新大陸、到着
新大陸へのリアルタイムで一週間の大航海、水平線の先に朧気に見えていた大陸の輪郭がくっきりと映り、プレイヤー達がワイワイガヤガヤと甲板や窓から顔を出し、いよいよ来たる新たな世界の冒険に心を躍らせる中、遂に三隻の船は先達の開拓者達が作り上げた港へと到着する。
其の港町は黒竜ノワルリンドによる恐竜や恐竜キメラのモンスタートレインで壊され、笑みリアを始めとした建築組の尽力によって『城塞街』と化しており。中でもプレイヤーやNPCの注文を集めるのは、やはりというか昨日出来上がったばかりの『巨大な城』──────否、骨と骨に骨を加えて木や岩に外皮や甲殻を用いて建たれた『城塞』であった。
「此方、聖女様の為に職業:
「…………えぇ?」
「我々は嘗て、忌まわしき黒竜ノワルリンドと
慈愛の聖女イリステラ含め、ポポンガの魔法によって元のセーブポイントに戻って護衛に就いたジョゼットを始め、
天守閣の部分に不自然に空いた空間と、天守閣の一段下のエリアに存在する三つの穴が一体何を意味するかはサンラクが知る由は無い物の、アレが何かしらを『飾る』為の物で在る事だけは、間違い無く理解出来る。
そして現在のサンラクは王族の護衛任務として離れた場所で様子を見ており、此の地で起きる『王族の暗殺に関する決定的な証拠を抑える』事に在り、イリステラから其の手に関するアイテムも船の中で受け取っており、彼女の予知では『暗殺実行は夜から深夜の時間帯に起きる』と言われており、現在は朝の時間帯の為におよそ半日程度の空き時間が出来ている。
「なぁエムル、アレを見てどう思うよ?」
「骨と骨を積み重ねて作った社ですわ」
「だよなぁ…………」
マフラー状態で偽装したエムルもそう呟く中、イリステラに聖盾輝士団含めてスカルアヅチへと無事に入城。ランドマークを更新して今夜に備えるべく、エムルを部屋内に待機させて彼は単身『とある場所』に向かったのである……………。
開拓者達が新大陸にて新たなる冒険に心を躍らせ、先達者達がベヒーモスやらの事について後陣組に聞いたりと、一際喧騒に満ちた港町。其の喧騒の最中にひっそりと、先達組が乗ってきた開拓船の船底にオープンしていた『海蛇と林檎』と呼ばれるカフェに、サンラクはやって来ていた。
「ルティアパイセン、おはようございます」
「おはよう、サンラク」
嘗てファステイアにて刃を交えた、器用重視のダブルトンファーエッジ使いの
そして此のカフェは裏の顔として、仇討人や賞金狩人が在籍する『彷徨う剣』の活動拠点の一面を持ち、其処に居たのは赤竜ドゥーレッドハウルやレイドモンスター・
「おぅ、サンラクじゃねーか」
「よっ。つぅか随分と人がいるじゃねーか………」
「仇討人の件に関しちゃ、此方が情報流しといたからな。検証の御蔭で何人か仇討人に成れたぜ、多分其の内数人増えそうだ」
ルティアに衣装を献上したり、或いはスクショを交換し合ったりと賑わいを見せるプレイヤー達だが、其の中の一部はサンラクの方へと歩いて来るや、彼に対してこう言ってきた。
「ツチノコさん、ツチノコさん!サバさんと一緒に貪る大赤依を討伐したって、あのアナウンスってマジなん!?」
「やっさんの報酬見たいんですけど良いですか!?」
「
「ティーアスちゃんのスクショを是非とも頂きたいんですが…………」
「待て待てオマエ等、ティーアスちゃんのスクショは俺が買うんだよッッッ!」
サバイバアルまでもが話に入り、状況は混沌を極めている。おそらく貪る大赤依はサバイバアルが着せ替え隊に、うっかり口を滑らせた事で漏れた可能性が無きにしも有らずなので、一先ず置いておく事にして本題を切り出す。
「んー…………まぁ、要点だけ言うと『王族が暗殺されそうだから其れを阻止しようぜ!』って話だ。そんな訳なんで参加しないかって俺からの御誘いなのさ」
「本当に要点だけバッサリ言い切ったなオイ…………」
「因みに今夜に行われると聖女ちゃんから御言葉を頂いたのと、『家のクランリーダー』が夜には前線拠点に到着出来る様に行動してます」
「マジで!?」
「ペッパー此方に来てるんか!?」
「ペパ子ちゃん降臨を生で見れるん!?」
やんややんやと騒ぎ湧き立つ着せ替え隊の面々に、ペッパーも随分と名が知れ渡ったなぁと、何かしらのタイミングで言ってやるのも視野に入れつつ、彼が撮影した新大陸の空中写真を引っ張り出して、取り敢えずの作戦を伝える。
「聖女ちゃん曰く……………『新大陸の奥の方で暗殺事件が起きるに辺り、王族を新大陸の亜人種に殺されたと偽装する事で信憑性を増長させる事』が狙いだ。なので暗殺阻止に成功したら、俺が護衛して前線拠点に戻って来るので、首謀者陣営と鉢合わせて『確証』なる瞬間を押さえ、開拓者の数で圧して拘束に持っていく算段って訳」
「成程、決定的な証拠を押さえりゃ大義名分が出来ると。なら此方も、奴等がやってる事を『まんま返してやる』訳だな」
「そゆこと。あくまでも無力化出来れば万々歳だから、くれぐれもやり過ぎるなよ?」
「カカカ。そりゃ良い、今夜が楽しみだな。家から機動力が有る中を数人斥候に回す。ルティア相手に
最悪囮としてパージしてもキッチリ生き残れる連中だからよと、そう自信満々に言い切ったサバイバル。取り敢えず協力要請を通せたので、後は時間が来るのを待ちつつ其の瞬間に備えるのだった………。
──────質問地獄は待っていたが。
準備は本当に大事