VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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貪る大赤依への有効打




人よ、竜よ、英雄よ 其の十四

SOHO-ZONEによって判明した貪る大赤依の正体、其れは血の様な液体や半凝固状態に変態する身体を『赤いバッタで構築する()()タイプのレイドモンスター』である。

 

仮称『第四形態』か、或いは『最終形態』へと突入した貪る大赤依は現在、其の赤いバッタが背中で巨大な竜巻を作り出して、其処から『モンスターの腕や足に頭』といった一部分の部位を持った存在、もしくは()()とも言える物を産み出して攻撃してくる。

 

其の分身も凄まじく強いのだが、()()()()を試してみた事で今迄攻略法が見えていなかった其の状況は、一気に変遷する事になった。

 

「オラオラオラァ!!まだ足らねぇんだ、もっと寄越せやクソレッドォ!!」

『Wileeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!』

 

()()が灰の夜空に踊り、分かたれた者を繋いだ大剣が赤の猿腕を切り刻み、ダメージエフェクトが爆ぜながら赤い霧が散りて、同時に『黒いエフェクト』が喪服に吸収されていく。

 

「良いよぉサンラクくぅん!バッチリドロワーズも撮れてるよぉ!!」

「あああああ死ねぇ!消してやる、消してやるからなぁ!絶対に消してやるからなディプスロぉおおおおおおおおおおおお!!!」

「ディープスローター、すまんが後で其のスクショを頂けるか?」

「うーん…………いいよぉ、御幾ら払えるかなぁ?」

「ジョゼットさん、ディープスローターさん!今は集中して下さいッッッ!!」

 

ペッパーの声が飛び、襲い掛かる赤のキメラを対処しながら、作戦の肝となるサンラクを支えていく。現在の『彼女()』はクターニッドの聖杯で性別を女に変え、周回で余りに余りまくった水晶群蠍(クリスタル·スコーピオン)の素材を用いて制作した、女性用一式装備『水晶輝装(クリスタルドレス)シリーズ』を黒き死に捧ぐ嘆き(レクィエスカト·イン·パーケ)の力で破壊して、新たに喪服を其の身に纏い。

 

其の姿と共に封雷の撃鉄(レビントリガー)(ハザード)起動による過剰伝達(オーバーフロー)状態に加え、両手で大剣武器の『別離れなく死を憶ふ(メメント・モリ)』を振るいながら、赤いキメラ相手にスローターによるステータス強化と別離れなく死を憶ふの軽量化を並行する、大虐殺の鏖殺行動(ハリケーン)を繰り広げていた。

 

「フハハハハハハ!!今なら見える気がするぜ、DPS神の御加護って奴がよぉ!!!」

 

斬り刻まれてダメージエフェクトを撒き散らして爆散する赤いキメラ、其れとは別の黒いエフェクトが喪服と大剣に注がれる。刹那ズバァン!!と音を鳴らし、貪る大赤依の尻尾が絶ち切られて地面に落ちた。

 

『Uveveveveaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!?!』

「尻尾斬りました!」

「私達で仕留めておく、引き続き頼むぞ!」

「任せなぁ!!」

「撃鉄の力は有るが、無茶はするなよサンラク!」

「ギリギリで踏ん張るのもゲーマーなんだよなぁ!!」

 

ユニークシナリオ【愛故に哀、故にこそ死を(トゥルーラブ・アンド・トゥルーヘイト)】の攻略によって手にしたアイテムに黒死の怨涙、黒天無塵鎌(ノーブルー·サイスレント)焔将軍(ほむらしょうぐん)斬首剣(ざんしゅけん)を用いて作られた、此の別離れなく死を憶ふには『幾つかの能力』が搭載されている。

 

一つ目は自身よりレベルの低い相手に対する『即死効果』、其の即死確率は使用者のレベルと攻撃対象のレベルを引いた差分の数値となり、装備時の効果と組み合わせれば低レベルモンスターが相手に理不尽を強いる事も可能だ。唯でさえレベル差が有る状態で攻撃を加えるともなれば、脅威度は対処法が解らない黒死の天霊と同じくらいには凶悪と言える。

 

二つ目は別離れなく死を憶ふでモンスターを倒す度に、武器の耐久値を回復するという効果で、黒き死に捧ぐ嘆きとのセット運用を前提とした効果デザインであり、ペッパーが保有するユニーク小鎚三兄弟の様に特定の条件化で耐久が変動する武器で、他にも傑剣への憧刃(デュクスラム)傑鉄への鐵鎚(タウスレッジ)の様な武器も在るので珍しくは無い。

 

三つ目は別離れなく死を憶ふで敵モンスターやプレイヤー、NPCを打倒し続ける程に武器重量が『()()()され続ける』という効果で、キルスコアが極まった場合の重量は装備プレイヤー側では『短剣レベル』の軽さに至り、他のプレイヤーやモンスターが食らった場合の重さは『特大剣のまま』という判定が下される。

 

サンラクが此の大剣を選んだ理由は、此の二つ目と三つ目の能力に有り──────貪る大赤依が『群体系のモンスター』である事と、打倒したレッドキメラを構築する小さなバッタの一匹一匹に対して『死亡判定』が働いている事、そして黒き死に捧ぐ嘆きと別離れなく死を憶ふのスローター行為で回復と強化を加えていく特性、其の全てが噛み合った事で鏖殺コンボが完成したのである。

 

「ヨッシャァ!」

 

生み出された赤いキメラが砕け散る、そして別離れなく死を憶ふが『片手装備可能』な迄に重量が軽くなり、左手に特大剣を右手にアラドヴァル・リビルドを握り締め、此の状態まで極まった今の自分にならば出来ると『確信していた』。

 

「ペッパーァ、冥王の鏡盾(ディス・パテル)を貸せぇっ!!ディプスロ、レイ氏!魔法を俺にブチ当てろォ!!」

「あいよぉ!!」

「はいっ!【焔よ猛れ──────」

「任せてよぉ…………!」

 

頭上に放り投げた二つの剣を手放し、纏った装備の上から灼骨砕身(シャッコツサイシン)で刻傷の効果を相殺。先に落ちてきた別離れなく死を憶ふを地面に刺し、アラドヴァル・リビルドの持ち手を軽く持って再び空に放り投げる。

 

左手でキャッチしやすい様に円盾が投擲され、サイガ-0が走りながらに詠唱を開始し、ディープスローターもまた詠唱を行い。右手に顕現させ、左手でキャッチしつつ、構えた彼女()は叫ぶ。

 

「【吸転換(コンバート)】&【吸転換(コンバート)】!!」

「【ビースト・ドゥームフレア】!!!

「──────!」

 

攻撃が飛び交う中、プレイヤーと大赤依とプレイヤーの間を貫き飛来した魔法達が、両手で握られ開いた盾に吸い込まれて青い炎が二重に纏わり、()()()()()を額に、右手の撃鉄を胸に叩き付けて、輝きと黒雷を其の身に帯びて。

 

インベントリアに盾を収納から突き刺した別離れなく死を憶ふ、投擲したアラドヴァル・リビルドを掴み、彼女()は言った。

 

「覚悟しろ、クソレッド──────『臨界速(ブラディオン)』!!!」

 

其の言葉と共にサンラクが()()()を踏み出した瞬間、遅れて響いたのは『音』であり、刹那に貪る大赤依の脚と首の一つずつが斬り飛ばされた。

 

続いて二回、三回、四回と音が響き、貪る大赤依の背面に生えた無数の尻尾が切り離されて。此れは一体何だと、プレイヤー達が疑問を抱いた……………次の瞬間。

 

「ぷぎゅる」

『!!?!?!?!!!?!??』

 

奇妙な声と共に、黒雷と青い炎と星の輝きを纏った小さな粒が夜空の彼方へ吹っ飛んで行って、赤い怪物は首が残り一本だけになった事に、驚愕と共に身を強張らせながら言葉にならない悲鳴を上げ。

 

そして──────

 

 

 

 

 

 

 

 

『規定速度観測、条件達成』

『達成者プレイヤー名:サンラク』

『称号【最大速度(スピードホルダー)】を獲得しました』

 

 

 

 

 

 

 

前人未踏の空席が、此の瞬間を以って埋められた。

 

 

 






至りし者


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