一方其の頃
時間は少し遡り、8/9の午後二時。
此処は新大陸屈指の危険地帯、シグモニア
「フ
戦場を赤い閃光が走る。トレイノル・センチピード・グスタフの背を駆け抜け、フォルトレス・ガルガンチュラから発射され、飛来してきたアーミレット・ガルガンチュラを捕まえて、爆発前にダンクシュートの要領で砲塔内にブチ込み爆砕する。
「soloそろ時間da、さっさとsiずめeeee!!!」
戦闘を通じて片手で持ち上げられる程の重さになった
アーミレットを斬り裂き倒し、スローターを重ね続けた特大の墓標大剣と共に、黒い喪服を下地として赤い脈動が更なる力を帯びる。叩き付け、打ち据えて、何度も何度も戦って、幾度も経験したからこそ、サンラクには解る。グスタフの関節からギチギチと悲鳴に似た其の音は、『あと一押し』と告げる勝利への合図だ。
「くtaばれyaAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」
異形で赤い手に着いた
流星の速度でグスタフの進路上に回り込み、駄目押しの
戦場を駆けて突撃するグスタフの眉間に墓標の刃がブッ刺さりから、叩き据えられた憧れを抱く小鎚によって刃が食い込み、柄尻が衝撃によって押し込まれた事で『グスタフの顔面が真っ二つに割かれ』、遂に決着となった。
「ぐふぅ…………うごごごご……………」
戦闘終了と同時に赤い流動は弾け飛び、グスタフを構成するポリゴンが崩壊すると同時、黒い喪服状態のサンラクが戦場にて仰向けに倒れる。ふと視線を移せば、自分と契約した征服人形のエルマ=
と、そんな状況下で新たなグスタフが大地を破り現れ、不倶戴天の敵たるフォルトレスと戦闘を開始し始め。重たい体に鞭を打ってアイサインでサイナに退避を出した後、二種族の生存競争を見上げながらに呟く。
「……………そろそろ停戦協定結んだら?」
そんな遺言とも取れる呟きと共に降ってきた、巨大な毒砲弾の直撃で押し潰され、最後は口の中に流れ込んだ毒液に襲われ、サンラクは溺れ死んだのだった……………。
「やっぱ効果時間切れの感覚は馴れねぇなぁ………。あむ………アヒージョうめぇうめぇ……………」
「サンラクサンのヴォーパル魂は、相変わらずちょ~全開ですわ!」
「そ、そう?それならよかった!」
「
ブリュバスのベッドにてリスポーンして男姿に戻ったサンラクは、暴血赤依骸冠によって空腹状態に苛まれながらもブリュバスから降りて。
空洞にてパワーレベリング&料理修行中のゴルドゥニーネの八番目・ウィンプがペッパーに教わって作り、サミーちゃんと共にせっせと持ってきた『アーミレットガルガンチュラのマテリアルゼリーアヒージョ』を口に運んで食し、素直な感想を述べた後にインベントリアの中身を覗く。
「グスタフの素材はかなり手に入ったし、前に手に入ったドーラの素材は残してある。おまけにフォルトレスの素材も戦闘中に回収したかんなぁ…………クックック」
ベヒーモスで見たペッパー(女状態)が装備し、
であるならば……………此のグスタフの素材をビィラックに頼み、ペッパーと秋津茜に作った装備を『男性用一式装備として作れるのでは?』と疑問を抱きつつ、取り敢えずはラビッツに帰ってから話を付けてみる事にした。
そんな中、外の戦闘による余波でズズズゥン…………!と空洞内全体が大きく揺れ、エムル・ウィンプがビクついたのを横目に、アヒージョを完食して空腹状態から脱却した彼の視界の隅で壁の一部が崩れ、其の先に『真っ黒な棘』が出て来たのを目撃する。
「何だありゃ?トゲ?」
一先ず足りない分の空腹ゲージは
「……………近くで見ると、随分と『マックロクロスケ』というか」
「さ、サンラクサン………。コレものすごーく、『ヤバい雰囲気』しかしませんですわ…………」
「あ、あたしてきにも、ものすごくかかわりたくない………」
「解析:……………完了。超高密度に圧縮された始源性物質、眷属種とは異なる成分の混沌性からして、此の羽毛は『オリジン』──────即ち『左方始源獣エレボス』の物です」
「マジかぁ……………」
貪る大赤依を血液とする、大元の存在。ある意味でコレは『棘』では無く、『枝毛』と言った方が正しい気がする。
「ん〜…………なぁ、サイナ。仮にコレを叩き割ったとして、エレボスが覚醒する可能性は?」
「……………正気を疑う発言ですが、おそらくは問題無いかと。そんな些細な欠損で目覚めるなら、そもそも次世代原始人類は現段階まで定着していないでしょう」
「成る程……………。よし、掘るか」
「「マジ(まじ)で言ってる(いってる)ですわ!?」」
「何やかんや言いながら、ハモるレベルで仲良しじゃねーか」
気になったら入手したい、採掘可能なら一度は採掘する。ゲーマーとはトライ&エラーから学んで、より良い効率・より高いスコア・より納得するプレイを求める生物だ。目の前に出て来たレアアイテム、掘り出さずして何時やるのか?今でしょ。
「コツコツ強化して、帝晶の甲殻すら貫いたからなぁ。其の名に相応しい活躍を期待するぜ…………!」
そう言ってサンラクがインベントリから取り出したのは、一本のツルハシ。だが其のツルハシは其処等に在る、普通のツルハシに非ず。
「ふんす!」
クラッシュレッジとヴァーティカルセンスに打撃系スキルを絡め、渾身かつクリティカルの角度を意識して叩き据えるが、黒い枝毛には傷一つ付かずに逆に弾き返されてしまう。
「ぐぬぉ………!だが此の程度で諦めねぇのが、ゲーマーだよなぁ!?」
剛掘の鶴嘴が砕け散る耐久ギリギリまで振るい、枝毛と壁の中間地点を叩きまくる。だが其れでもびくともしない、努力の無駄であるとも言わんばかりに、枝毛は其のままで。
「耐久的にラス一だが………!食らえこんにゃろう!」
一刀両断の如く、打首を行う処刑人の心持ちで全集中の元に、鋭利な鋒を打ち込んだ結果──────
「お」
「あっ」
「え」
「んぃ?」
ぽこん、と。
今の今迄の採掘は何だったんだと問い正したくなる様に、至極あっさりと落っこちて。下手な『砲弾海苔巻おにぎり』よりもデカい欠片が、コロコロコロリンと地面を転がった。
「剛掘の鶴嘴の耐久ギリギリまで削って、漸く一個か………。いや、逆に一個は入手したって事か」
「あ、さいせいしてる…………」
欠けた所から元の状態まで、あっという間に再生して棘の状態の其れに戻ったのを見つつ、さてコレは何なのかとサンラクはフレーバーテキストをチェックした。
始源黒片エレボセル
黒く、黒く、暗闇は万象を内包する。
暗闇を恐るることなかれ、混沌に身を委ねよ。
白は隷属を説くが黒は一体化を説く、大いなる闇の渦こそが安寧の終着点である。
黒い神の細胞は始源眷属の性質を昂め、濁り深まる五色はより神に近しい証となる。
全てを読み終え、サンラクは思った。
貫禄のオールフレーバーテキストじゃねぇーか──────と。
休息してたら毛を見付け、採掘した