ある程度の話の後に
「「「「「「「「…………………」」」」」」」」
此の場所に、
「………………………」
対する其の者は此の場に居る、全ての命を『見下ろしている』。
『ヴルルルルッ』
彼女──────シャンフロの最大瞬間火力保持者のサイガ-0は、此方が黄金のマグマを採取している間に、どういう訳か『途轍も無く巨大な馬』をテイムし、其れに乗ってやって来ていたのだ。
其の馬も関節部分が伸縮可能な体皮で覆われ、更に其の周りを鎧の様な甲殻で覆い、馬の毛とも言える物も鎖帷子の形状を持っており。
一般的に見る『サラブレッド系』では無く、骨格から『ブルトン系』の様相を呈している他、単純な体格だけなら自分が保有する
目算だけでも『七メートル』は下らないだろうか?
「…………色々聞きたい事は有るが、其の馬は一体…………?」
「姉さ………コホン。えっと………話せば、長くなると……言いますか。要約すると───『隠し最上位職業:
「…………要約し過ぎだな」
「取り敢えず、此の子の名前を………どうしようかと、思ってまして…………」
まるで品定めをするが如く、鉱人族や赤系竜人族に加えてプレイヤー達を見定めている、此の巨大な騎馬。其れを見ていたサンラクが「ヴァイス・ヴルストなんてどう?」と述べた所、馬側は『気に入らなかった』のか『ヴァイス・ヴルスト=ソーセージに気付いたのか』、気に入らんと言わんばかりに頭突きを御見舞する。
其の後プレイヤー達で巨馬…………モンスター名『アルマアロゴ・ヘタイロン』の名付け大会が開幕し、最終的に火山という地域に居る天すら戴く剛の
「で、レイ氏。ケットバス・ドラグーンだっけ?」
「
そうしてサイガ-0は話し始める。
先ず此の隠し最上位職たる追月の竜騎は、シャングリラ・フロンティアというゲームがサービスを開始してから約十ヶ月が経過した頃、騎士系統最上位職業の『
其の職業に就職したプレイヤー達と協力したライブラリによって建てられた仮説は、『上位職業の聖騎士と暗黒騎士をメインとサブにセットした状態で、なんらかの条件を達成すると隠された最上位職業が解放される』といった所だった。
騎士を由来とする最上位職業ながら、信仰と殺戮に分かれた二つのジョブ────────双方が暗示する『彷徨える騎士』の情報はゲーマー達の中二心を擽り、其の謎を解明するべく検証や情報収集が行われ。然しながら正体を掴むには至らず、極一のプレイヤー達が今尚調査する程度の物になっていたのである。
だが…………サイガ-0は此の瞬間まで『聖騎士と暗黒騎士を己が生業として剣を振り続けており』、其れが此の追月の竜騎に習得する為の『条件の一つ』を満たしていたのだ。
其れはシャンフロというゲームにおける強さの大半は、プレイヤーが習得した『スキルと魔法に依存している部分が有り』──────詰まる所『習得するスキルや魔法を吟味して覚えれば、其れなりに便利な上位職業だとしても最前線で普通に戦える』という
シャンフロの職業への就職は大きく分けて三つの派閥が存在し、最もポピュラーで大半の職業が当て嵌まる『条件型』、シナリオやクエストをクリアする事で就職チャンスが手に入る『物語型』、メインとサブの両方のジョブによる組み合わせた条件達成で到れる『複合型』の三種類だ。
ムラクモの持つ『
今尚もシャンフロプレイヤーで最高火力を誇る彼女は、
そしてアルマアロゴ・ヘタイロンとの激闘を演じ、トドメを刺さんとしたタイミングでユニークシナリオが発生した事で、回復したりしていたらテイム出来て現在の状態に至った──────というのが話の流れであるという。
追月の竜騎へ就職する為の条件は、彼女の推測にこそなるが『最上位職業に転職可能な状態の聖騎士と暗黒騎士のジョブをセットし、NPCの間で噂になる程の強さを持つ他、聖輝士と黒忌士の両陣営にも味方をせず、其の状態で騎乗可能なモンスターと盛り上がる激闘を繰り広げた事でユニークシナリオが発生し、其れによって追月の竜騎へ就職出来る』と彼女は述べたのだ。
話を終え一息付いた彼女に、ある者は一体どんな能力を持つ職業かと期待を、ある者は難しいが再現性は有るだろうと睨み、またある者は『ユニークユニークユニークユニークユニーク…………』とぼやいていたり、異なる反応で彩られていた。
「簡単に言いますと………昼間は闇属性の、夜間は光属性を扱えます」
「つまり時間によって、逆の属性に干渉する………という事かね?」
「えっと………そう、なります」
彼女の話を聞く所によれば、昼間は『影に触れる事』で力を取り込み、夜間は『光に触れる事』で力を取り込むのだという。ならば検証してみようと、キョージュの発言によって検証が開始され、サンラクがインベントリアから【マジック・トーチ】の
「えっと…………行きます。──────【
「んぐぉ!?」
「うわっ!?」
サンラクとペッパーが声を上げて皆が注目すれば、マジック・トーチで現れた光がサイガ-0の手の中に『吸い込まれている』。いや正確に言うならば、光という空間
更にマジック・トーチの範囲内にサンラクとペッパーが居り、二人がステータスをチェックすれば自分達の『MP』が削られているのに気付く。となれば必然的に、サイガ-0の掌に収まった光は自分達から徴収したMPであると判る。
「こうして、掴んだ光………即ちMPは、自分に還元するか、そのまま攻撃とかに転用するかで、選べるそうです…………」
「光源有りきとは言え、MPドレインってエグすぎねレイ氏……?」
「魔法職が泣きそうだな、コレは…………」
「あ、ごめんなさい!今御返しします!」
「「えっ!?」」
そう言ったサイガ-0によって、掌に集まっていた光が其々ペッパーとサンラクの身体へと戻っていく。他者のMPの徴収だけに留まらず、剰え徴収した分を他者へと渡して回復させる事も可能な『ドレイン&ヒーラー』…………夜間がMPであるなら、昼間は体力を徴収して還元する事さえ可能という、場合によっては『人権』に成り得る凄まじい職業であると、此の場に居た全員に示されたのである。
「コレ凄いな………。場合にもよるが『パーティーの回復役を一人で担える』だけのポテンシャルが在るし、やりようによってはサイガ-0を経由した『敵モンスターのMPや体力を味方へ橋渡し』出来る…………!」
「レイ氏、此の職業はヤバいぞ…………どうする?其処のキョージュに頼んで、他のプレイヤー達に拡散して貰う?其れとも秘密にしとく?」
此の手に関しての最終決定権は、此の職業を見付けたサイガ-0本人に委ねられている。彼女は暫し考えた後に何かを決心したかの様に頷いて、そして皆を見てこう言った。
「…………私は、公開するべき………と思っています。貪る大赤依と、皆さんと力を合わせて戦って………感じたんです。ワールドストーリーが進んで、何時か『始源の存在達』が現れた時に………強い人が一人二人居るだけでは、
貪る大赤依はワールドストーリーが次段階にならなくては出現しなくはなったが、撃破時のウインドウから『レイドモンスターは再出現する可能性』が捨て切れない。更には規定人数の半分近くで、其れもシャンフロプレイヤーの中でも上澄みの実力者達で倒せた存在が複数居り、そんな存在達を放置すれば『何れ取り返しの付かない事態に陥る事』も考えられる。
其れがサイガ-0が此の職業を『公開するべき』だと結論に至った理由でもあった。
「キョージュさん」
「うむ、早速取り掛かるよ。其れとペッパー君、明日には開拓者を乗せた船が新大陸に到着する。なので召喚される前のセーブポイントに戻りたいのだが、良いかね?」
キョージュの言う事は御尤もであり、流石にセーブポイントから居なくなった事を心配するクランメンバー達も多いと考え、ペッパーはポポンガを呼び。
彼の手によりイムロンと
「さてと、だ………。目的の物は手に入ったし、製作が楽しみだな」
赤竜ドゥーレッドハウルと貪る大赤依の討伐という道程を経て、黄金のマグマが漸く手に入った。此れでやっと
三段変形を可能にする剣鋏と象徴たる聖剣を何に使うか、ペッパーは『既に決めており』。今はまだ頭の中で『朧気な状態』でしか無いが、もし完成すれば『とんでもない逸品』になる他、素材の入手難易度は途轍も無い程に高いが『理論上は再現可能』な物を作り出せるだろう。
「よし、其れじゃあ俺等も帰るか!」
「あ、あの…………サンラク、さん!ちょっと、良い………ですか?」
「ん、どうしました?レイ氏」
「えっと………大事な話、なので………。サンラクさん以外は、離れて貰って………良い、ですか?」
そんな中でサイガ-0が口を開き、サンラクに声を掛けて。そして彼女の口から彼に対して『話』が有り、二人だけで行う話で有るので他のメンバーは席を外す様に頼まれた為、二人を残して離れる事になり。
サイガ-0からサンラクへ、大事な話は伝えられた。
其れはサイガ-0からサンラクへのオハナシ
※尚、キョージュによってサイガ-0の就職した隠し最上位職業の情報は専用スレに投下され、御祭騒ぎとなりました