VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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本気モード




人よ、竜よ、英雄よ 其の十二

貪る大赤依が穿った穴から『赤色の血』の様な液体が、温泉の源泉が湧き出し間欠泉の如く湧き出し噴射し、同時に此の領域には第一と第二形態の時に生まれた無数の赤溜まりと共に、不透明な輝きを放つ『結晶体』が地より生えて聳え立った。

 

『Corururururururururururururururu……………』

 

噴き出した赤の、血の流動が止まり。そして広がった大地に流れた赤が、再び一箇所に集結して変化が起きる。

 

最初に作られたのは『脚』だ。細長く、其の形状から『アメンボ』だと判る脚が作られ、脚より骨格を形作り、其れは胴体と頭と尾を作り上げる。

 

其の姿形は確かに、自分達の手で仕留めた『赤竜ドゥーレッドハウル』だと解った。

 

だが明確に異なるのは、サンラクがアラドヴァル・リビルドによって斬り飛ばした左腕、遠距離から叩き潰した炎の噴出する突起には、粘土か何かで大雑把に『別の生物の特徴』で補修がされているという点で。

 

総じて現在の貪る大赤依は『赤竜ドゥーレッドハウルをベースに三つの首と竜頭に、元々在った尻尾の先端に一つの首と竜頭。突起の在った場所から無数の尻尾を生やし、胸部の噴射口から二対の首と竜頭の、合計六の頭と首に無数の尻尾を持つキメラ』へと変貌したのだ。

 

「……………アレ、どう見る?」

「おそらくドゥーレッドハウルの特色を貪る大赤依が置換し、還元したとも見て取れるだろう。第二形態の時と同じであるなら、タンクで受け止めるにしても噴射口の在った場所に尻尾が有る事で、接近しても弾かれそうだ」

「あと怪しいのは結晶だね。視覚強化で遠くから見ているけど…………『中に何かが居る』よ」

 

合流したオイカッツォ・キョージュ・SOHO-ZONEが意見を述べて、一同は貪る大赤依を見据え。大赤依が放つ殺意に満ち溢れた空気がビリビリと震えて揺れる中、六つの頭が此方を睨め付けて。

 

あからさまに口内にエネルギーを収束からの、ビームでも放たんとしている…………うん、サキガケルミゴコロで見た数瞬先の未来の光景で、ビームに飲み込まれて身体が砕け散るのが見えた。

 

「全員回避ィイイイイ!!?」

「うおぁ!?!」

「ゲロビーム!?」

「ぎゃあああああああああ!?」

 

回避指示から出鱈目無作為に赤い光が戦場を貫き、着弾からの爆発で他の参加メンバー達が吹き飛ばされる。唯でさえ大赤依自体の巨体が巨体、単純に質量差が掛け離れて厄介である上に、アメンボの如く地上を動き回る挙動のせいで、後衛に被害が出るのも必然。

 

ミルキーウェイで地上と空中のギリギリを駆けながら、ペッパーは回復ポーションを投擲し、SF-Zooのタンク五人衆や火酒夏の脱落を防ぎながらに叫ぶ。

 

「貪る大赤依のヘイトは俺とサンラクで何とかする!皆は結晶の破壊を、結晶の放置は何か不味い気がします!」

「あーくんはどうする気!?」

「もう四の五の言ってたり、後先考えてる場合じゃないから此方も『切札の一枚と鬼札』を同時に切る!最悪()()されても仕方無しと割り切るから!」

 

ペッパーの叫び声と説明から、ペンシルゴンは彼が何をしようとしているのかに気付き。言うが速いか彼はインベントリアから一式装備を──────ユニークモンスター・深淵のクターニッドと力を分け、人の身でクターニッドの力である『反転』の権能(チカラ)を行使する『深淵を見定む蛸極王装(オクタゴラス・アビスフォルガ)』と『六道極円盾(リクドウキョクエンジュン)天獄(テンゴク)』を取り出し、全身にパワードスーツと左手に太陰太極図(たいいんたいきょくず)に似た模様を持つ円大盾を装備。

 

同じくインベントリアに在る『星帝剣(せいていけん)グランシャリオ』を顕現させるや、右手で鞘を掴んで刻み込まれたリュカオーンの愛呪の能力を一時的に相殺から、サッシュ形状のマントを巨剛触手(きょごうしょくしゅ)に変えて、其の内の一本で鞘を握り締めながらにグランシャリオを抜剣。

 

鞘をインベントリアに収め、残る触手に聖盾(せいじゅん)イーディス・刻毒銃(ウォーポイド):強暴過乱(イシュアナ)・合体状態だった碧羅(ヘキラ)&金漆(ゴンゼツ)を分離し装備から、二本使って煌蠍の籠手(ギルタ・ブリル)を装着。

 

戦闘開始から温存し続けていたスキル、刀剣大神(とうけんだいしん)を起動して斬撃属性両手武器を片手持ち可能な状態とし、残り二本の巨剛触手へ大剣武器の重城装の大断剣(ガンガトール・パニッシャー)並びに大太刀武器の黒純大刀(こくじゅんたいとう):黑鐵(クロハガネ)を強く握り締め。

 

両脚には機動力を支える籠脚の深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)を装備で、あの日以来──────深淵のクターニッド・想像態との最終決戦の時振りの完全武装形態(フルアーマーモード)と化した彼は、グランシャリオの鋒で貪る大赤依を指しながらに力強く宣う。

 

「貪る大赤依。お前が本気(マジ)で俺達を倒しに来てるなら、此方も本気(マジ)で相手に成ってやる。そして──────覚悟しろ、今日がお前にとっての命日になるって事をな…………!!!」

『UqqqeeeeeeNvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvv!!!』

「『ビームよ霧散せよ』!!!」

「ペッパー!サポートとアタックやるぜ!」

「助かるッ!」

 

貪る大赤依がビームを撃ち放ち、ペッパーが言霊によって『状況改変(じょうきょうかいへん)』が発動。彼を中心に半径30mの領域に入った瞬間に、ビームが文字通り霧散。

 

霧散して飛び散る赤い光の粒子の中をペッパーとサンラクが駆け走り、二人が貪る大赤依の身体へ斬撃と打撃を叩き付ける形で、貪る大赤依の本気モードとの戦闘は再開されたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ、何アレ!?何かビーム弾けた!?」

「まぁまぁ…………クターニッドのそっくりさんな見た目をしてるわねぇ〜…………」

「クターニッド!?」

「まさか、ユニークモンスターの装備…………!?」

「ペンシルゴンさん!アレは一体…………?」

「質問は後で一斉に受け付けるから、此方に集中だよっ皆の衆!!ほら結晶が砕けた!!」

「うわ何か出た!?」

「「「赤いキメラだ(じゃん)!!!」」」

 

八本の触手に武器を持ち、半裸の鳥頭と共に赤の怪物を食い止める勇者に対し、アレは一体何なのかと問い掛けるプレイヤーを黒幕魔王が制止する。そんな折にサバイバアルの一撃で砕けた結晶から『六本腕のキメラゴリラ』が飛び出し、ドラミングをしながら残りの腕で攻撃を仕掛けてくる。

 

「【アトラスバインド】!さぁ、やりなさい!」

「助かる!【従剣劇(ソーヴァント)二重奏(デュオ):忠剣の疾走(フォースフル・ランナー)】!」

「キメラだろうと心臓か頭をブチ抜けば止まる筈、穿て………『破雷の一射(ボルグアロー)』!!」

 

Animaliaが拘束魔法で腕を止めた所をサイガ-100の二本の従剣劇による十字斬、SOHO-ZONEが弾速を高めたクロスボウ攻撃スキルで心臓を穿てば、ゴリラキメラは倒れて赤い霧と化して消滅する。

 

(先程迄の赤溜まりとは違う、明確な『モンスターの撃破』という結果の提示…………。更にペッパー君とサンラク君が叩いている今の大赤依からは『ダメージのポリゴン』が出てたが、其の形状は『群体モンスター』の物と若干だが似ている。…………もしや貪る大赤依は『群体モンスター』なのか?とするならば…………)

 

旧き良き歴史を探求するライブラリのリーダー・キョージュの頭脳が、シャンフロの有志のプレイヤー達から齎されてきた情報を精査し、答えを導き出さんとして頭の片隅で思考を続ける。

 

貪る大赤依を止める者、赤水晶の破壊を行う者、水晶から出て来たキメラモンスターを打倒する者。各員が成す事を成して、始源の胎動に立ち向かっていく……………。

 

 






やらなきゃ、やられる


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