VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

755 / 1074


大切な人と御対面




鳥頭と異形騎馬騎士、蛇と兎達と瓜坊、そして人形達は樹海を進む

前回のあらすじ。新大陸の砂漠地帯側から樹海地帯に侵入しようとしたら、サイガ-0一行とブッキングしました。

 

「というかレイさんも、コンキスタドールと契約したんだな」

「はい。私と契約した、征服人形(コンキスタ・ドール)の…………『レイカ=193』、名前は『レイカ=イクサ』と………呼んで、ます」

同意(うむ):私がイクサだ。契約者(マスター)が惚気で語っていた、サンラクというのは君の様だな」

「ぷぴゃあ!?」

「えっ、そうなの?」

 

サイガ-0が紹介したレイカ=イクサは、ウルフカットの茶髪に褐色肌の筋肉質なグラップラータイプのメカガールらしい。そんな彼女が語った言葉にサイガ-0がバグり、サンラクの視線が向く。

 

彼女が纏う鎧──────始源と関係大有りでレベルキャップを取り払った今は、レベルキャップ以前より彼女自身の感情や心境にシンクロして、目玉がキョドったり巨大な口から漏れる呼吸が荒振ったりと、重厚だった頃よりも『ずっと』解りやすくなっている。

 

「あ〜……………レイさん。其のグラップラーメカガールとは、どういった経緯で契約を?」

「ふぇ!?あ、えっと…………実は、私も良く解って無くて。サンラク、君も…………ですか?」

「実は俺もね…………」

 

征服人形の契約条件は覚醒の導師アーカナムから贈呈される神秘(アルカナム)同様、プレイヤーのプレイスタイルによって異なるらしいが、未だに全容が明かされていない。ライブラリの面々なら嬉々として調べ尽くさんとする輩が居そうだが、其れは今の自分達には些細な問題でしか無いのだ。

 

「サンラク、君………そちらに居る、女の子は…………?」

代理回答(説明しよう):其の少女は我々征服人形(コンキスタ・ドール)にとって、回収目標重要度(ターゲットランク)総動員級(フルスクランブル)』に指定された存在。名を『無尽のゴルドゥニーネ』、其の分体の一つだ」

 

イクサが得意気に言い切り、サイガ-0は其れを見て。サンラクは経緯を説明して、サイナが補足を加える事により、彼女からの理解を得られたのである。

 

エクシスとウォットホッグはウィンプにビビりまくり、緋鹿毛楯無(ひかげたてなし)はウィンプを滅茶苦茶警戒し、ウィンプは緋鹿毛楯無に対してヘタレていたが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイガ-0とブッキングし、地下空洞にて休む中で彼女から色々と話を聞いた事で色々と解った事が有る。

 

先ず赤竜ドゥーレッドハウルを討伐した際の『アナウンス』が、ユニークモンスターの討伐時同様にシャンフロの世界に広がっていたそうで、此処までの道中出逢ったプレイヤー達から質問攻めに有ったのだとか。

 

また其のプレイヤー達の中には『竜血鬼族(ヴァンパイア)』という種族に強制改宗(コンバージョン)させられたプレイヤーが複数おり、固有スキルの『血分充填(ブラッドチャージ)』で血液を持つモンスターやプレイヤー、或いはNPCからダメージ換算で『(HP)吸収(ゲイン)して別枠の吸血ゲージを蓄積する種族』との事。同じ竜血鬼族からはゲインは不可、おそらく吸い合う事による『無限ゾンビ戦術防止策』と思われる。

 

また吸血ゲージが多い場合は、自身のステータスが強化され続ける代わりに、ゲージが五割を切った時点でステータスダウンが発生、三割を切った時点でスリップダメージが発生するという、ハイリスク・ハイリターンの能力を宿している。実際サイガ-0も情報と引き換えに、其のスキルでプレイヤー達の吸血鬼ゲージを賄った結果、体力の八割方を持っていかれたが、幾つか『有益な情報の獲得』に漕ぎ着けたのだと言う。

 

其の情報の一つが『獣人族(ビーストマン)の集落』の発見であり、改宗する事によって魔法耐性が減少するが筋力を始めとする基礎的な能力に補正が入る他、現在の獣人族は四種の派閥に分かれて内三種が大絶賛『権力争い』中な他、犬や狼の派閥は『夜の帝王から傷か寵愛を受けた者』を血眼で捜索中で、特に『リュカオーンの分け身を従えたペッパー・天津気(アマツキ)を連れて来た者には、多大なる報酬を渡す』との()()()を出しているとか。

 

「指名手配されてんじゃんアイツ…………」

「そう、ですね…………。あの子はリュカオーン、の分身みたい………ですけど、獣人族にとって………『長らく追い掛けている』、リュカオーンへの足掛かり………らしい、ですから」

 

ほんの少し苦笑いをしながら、自分達に付与された『特殊状態【導きの灯火】』が獣人族とのイベント進行に。延いては夜襲のリュカオーンに挑む為のユニークシナリオEX【夜闇を祓うは勇気の灯火】と、密接に関わる事は明白だろうとの共通認識で一致する事に至り。

 

「サンラク君、は…………此れからどうするの、ですか?」

「俺は前線拠点に在る『職場』にね………色々有ってウィンプを『就職』させにゃあいかんのさ」

「成程……………、此の樹海には『傷だらけ(スカー)』が居るそうで、大多数で行動していると………見付かりやすい、ので…………。もし、良ければ…………前線拠点まで、私達が御一緒(護衛)します」

「え、良いんですか?」

「はい、私も一度戻ろうと………考えてましたから」

 

其れっぽい方便を垂れたサイガ-0だが、本当は『竜血鬼族の隠れ里を探して何時の間にか迷ってしまっただけ』である。一先ず前線拠点に戻らんとしていたら、レイカ型と出逢って契約から進み続けて砂漠地帯との境界線付近まで来てしまい、そして偶然サンラクと出会して今の状態に至っただけなのだから。

 

そんな事情を知らないサンラクはサイガ-0にパーティー申請を飛ばし、彼女から秒で受理されて。プレイヤー中最速と最高火力にメカ女子二機、サミーちゃんとウィンプにヴォーパルバニー二羽と瓜坊一匹、そして鎧巨大馬一匹の十人十色な一団となって前線拠点を目指し、進軍を開始したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樹海という領域は夜の時間帯になると、『不気味』という言葉が相応しい状況になる。

 

先ず兎に角『視認性の悪さ』が際立ち、カンテラや松明の照明系のアイテムや、【マジック・トーチ】等の魔法か魔術媒体(スクロール)、或いは視覚や視界系を補助するスキルや装備無しで五メートル先すら解らぬまま、遭難の未来へ一直線。

 

更にはシャンフロの夜間帯のモンスター達が木の影や空から不意討ちの強襲を仕掛けたりと、昼間でさえも危険地帯な此のエリアは『より危険な場所』と化している。

 

そんな暗闇の中で皆逸れぬ様に一団となって、サンラク・サイナ・イクサ・サミーちゃんが目の、エムル・エクシス・緋鹿毛楯無が耳の、ウォットホッグが鼻の役割を担いながらに樹海を進むのだが、目下の問題は()()()()

 

無尽のゴルドゥニーネの八番目──────シグモニア前線渓谷(フロントライン)で鬼レベリングをしても尚、未だにヘタレを卒業出来ずいるウィンプが、樹海に突入してから『よりヘタレた上に怯えている状態』に在るのだ。

 

「い、いまから、ひきかえせない………?」

「オイオイ、もう進んじゃってるんだぞ。今更引き返したら遭難真っしぐらだ、我慢しろ」

「あの…………ウィンプ、さん。何故引き返すのか、理由を聞いて良い…………ですか?」

 

何が何やらと視線を送るサンラクに対し、周囲警戒を厳としつつも冷静にウィンプに問い掛ければ、彼女はこう答える。

 

「けはい、が………けはいがするの………。()()()()()()()()()()()()()()が………」

 

ウィンプはヘタレとは言え、其の本質は『七つの最強種(ユニークモンスター)・無尽のゴルドゥニーネ』であり、ベヒーモスの統括AIの象牙(ゾウゲ)は『無尽のゴルドゥニーネには増殖性質が有る』と言っていた。

 

即ち『ボスドゥニーネや他のゴルドゥニーネの殺し合いから逃げ、生き延びたウィンプの様なゴルドゥニーネが此の樹海に潜んでいる事』を意味しているのだと、サイガ-0は理解したのだ。

 

「サンラク、君………此の樹海には、他のゴルドゥニーネが居る………みたいです。多分、距離が離れて居ても………『広範囲感知可能』な、疑惑が………在ります」

「──────マジすか」

 

彼女の言い方を置き換えれば、複数のゴルドゥニーネが『一箇所に集合しようとする』ならば、大元のゴルドゥニーネが『いきなり襲来してくる』事を意味するに等しい。

 

あまりトロトロしていては、他のゴルドゥニーネに奇襲を許す。ウィンプとサミーちゃんの持ち味は『ステルス状態からの奇襲』であり、仮に他のゴルドゥニーネも『サミーちゃんと同じタイプの蛇型モンスターをテイムしている』前提なら、此方が圧倒的に不利となる。

 

ともなれば、此方が取れる手段は『一つ』のみ。

 

「なら、こっからは『フルスロットル』だ。一気に樹海を抜けて前線拠点まで行くぞ…………!」

 

奇襲に対する対処法は古今東西『其れ以上のスピードで突破する』事と決まっている。夜が更けて日付を越える前に、新大陸前線拠点まで辿り着くのだ──────!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

其の数十秒後、新大陸の樹海地帯に『重低音(デスボイス)』が響き渡る。

 

 






暗闇を駆け走れ




※此のユニバースに置けるレイカ型の契約条件は『歴戦値:高』・『総合戦闘勝率:高』・『一定回数以上のレベルダウンを経験している』になります。

要するにレベルダウンビルド勢が契約しやすい征服人形


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。