本気モード
貪る大赤依が穿った穴から『赤色の血』の様な液体が、温泉の源泉が湧き出し間欠泉の如く湧き出し噴射し、同時に此の領域には第一と第二形態の時に生まれた無数の赤溜まりと共に、不透明な輝きを放つ『結晶体』が地より生えて聳え立った。
『Corururururururururururururururu……………』
噴き出した赤の、血の流動が止まり。そして広がった大地に流れた赤が、再び一箇所に集結して変化が起きる。
最初に作られたのは『脚』だ。細長く、其の形状から『アメンボ』だと判る脚が作られ、脚より骨格を形作り、其れは胴体と頭と尾を作り上げる。
其の姿形は確かに、自分達の手で仕留めた『赤竜ドゥーレッドハウル』だと解った。
だが明確に異なるのは、サンラクがアラドヴァル・リビルドによって斬り飛ばした左腕、遠距離から叩き潰した炎の噴出する突起には、粘土か何かで大雑把に『別の生物の特徴』で補修がされているという点で。
総じて現在の貪る大赤依は『赤竜ドゥーレッドハウルをベースに三つの首と竜頭に、元々在った尻尾の先端に一つの首と竜頭。突起の在った場所から無数の尻尾を生やし、胸部の噴射口から二対の首と竜頭の、合計六の頭と首に無数の尻尾を持つキメラ』へと変貌したのだ。
「……………アレ、どう見る?」
「おそらくドゥーレッドハウルの特色を貪る大赤依が置換し、還元したとも見て取れるだろう。第二形態の時と同じであるなら、タンクで受け止めるにしても噴射口の在った場所に尻尾が有る事で、接近しても弾かれそうだ」
「あと怪しいのは結晶だね。視覚強化で遠くから見ているけど…………『中に何かが居る』よ」
合流したオイカッツォ・キョージュ・SOHO-ZONEが意見を述べて、一同は貪る大赤依を見据え。大赤依が放つ殺意に満ち溢れた空気がビリビリと震えて揺れる中、六つの頭が此方を睨め付けて。
あからさまに口内にエネルギーを収束からの、ビームでも放たんとしている…………うん、サキガケルミゴコロで見た数瞬先の未来の光景で、ビームに飲み込まれて身体が砕け散るのが見えた。
「全員回避ィイイイイ!!?」
「うおぁ!?!」
「ゲロビーム!?」
「ぎゃあああああああああ!?」
回避指示から出鱈目無作為に赤い光が戦場を貫き、着弾からの爆発で他の参加メンバー達が吹き飛ばされる。唯でさえ大赤依自体の巨体が巨体、単純に質量差が掛け離れて厄介である上に、アメンボの如く地上を動き回る挙動のせいで、後衛に被害が出るのも必然。
ミルキーウェイで地上と空中のギリギリを駆けながら、ペッパーは回復ポーションを投擲し、SF-Zooのタンク五人衆や火酒夏の脱落を防ぎながらに叫ぶ。
「貪る大赤依のヘイトは俺とサンラクで何とかする!皆は結晶の破壊を、結晶の放置は何か不味い気がします!」
「あーくんはどうする気!?」
「もう四の五の言ってたり、後先考えてる場合じゃないから此方も『切札の一枚と鬼札』を同時に切る!最悪
ペッパーの叫び声と説明から、ペンシルゴンは彼が何をしようとしているのかに気付き。言うが速いか彼はインベントリアから一式装備を──────ユニークモンスター・深淵のクターニッドと力を分け、人の身でクターニッドの力である『反転』の
同じくインベントリアに在る『
鞘をインベントリアに収め、残る触手に
戦闘開始から温存し続けていたスキル、
両脚には機動力を支える籠脚の
「貪る大赤依。お前が
『UqqqeeeeeeNvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvv!!!』
「『ビームよ霧散せよ』!!!」
「ペッパー!サポートとアタックやるぜ!」
「助かるッ!」
貪る大赤依がビームを撃ち放ち、ペッパーが言霊によって『
霧散して飛び散る赤い光の粒子の中をペッパーとサンラクが駆け走り、二人が貪る大赤依の身体へ斬撃と打撃を叩き付ける形で、貪る大赤依の本気モードとの戦闘は再開されたのだ。
「えっ、何アレ!?何かビーム弾けた!?」
「まぁまぁ…………クターニッドのそっくりさんな見た目をしてるわねぇ〜…………」
「クターニッド!?」
「まさか、ユニークモンスターの装備…………!?」
「ペンシルゴンさん!アレは一体…………?」
「質問は後で一斉に受け付けるから、此方に集中だよっ皆の衆!!ほら結晶が砕けた!!」
「うわ何か出た!?」
「「「赤いキメラだ(じゃん)!!!」」」
八本の触手に武器を持ち、半裸の鳥頭と共に赤の怪物を食い止める勇者に対し、アレは一体何なのかと問い掛けるプレイヤーを黒幕魔王が制止する。そんな折にサバイバアルの一撃で砕けた結晶から『六本腕のキメラゴリラ』が飛び出し、ドラミングをしながら残りの腕で攻撃を仕掛けてくる。
「【アトラスバインド】!さぁ、やりなさい!」
「助かる!【
「キメラだろうと心臓か頭をブチ抜けば止まる筈、穿て………『
Animaliaが拘束魔法で腕を止めた所をサイガ-100の二本の従剣劇による十字斬、SOHO-ZONEが弾速を高めたクロスボウ攻撃スキルで心臓を穿てば、ゴリラキメラは倒れて赤い霧と化して消滅する。
(先程迄の赤溜まりとは違う、明確な『モンスターの撃破』という結果の提示…………。更にペッパー君とサンラク君が叩いている今の大赤依からは『ダメージのポリゴン』が出てたが、其の形状は『群体モンスター』の物と若干だが似ている。…………もしや貪る大赤依は『群体モンスター』なのか?とするならば…………)
旧き良き歴史を探求するライブラリのリーダー・キョージュの頭脳が、シャンフロの有志のプレイヤー達から齎されてきた情報を精査し、答えを導き出さんとして頭の片隅で思考を続ける。
貪る大赤依を止める者、赤水晶の破壊を行う者、水晶から出て来たキメラモンスターを打倒する者。各員が成す事を成して、始源の胎動に立ち向かっていく……………。
やらなきゃ、やられる