VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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クエスト完遂へ




ネームバリューで包囲網、そして聖女の言葉が響く

「あー…………うぉっほん!!!今此処に、国王トルヴァンテ陛下及び第一王女アーフィリア殿下、そしてペッパー・天津気(アマツキ)ちゃんことペパ子ちゃんの御帰還であるッッッ!道を開けぃ!」

「えっ、コレ俺も何かやる流れなの!?えっと、ええっと………ゴホン!よし………あーあー、前線拠点に辿り着きしエルフスキー達よ!俺は約束を果たしたぞ!エルフ達の明日を守る為に、皆の力を貸してくれ!!」

 

開拓者達が七日のリアルタイムを掛けて辿り着いた新大陸、大工系最上位職業:大棟梁の笑みリアを始めとした生産職組のプレイヤーにより産まれ変わった前線拠点。

 

一度此の地に壊滅的大打撃を与えたドラクルス・ディノサーベラス『傷だらけ(スカー)』の出現に際し、ペパ子ちゃんによる救援要請(オネガイ)に躍起となったプレイヤー達が嘗て味わった屈辱を倍以上に熨斗付けて返さんと出撃する中、多方面からの恐竜や恐竜キメラに警戒していたプレイヤー達は其の声の方角に向いて目を丸くした。

 

掲示板で見慣れた姿ながら性別変更を可能にするクターニッドの聖杯で、王子様系女子となった最大高度(スカイホルダー)最大潜水(ダイヴホルダー)の、シャンフロ史上前代未聞&前人未踏の二冠の記録を持つ『ペッパー・天津気』。

 

五体の色竜が一柱・赤竜ドゥーレッドハウル及びレイドモンスター・(むさぼ)大赤依(だいせきい)最大火力(アタックホルダー)と共に叩いた疑惑と、其の過程でシャンフロプレイヤー最速の称号たる最大速度(スピードホルダー)を手にし、現在はどういう経緯か喪服姿の女と化した『サンラク』。

 

百人以上は居る森人族(エルフ)を不意の交通事故で死亡する確率が高い新大陸の樹海に置いて、唯の一人さえも脱落させる事無く『ノーデス』で前線拠点まで連れて来た、エルフスキー達の勇者たる『トットリ・ザ・シマーネ』。

 

そして其の証拠として彼等彼女等と共に、三機の征服人形と二羽のヴォーパルバニー、一匹のリュカオーンの分け身、並びに百人以上のエルフ達が一同に前線拠点に到着した事で、此れから起きる事態にプレイヤー達の視線は否応無しに集まる。

 

「───おお陛下、其れに殿下も。御無事で何よ「あ!『王族殺して新大陸の亜人種達を奴隷にしようとしている』、かの有名な絶命剣の騎士団長さんチィース!!!」

「悪いが『新大陸の亜人を奴隷』として扱うつもりの僭王に従うつもりは無い!そして!!其の為に国王と第一王女を暗殺せんとするお前達にもなッ!!!」

 

イベント進行か故か、何処かボロボロの状態になっている第三騎士団と、其の騎士団長・絶命剣(キリング·ソード)のユリアンを前に、言うが早いかサンラクとトットリ・ザ・シマーネが真実を以って声を上げる。

 

此れが『普通で有るなら』、絵空事やら悪質なデマと言って第三騎士団は其れを掻き消す事が出来るが、此処は『ゲーム』であり、プレイヤー達に権力という絶対的なアドバンテージは『イベント進行』以外では無に等しく。

 

「やぁやぁ、御嬢様方(フロイラインズ)!話は聞いたので、此処は私に任せて貰おうか!!」

「ペンシルゴン、あまり先行し過ぎるよ。黒剣(シュバルツシルト)の団員は森人族と王族を守れッ!第三騎士団に指一本触れさせるな!!」

「おぅおぅ、随分盛り上がってるじゃねーの」

「ふむ…………亜人種族を隷属させんとする新王陣営の動き、やはりワールドストーリーの影響なのかね?サンラク君、ペッパー君」

 

そして何よりもプレイヤー内で最速たるサンラクと、エルフスキー達の期待に応えてみせたトットリと、其の二人と共に立つペッパーの存在がプレイヤー達に伝播し、更には名の通った数多くのプレイヤー達が彼等彼女等の味方として勢力に加わった事で、遂には第三騎士団に対する包囲網が構築されていく。

 

「此処で活躍すれば、ペパ子ちゃんやツチノコさんの情報を貰えるんじゃね………?」

 

欲望に素直な声が溢れるが、人間は欲を程良く抱えて生きていた方が丁度良い。無さ過ぎても毒だが、有り過ぎても毒なので、折り合いを付けるのは大事である。

 

流石に数の暴力に加え、一度挫いた所で幾度も立ち上がる開拓者達を前に、第三騎士団と騎士団長のユリアンは抵抗しようとしたが、ベヒーモスでのレベルキャップ解放によるステータスの暴力、更には銃火器やロボットを取り出されては勝ち目は無く、最終的に全員纏めて御縄に付く運びとなった。

 

「──────さて、最後の一人が死ぬまで此の先の樹海に突っ込んでサバイバルするか、我々が用意する船で旧大陸に帰るか。聡明なる騎士団長殿は、果たして何方を選ぶのかな?」

「くっ、外道が………!」

「知ってる」

 

流石は黒幕魔王にして、外道節全開の我が恋人ペンシルゴンだ。シャンフロの権力に関係するとも有ってか、随分と絶好調な様子である。其の内『王権掌握』すらしそうな予感がするのは最早気の所為じゃないし、彼女なら『絶対にやる』という確信が有る。

 

そんな事を思っていれば、プレイヤー達によって第三騎士団と騎士団長がスカルアヅチの方向に連行されて、入れ替わる様にして聖盾輝士団の団員達に護られながら、慈愛の聖女イリステラが此方へ歩いて来た。

 

「皆の者よ、聖女様の御前である!傾聴する様に!!!」

 

聖盾輝士団団長のジョゼットがロールプレイで高らかに言葉を述べ、イリステラを囲い護る様に団員達が位置に付く。そしてイリステラが一歩前に出て、話を始めた。

 

「…………………『竜災(りゅうさい)』が、近付いています」

 

りゅうさい?

 

竜の災害か?

 

いや厄災の方じゃない?

 

ざわめくプレイヤー達を前に、イリステラは尚も言葉を紡いで行く。

 

青い傲慢(エルドランザ)………白い狂愛(ブライレイニェゴ)………緑の老獪(ブロッケントリード)………そして黒い暴虐(ノワルリンド)が………来ます」

 

サイガ-0がフィニッシャーとなって赤竜ドゥーレッドハウルが討たれた事は、新大陸や旧大陸に居たプレイヤー達に運営からのアナウンスで広く報らされた為、彼女の口から其の名が出なかった事には納得出来る。

 

だがイリステラの口から『ノワルリンドの六文字』が放たれた瞬間、周りに居たプレイヤー………其れも先んじて新大陸に到着していたプレイヤー達の身体から『怒気や殺意』を内封したオーラがドロリと滲み出たのを、今朝方到着したプレイヤー達は察知した。

 

「其れに呼応する『黄金』………『未曾有の災禍』が、此の新大陸に吹き荒れます………。故にこそ、我々は『団結』しなければなりません」

 

イリステラの言葉はプレイヤー達に此れから起きる『ユニークシナリオのおさらい』であり、残された四体の竜達と天覇のジークヴルムによる戦いが起きると伝える物。

 

だがサンラクと聖盾輝士団のプレイヤー達は、イリステラの言葉は唯の言葉では終わらない事を知っている。彼女の言葉はシャンフロに起きるイベントを『予言』の様に、プレイヤー達に伝えているのだから。

 

「三つ巴に争いし『(けもの)の人』………。青空に焦がれる『(とり)の人』………。赤竜の弾圧より解放されし『(こう)の人』………。自由を愛する『蜥蜴(とかげ)の人』………。黒竜に従属せし『(りゅう)の人』………。竜に抗いし『(おお)きな人』………。力を持てど争いを嫌う『(むし)の人』………。そして、其の全てより拒まれし『(けが)れし人』………」

 

彼女の言葉を当て嵌めれば、順番に獣人族(ビーストマン)鳥人族(バーディアン)鉱人族(ドワーフ)蜥蜴人族(リザードマン)竜人族(ドラゴニュート)巨人族(ギガント)蟲人族(バグマン)となる。イリステラの言った最後の種族の名前が解らないのと、其の種族の中に魚人族(マーマーン)が居ない事は気になったのだが、此処で口にすると考察やらの波紋を広げる原因となるので、開かない方が吉だろう。

 

「あれ?魚人族は?」

 

よりにもよってサンラクがポツリと呟いた事で、周囲のプレイヤーの視線が向いた。何やってんのと叫びたくなったし、其の視線が此方にまで注がれ始めた為、非常に面倒な気配しか無い。

 

「まだ見ぬ人と、遠からず、されど近からぬ同胞とも、私達は結束しなければならない。………竜災の後、此の世界に吹き荒れる『滅びに抗う』為にも」

 

イリステラの言葉を要約すると、だ。『新大陸の開拓を進めて新大陸の亜人種達と交流し、天覇のジークヴルムのユニークシナリオの後に現れる、始源眷属及び始源眷族による滅びの波動へ備えよ』──────そう言っている様に聞こえた。

 

「聖女ちゃ……様!其の同胞とやらは一体どこにいるのでしょうか!」

「幾つかの種は………此の樹海の何処かに居ます。そして樹海を越えた先の地にも──────」

自由(フレ)に呼ばれたので部屋抜けますね^^」

「あっ、サンラク待てぇあ!!!」

「ぐべぇ!?」

「サンラク君、確保ォ!!!」

「貴様等ァァァァァァァァァ!!?」

 

隙を見つけたサンラクが最大速度による逃走劇を展開する直前、バフを全開にしたペッパーが撃鉄を胸に叩き付けんとした所を組み付く形で取り押さえ、其処にペンシルゴンと離れて見ていたオイカッツォ&京極(キョウアルティメット)も加わり、羽交い絞めによる確保で逃走を阻止。

 

最終的に連盟クランのメンバーも巻き込んで、先達組のプレイヤー達を前に『オハナシ』をする事になり。途中で『アラバ&ネレイス含む魚人族の一団』が海から出て来た事で、前線拠点は大混乱に至ったのであった……………。

 

 






厄災に備えよ


※尚、ペッパーのオネガイで傷だらけに突撃したプレイヤー達は、レベルキャップ解放して其れでも苦戦を強いられてリスポーンさせられながらも最終的に数押せ戦法&銃火器ロボット持ちの後着組も加わってくれた事で、何とか押し返して撤退に追い込めた

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