終わったら、やる事は一つ
「おーう、お疲れさーん」
「
「ペッパーはーん!」
『ワォーン!』
「御疲れ様でした、
「ペンシルゴンしゃん!」
「サイガ-0〜!」
「ブルルゥ!」
赤竜ドゥーレッドハウル、そして立て続けに発生した
「やぁやぁ、サンラク君。
「え、やだよ。疲れたし眠たいんだが?」
「いやぁ、凄かったよぉ。サンラクくぅ〜ん」
「最大速度を取った感想を是非とも聞きたいのだが………」
「其れよりもあの巨大な剣について話を!」
廃人プレイヤーがわぁわぁと騒ぎ出し、収拾が付かなくなりそうな予感を抱いたサンラクは、さっさと此の場から逃げ出す方法を考えていた所、声を上げた人物が一人居た。
「まぁまぁ、オハナシは後日でも出来るから……………皆さんで一先ず『アレ』を確認しません?」
装備を何時もの見慣れた状態に戻して、武器やら一式装備やらをインベントリアに入れたペッパーが、貪る大赤依が崩壊した場所を指差しながらに言う。
其処には途轍も無く巨大な『血溜まり』が出来上がり、其の血溜まりの中に光るエフェクト達は、まるで『此処にアイテムが在るよ!』と言わんばかりに
「貪る大赤依は『血』なのだろうな………」
「嘗て存在し、クターニッドさんが警告した『始源の存在』──────そう見て間違い無いかと」
空き瓶を取り出したペッパーとキョージュが、赤溜まりを掬い上げてみれば、硝子の中でドロリとした半固形液体に黒みを帯びた色合いをしているのが見えた。
此れは果たして何だろうかと、フレーバーテキストをチェックする。
黒き神の血は黒へと行き着き、暗闇は万象に通じ、混沌にこそ覇道は在り。
白は隷属を説くが、黒は一体化を説く。大いなる黒き闇の脈動は、安寧と安泰への道を示す。
黒い神の血は始源眷属の性質をより
テキストを読み終えた二人は、静かに視線を合わせた。
オールフレーバーテキストかつ圧倒的な情報量だが、此の新大陸は『黒き神エレボス』という存在であり、貪る大赤依は『始源眷属』というカテゴリーに属し、同様の存在が新大陸には『五
同じ答えに行き着いたか、無言で瓶入りの血を収納してたのである。仮に直接飲んだ場合、絶対にロクな事にならないと予感したので、此のままインベントリの奥底で眠っていて居て貰うとしよう。
「……………で、誰から取る?貪る大赤依の報酬」
「全員でコレと思う物を選んで、全員で引っこ抜けば差別はねぇだろう」
「サバイバアル、良い事言うじゃん。其れで良いかな?」
「良いと思う」
そんなこんなで自分はコレと思う物の光が在る場所に行き、両手で血溜まりに手を突っ込んで。中に在る物の感触を確かめ、ペッパーの『いっせーのーせ!』の掛け声で引っこ抜けば、各々の手には貪る大赤依の報酬が握られていた。
ある者は赤い宝石型のアクセサリー、ある者は猛禽類の鉤爪が付いたレッドメタリックのブーツ、ある者は血管を線維として編み込んだ様なマフラー、ある者は牙獣の牙を混ぜ合わせた様な歪な形をする片手剣、そしてある者は肉食系モンスターの頭蓋であった。
「見て見てぇサンラクくぅん!
「ブーツは『
「『
「『
「『
背中から利き手が生えた者、ブーツを履いて蹴りの感覚を試す者、赤いマフラーの能力に驚愕する者や、牙の剣を振るう者に、能力が被っていると悲嘆する者と、三者三様十人十色の反応が沸き起こる。
そんな中でペッパーが手にしたのは、サンラクと同じ肉食系モンスターの頭蓋骨たる『暴血赤依骸冠』であり、彼曰く『
貪る大赤依を撃破した報酬にして、獣の上顎のようにも見える奇妙な赤い髑髏の冠。【
詠唱から三百秒間の間、此のアイテムを使用したプレイヤーは『赤い怪物の姿』へと変身し、プレイヤー・NPC・エネミーを問わずHPを持つMobをキルした数に応じて、最大HPと最大MPを増大し、自身の全ステータスを向上させる。
ただし三十秒毎に暴走判定が発動し、合計十回行われる暴走判定間に『最低三体以上』のキル判定を達成していない場合は『
お前は誰だ!? 俺はお前だ! 違う! 俺は負けた! 俺がお前だ! 俺は血だ! 血だ! 肉だ! 俺は「赤」だ!! 魂はお前だ! 俺は飢えている! お前は俺だ! それは最後! 俺は飢えている! お前も飢える! だから………だから全てを喰らい尽くす!!
サンラクの言う通り、文面だけ見ればスローターを行う程に能力を高めていく、
だが、黒き死に捧ぐ嘆きは女性状態時専用であるのに対し、此方は男性状態でも使用可能な他、アイテムの扱いから『暴血赤依骸冠と黒き死に捧ぐ嘆きは併用可能では無いか?』と推測出来る。
何よりフレーバーテキストだけでも相当な情報量を持ち、デメリット効果に在る『左方始源血属』という単語からしても、此れを使い続けたら『ニンゲン ヤメマスカ ?』一直線な危険を孕んでいるのは間違い無い。
「重要情報が多過ぎる…………オマケに使い過ぎたら人間に戻れなくなるぞ、的な文脈だしよぉ…………」
「えっ、そっちもそんな感じなのぉ?私はダメージ受け過ぎるとオートでプレイヤーを殴り出すらしいんだぁ〜」
「此方はキル重ねてかねぇと、一定時間で防御と耐久がガンガン減って、最終的にどっちも1になるみてぇだ」
「要するにブッ壊れ性能とクソみたいなデメリットを同時搭載したアクセサリーやアイテム、防具や武器がレイドモンスターの撃破報酬って訳か……………」
色々思う事は有るが、全員の頭に過ったのは『取り敢えず御疲れ様でした』という言葉であり。
「えー…………赤竜ドゥーレッドハウル、及び貪る大赤依の討伐に協力していただき、本当にありがとうございました!皆さん、本当に御疲れ様でした!!」
ペッパーの音頭と共に、此処に赤竜討伐は完遂されたのであった……………。
乗り越えられたのは、
「ペッパー・
「ミダス28世殿、俺達は赤竜ドゥーレッドハウルを討伐しました。最後に決めたのはサイガ-0さんです」
「はい…………その、ラストアタック、しました…………」
都市で待っていたミダス28世に報告し、サイガ-0が前に出て。そしてホルヴァルキンには鉱人族と赤系竜人族の、狂乱と歓喜と祝杯の声に彩られたのだった。
報告完了