VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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叩きのめせ




知性無き獣に成らず、武と知の二柱こそが人を人足らしめる

空を飛ぶという行為は、嘗ての時代より人類の夢として刻まれ、数多の挑戦者達が挑んでは敗れて、夢半ばで散って逝き、そして叶えられた事柄だ。

 

実際の飛行という行動は、目の前に立ち塞がるステージギミックを含め、楽々と突破出来るのがレトロゲーでは『当たり前』だが、VR全盛の今の御時世で其の常識は『あまり通用しない』。

 

飛行は飛翔する存在の速度・重量・挙動の三種のバランスが、正しく機能している事が『大前提』であり…………飛翔存在に何らかの過重負荷が強いられれば、真っ逆さまに墜落するのが『常識』なのである。

 

そして其れは今現在、二本の大剣を握って獅噛み付きつつも、後付けで生えた尻尾で下角に巻き付いてバランスを取るサンラクの重量によって、FM's(フォッシルマイヤーズ)クリサリス"戦災孤児(ウォールフェン)"の強靭で暴れ馬な飛行能力にも影響を与えていた。

 

「更に重kuしてやnよ、サイbo()o()グヘラkuレスuuu!!!」

 

カウボーイの如く戦災孤児に飛び乗って、インベントリから物品達を展開する。キルスコアを重ねた事で羽毛のレベルまで軽量化されながら、敵からすれば鈍重極まる特大剣の『別離なく死を想ふ(メメント・モリ)』、金晶独蠍(ゴールディ·スコーピオン)の尾より作られた神代技術により産み出された蛇腹大剣こと『煌蠍の尾鞭剣(ギルタ・アドラスカ)』。

 

要塞蜘蛛たるフォルトレス・ガルガンチュラの素材を使い作られし、背丈を越えた特重大盾たる『女帝城の顕壁盾(ヴォーバン・ガルガンチュラ)』のトリプルデッドウェイトによる合わせ技、駄目押しに盾でブン殴るという単純明快(シンプル)な。

 

しかし堅牢な鏡面を高速で殴れば硬いし強いよねという理論で繰り出した、プロテクト・スマッシュ+疾風連紲(しっぷうれんせつ)の脳天激突がトリガーとなり、遂に戦災孤児が過剰積載(キャパオーバー)を起こしてシグモニア前線渓谷(フロントライン)の谷底へと墜落して行く。

 

「胴たi()(tyaく)陸ha、飽きru程経験zuみだ」

 

別ゲーで戦闘機を操って地上ギリギリでミサイルをブチ噛ましたり、機関銃を乱射しまくって敵陣営を混乱に陥れ、胴体着陸による特攻爆砕で要塞を吹き飛ばしたりと、やりたい放題した記憶を思い出しつつもギリギリで戦災孤児より飛び降り、ぶっつけ本番『生えた尻尾で蛇腹大剣の持ち手部分を巻き付け』、有りっ丈のパワーで地面を思いっ切り叩いて衝撃を緩和。

 

其の流れからの身体を時計回りに捻り、特重大剣と特重大盾を谷底を動くアーミレット・ガルガンチュラ目掛けてブン投げ、暴血赤依骸冠(ブロード=クロゥネ)の暴走判定を回避し、テンションと共に高まった五感がサンラクにサキガケルミゴコロを()()()に使用させ。

 

脳内にて発現された、体力を全損させる死のビジョンを呼び起こすスキルにより、サンラクの脳内に『戦災孤児のビームで頭が吹き飛ばされて、其のまま死亡する』というほんの少し未来のビジョンを呼び起こさせた事で、彼女()は最小限の挙動で此れを回避。

 

蛇腹大剣を回収しながら思考を重ね続け、戦災孤児相手には『斬撃』では効果が薄く、最も効果が出るのは『打撃』なのだと悟る。見つめる先にはズタボロになり、飛翔を支える翅が歪んだ事で飛べなくなったサイボーグヘラクレスオオカブトと、リーサルに持っていける状況と倒せる絶好の好機が在る。煌蠍の籠手(ギルタ・ブリル)を装備、必殺技の超過機構(イクシードチャージ)でトドメを刺さんとし。

 

「──────其reはちょっto違uよなaAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

一部の不世出の奥義(エクゾーディーナリースキル)は、倒した時のシチュエーションがスキル其の物の出力に直結する。煌蠍の籠手の持つ超過機構は確かに強力で、此のまま繰り出し倒したとしても『相応の威力が保証』されるだろう。

 

だが其れでは、自分が『燃えない』。そんな安牌じゃ、自分が『つまらない』。何よりそんなのは──────自分が『絶対に楽しくない』。

 

(やるんなら、徹底的にだよなぁ!?!)

 

今の自分に繰り出せる『最高』を!今の自分が持ち得る『最大』を!!全てを此の一瞬に乗せて、戦災孤児を一撃でブッ飛ばす!!!

 

パラベラム・ルーティーン起動と共にスキル発動の為に必要な規定のモーションを取って、歪な獣の両手の其々に収まった撃鉄を身体の規定場所へ叩き付け、黒雷と星の輝きに身を包み。真界観測眼(クォンタムゲイズ)阿修羅の武眼(アスラズ・アイ)で周辺視野を増大させ、サンラクはプレイヤー最速に至った切札を繰り出す。

 

臨界速(ブraディオnn)ッッッッ!!!」

 

封星の撃鉄(エイセイトリガー)(ハザード)で一歩目の超加速+封雷の撃鉄(レビントリガー)(ハザード)のモーション強化、赤い獣の身体カッ飛んで行く中で強化に強化を重ねて増やした体力が、一瞬の内に『1』になる中で死線上足踏(デッドホライゾン)が起動。

 

一歩目の踏み込みの瞬間に覚醒己律(かくせいきりつ)を起動して、減らした体力の数値がランダムなステータスに振り込まれ──────何の因果か乱数の女神の不吉な笑みか、減少分が『筋力』のバフとして加わる。

 

後々の寄り戻しで余計な事を仕出かして来そうな予感に苛まれ、二歩目の加速を乗せて戦地の空を駆け、思考加速の中で周囲を確認すれば、自分と戦災孤児の居る場所が『空白の様な領域』となっているのが解った。

 

戦災孤児が墜落して飛翔出来なくなった事を、百足と蜘蛛に蠍は加味した結果なのだろう、何にせよ横槍や邪魔が入らなくなったのは大きい。二種族+蠍の戦闘空間範囲を視覚情報から大体を把握、二歩目を踏んだ事で兇嵐帝痕(イデア=ガトレオ)が強烈な風を巻き起こし始める。

 

「やaaaaaってe、やるzeエエエエエエ!!!超過機構(eクseードtyaージ)iiiiiiiiiiiiiii!!!」

 

三歩目と共に戦災孤児の上を取り、煌蠍の籠手の超過機構を起動。四歩目にマクセル・ドッジアーツの多重的円周運動(オービット・ムーブメント)で円周移動を行い、最大円周移動から脳天ど真ん中の位置に来た瞬間に円周挙動解除、からの最後の五歩目を『兎跳び体勢』で真下に飛ぶ。

 

外したら負け、此の一撃で勝負を決める。戦災孤児と視線が合うが、もう回避なんぞさせないし、そんな事は此方から許させない。プレイヤー中最速の一撃を見せてやる。

 

「【超排撃(リジェクト)】ooooooooo!!!」

 

黒い稲光を纏う流星が飛び、臨界の速度に至りし黄金の一撃が、シャンフロエンジンの重力パワーを得て、戦災孤児の頸に無慈悲に叩き付けられた。

 

死線上足踏(デッドホライゾン)危狂闘魂(ききょうとうこん)で更なる強化を重ね、残存体力10%以下の今だからこそ使える窮致魁動(エンプ・ガドス)の攻撃モーション其の物の高速化。単発攻撃ながら貫通効果とノックバック効果を持つ星の一撃(ステラ・バスター)に、攻撃成功時に相手のメンタルへ影響を及ぼす虎皇の撃強打(テオニス・マージュ)

 

巨大な敵に対する拳撃ダメージが上がるギガンテ・ストライクと拳撃時にスキルレベルの数まで『あらゆる拳撃による反動ダメージ』を無効化するブレイジング・ナックル、そして最後のフィニッシュムーブこそが使用者の幸運値を参照し、アーミレット・ガルガンチュラを虐殺しまくって強化された、数有るスキルの中の大本命たる百秀の神腕(サウィルダーナハ)

 

臨界速の最高潮の五歩目、アクセサリーにより与えられた速度、喪服と髑髏のスローターによる強化、シャンフロエンジンによる重力補正、積み重ねた拳撃スキルが神代製の籠手の持つ破壊的な黄金光と共に、戦災孤児に刺し込まれ────────────其の巨体を圧倒的な破壊力と共に爆砕した。

 

ブレイジング・ナックルの反動無効化効果は、使用者のスキルレベルが無効化回数と直結している。現在のサンラクが使う此のスキルのレベルは1、即ち『一撃しか』反動ダメージを無効化出来ない。

 

だが………………仮に其の一撃が煌蠍の籠手の必殺技の様な、プレイヤーに『確定で反動ダメージを齎す超過機構持ちの武器』を使用するならば。其の一撃に限り、自身に襲い掛かる強大な反動を踏み倒して、吹き飛ばされての自滅をも回避出来るスキルでも有る。

 

戦災孤児の巨体に今迄の攻撃等、比べる迄も無い圧倒的な破壊の一撃が、其の全身の甲殻に罅を走らせ。一瞬の空白が永久とも思える静寂と共に戦災孤児を構築するポリゴンを崩壊から、此の戦いの報酬たるドロップアイテム達が湯水の如く噴き出した。

 

同時にサンラクの身体に纏わる、赤い獣を構築した其れも吹き飛び、名状し難い気怠さに襲われながら地面に倒れた彼女()の視線の先には、不世出の存在撃破のリザルト画面が表示されたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『モンスター不世出(エクゾーディナリー)……解明(クリア)!』

『討伐対象:FM's(フォッシルマイヤーズ)クリサリス"戦災孤児(ウォールフェン)"』

『討伐者プレイヤー名:サンラク』

『エクゾーディナリーモンスターが撃破されました』

『称号【我戦故我在(ワレタタカウユエニワレアリ)】を獲得しました』

『称号【終戦の暁】を獲得しました』

不世出の奥義(エクゾーディナリースキル)戦砕琥示(ウォールフェン)】を習得しました』

 

 

 






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