依の背中が再び震える。アレは着弾前に叩いてたが『耐久力』が尋常では無い上に、見た目に反して『重量』自体も相応という厄介さを秘めている。
其れもサバイバアルとサイガ-0、二人掛かりのパリィでも飛ばせなかった事から、アレを着弾させずに処理するのはマッシブダイナマイトの様な筋力極振りプレイヤーの打撃系スキルで粉砕する以外に方法は無いだろう──────おそらく今の大赤依は『耐久系』なのかと、戦闘中のペッパー・サンラクが思い始めた其の時。
「すまん、遅くなった!」
「
「ペッパー、奴に関して何か解った事は有るか!?」
カローシスUQ・ペンシルゴン・サイガ-100の声、二種族とNPCを避難させたプレイヤー達が遂に援軍として、此の戦闘領域に駆け付ける。戦っていた人数が変動する、そして其れは貪る大赤依の『行動パターンも変化する』合図になった。
背中から熟れ過ぎて潰れたトマトの如く、或いは完熟トマト缶の中身がブチ撒けられる様に、貪る大赤依の背中から肉の大樹を産み出す肉種と同じく、『十体モンスター達』が
数多のゲームには『雑魚敵を召喚するボスモンスター』は居るが、貪る大赤依の其れはより悪辣で、『トリケラトプスの頭が付いた馬に翼が生えたモンスター』だったり、『アルマジロの上半身と八匹のラプトルの下半身がくっ付いたモンスター』だったり、『二つ頭のプテラノドンとゴリラの首から下が混ざったモンスター』だったりと、生命の冒涜としか言えない物だった。
「此処で貪る大赤依をブチのめすわよ!奴を絶対に生かして帰すなッ!!!」
『『『『『イエス!園長!!』』』』』
SF-ZooのAnimaliaにタンク五人衆の怒気が放たれている事からも、貪る大赤依は『有機物を無作為に喰らい尽くす存在で動物達の敵』と認識されたらしく、彼女は声を上げてタンク五人衆も動いた。
「彼等彼女等にタンクは任せつつ、あのキメラ生物を処理するぞ!」
「倒したら何か起きるかも知れないので、細心の注意を!貪る大赤依は捕食行動をしていたので、何れ『空腹』になる可能性が有ります!空中のキメラは俺が処理するので、地上のキメラを頼みます!」
「了解だよ、あーくん!」
「無茶はするなよ!」
ミルキーウェイで空を駆けて女帝城の顕壁盾をインベントリアに、スイッチして
拳撃スキルを鳩尾に叩き付けからの脚撃スキルで同箇所にぶつけて撃墜に持っていき、其のまま落下速度を乗せて胸部を踏み潰す。
「……………ん!?」
殴り付ける感触は有った、蹴り砕いた感触も有った。だが踏み潰した瞬間に生み出されたキメラモンスターの身体が固体と液体の中間地点たる、『ゲル状の赤溜まり』へと
「キメラモンスターを倒したら赤溜まりに変わった!」
「此方も確認している!全員警戒態勢、何をしてくるか解らん!大赤依の動きにも注意しろ!」
産み落とされた十体の内、プレイヤー達によって三体のキメラモンスターが倒された事で身体が崩壊し、戦闘領域に出来上がる三箇所の赤溜まり。
そして貪る大赤依がプルプルと痙攣し──────ドロリと其の巨体が地面に
「消えた!?」
「違うわ!さっきのモーション…………『
「流石園長ちゃん!機動力に秀でたプレイヤーで大赤依を対処しつつ、タンク組はキメラモンスターの足止め、遠距離攻撃組は外縁からブッ飛ばしちゃって!」
ペンシルゴンの背後に現れる大赤依、其処にペッパーが風雷皇の御手で首にストレートパンチを繰り出すが、液体を殴った様にボチャンと崩れ落ち、其の身が赤溜まりになったのを目撃から声を上げた。
「今の貪る大赤依は本体を殴っても意味が無い!奴が産み出したキメラモンスターや肉の大樹を破壊するんだ!奴のリソースは『有限』で、削れば何かが起きる!」
レイドモンスターと言えど、其れを攻略出来ない訳では無い。思い付いたら行動し、通用するのかを確認し、何が正しいのかを導き出す。
其れがゲーマーという生物なのだから。
抗え、