VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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探して歩いて




龍喚びの笛は鳴り、海の底より鯨は現る

契約しているエルマ=317(サイナ)から、ユニークモンスター・冥響(めいきょう)のオルケストラに挑む為の招待状を貰うというイベントを経て、サンラク達一行は目的たるバハムート二番艦・リヴァイアサン探しを再開していた。

 

道中で海から出て来るモンスターを倒したり、昼過ぎになったので昼食休憩をサイガ-0と交代で取ったりしながら、前へ前へと進み続ける。

 

「鳴らねぇなぁ、ビーコン…………」

「ベヒーモス、は…………オープニング等の情報から、ペッパーさんが、推理して見付け出して、ましたね………」

「アイツもアイツでヤバいからなぁ…………」

 

サンラクやサイガ-0から見ても、クランを束ねる頭目たるペッパーの思考深度は『頭がオカシイ』プレイヤーの認識を持っている。敵の挙動を学び、頭の中で戦略を構築し、敵に通じる一手を持って戦局を動かし、敵を打ち倒すという端から見ても『ラスボス』の其れだろう。

 

「………………レイさん、さっきから後ろに『視線』を感じません?」

「です、ね…………。付け、られてる………と言いますか」

「サンラクサン、サンラクサン。後ろに『いっぱい』開拓者サンが居ますわ」

「エムルねぇの言う通りだぜ………『たくさん』の気配を感じるなぁ…………」

同意(ですね):相応の人数で追跡している模様。彼等彼女等はかくれんぼか、だるまさんが転んだでもしているんでしょうか」

同乗(うむ):正々堂々付いてくれば良いだけで有る筈だ」

 

時偶海や樹海から襲来するモンスターに対処しつつも、歩みを止めない一同が振り返えるが、視線の先には誰も居らず。されど其々のパートナーのヴォーパルバニーの聴覚や、征服人形(コンキスタ・ドール)達のサーモグラフィー機能を持ったカメラアイによる視覚情報の前には、此方の後を付いて来ているのがバレバレであった。

 

ただ追跡してくるだけで此方に何か仕出かさないならば良いが、万が一向こうが『やらかした』ならばペッパーとペンシルゴンにチクって、目に物を見せてやる事も吝かでは無い。と──────サンラクのインベントリアから『音』が鳴り始める。其の音の発生源はヴァイスアッシュが直し、嘗てベヒーモスを再稼働(目覚め)させる為に用いられた龍呼びの笛(BC-ビーコン)で。

 

「レイさん」

「……………!はいっ」

 

歩幅を刻む足が早まる、其の足跡は徐々に増えていき、速度は早歩きからダッシュへと変わって。速度が上がり、目的地に近付く程に音は大きく、そして高らかに鳴り続け。軈て何の変哲も無い海岸の一区画で、鳴り響く音は最高潮(ピーク)を刻む。

 

「此処か…………」

「みたい、ですね………」

 

ペッパーからは『リヴァイアサン起動場所を見付けたら呼び起こして良い』との連絡を受けているので、サンラクはイベントを起こすべくインベントリアからビーコンを取り出し、彼はカッコ付けを含みながらも己の言葉を紡ぐ。

 

「此方の大陸に先に来た連中が、()()の目覚めを待ってんだ。何百何千年寝てんのかは知らねぇし、其れを知った所でどうするつもりもねぇがな…………!」

 

眼前には何処までも続く蒼い海、頭上に在る青空にビーコンを掲げた彼は、高らかに其の名を叫ぶ。

 

「さっさと起きて、出て来やがれ!!バハムート二番艦……………()()()()()()()!!!」

 

引き金は引かれ、カチンという音が辺りにハッキリと響き渡り。同時に展開され、銃口より放たれた虹が青空へと昇った──────其の刹那。大地が、海が、世界が大きく揺れ、水平線の彼方に在る海が爆ぜて、巨大な水柱が上がる。

 

同時に世界に…………新大陸に響いたのは、水の海の底にて幾星霜の時を待ち侘び、其の果てに響く喜びの汽笛(歌声)。其の声はまさに『鯨』の声と同じだった。

 

 

 

クォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン……………!!!!

 

 

 

打ち上げられた大量の水は、シャンフロシステムによる物理エンジンの最たる例の『重力』に従い、大瀑布の如く海面へと落ちて。其の巨大なる鋼鉄の鯨は海面に浮上という所で止まり、目を凝らしてよく見れば、其のフォルムの先端に人間大と比べるのも馬鹿馬鹿しい『巨大な一角』を備えている。

 

巨大な鯨、或いはイッカクと呼称するべき其の姿、シャンフロの世界では『調律の神』を冠せし其れは、遠目で見ても『あまりにも巨大』だと言う事が解る程に巨大であり。

 

そして彼女は言う──────人よ、人よ、()()()()()。そして()()()()…………と。

 

『おはよう! おはようございます!私は『勇魚(イサナ)』!!やっと会えた!!恒星間航行(バハムート)級アーコロジーシップ『リヴァイアサン』!現時刻を以って次世代新人類とコンタクトを取るべく浮上します!!!』

 

自らをそう名乗り、女性は己を……………リヴァイアサンを再稼働させた者の元へと向かい、サンラク達一行はベヒーモスの時と同じ、神代の転送技術によってリヴァイアサンへと呼び寄せられ。

 

一連のやり取りを見ていた開拓者(プレイヤー)達は、呆然となる者や混乱する者、他の仲間やリーダー格への伝達と、喧騒と共に動き出したのである……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こんにちは!こんにちは!改めて自己紹介しますね!私は『勇魚(イサナ)』!イレギュラータイプAIでは在りますが、此のリヴァイアサンの電脳統括担当者に任命された、アンコントロールアーティフィシャルインテリジェンスです! 長らく前リヴァイアサン代理指揮者『ジュリウス・シャングリラ様』の御命令により、深海直下2万マイル地点で回収操作及び定期的なマナ粒子の変動観測をしていましたが、此の度『バハムートコール』を受け取った事で第二オーダーの条件を達成し、3125年3183時間5分38秒ぶりに海上へと浮上しました!暇な時はずっとドローンで地上の観察をしていましたが、メインモニターで空や雲に水平線、そして太陽を見るのは本当に久しぶりです!ありがとう、本当にありがとう!』

 

招かれたと思ったら、猛烈に感謝された。其れが今現在、サンラクとサイガ-0が共に心の内にて思った事である。要するに深海で過ごしていたらビーコンを受信して、海面に急速浮上しましたとそう言いたいのだろう。

 

そして彼女…………『眼鏡と白衣の下に縦セタ、黒地のミニスカートにストッキング』という、まさに絵に描いた様な『出来る女』な見た目をする半透明なホログラムの女性………勇魚(イサナ)は言葉を発し続ける。

 

『あ、其れでですね!此の度は次世代原始人類の『文明レベル7』での浮上ですので、意図的に開示情報を制限した『遺跡(レガシー)モード』での開放となります、ごめんなさい。ですが!擬似迷宮化した此のリヴァイアサンを攻略した時、貴方達は新たな………いいえ、遥か遠き叡智を得る事で…………あれ?あれれ?貴方は『格納鍵(かくのうけん)インベントリア』を保有しているのですか?どうしましょう、其れを使いこなせるようでしたら『文明レベルは4か3に再設定する』必要が有るのですが………』

「取り敢えず落ち着け、此方の話を聞け」

『え?あ、ごめんなさい!私ったらつい………』

 

久し振りにまともな会話が出来る事が余程嬉しいのか、此方の状況に関わらず話を続けんとした勇魚をサンラクが止め、彼女が落ち着いたの見計らい問いを投げ掛ける。

 

「そんじゃ質問するが、此処はリヴァイアサンの中って認識で良いんか?」

『YES!此処はレガシーモード:迷宮改装型リヴァイアサン()()()()迎門(ゲイモン)』です!』

 

ベヒーモスの時は一つの区画を『階層』として分けており、リヴァイアサンの場合は『殻層』という形で区分けしているらしい。尤もあちらは『十階層』でエリア自体は相応の広さは在ったが、此処は殻層である為にサンラクとサイガ-0の二人は、此の時点で『長期戦になる』と予感させていた。

 

「んじゃ次の質問。こっから『出る』にはどうしたら良い?」

『御答えしましょう!此処から出入りする場合、先ずは此のリヴァイアサンにて『アンバージャックパスをレベル1に上げる事』が条件になります。其の為には第一殻層たる迎門を突破する事ですね』

 

ベヒーモスの通行手形がブーケ・パズルであるなら、リヴァイアサンはアンバージャックパスとの認識らしい。

 

「…………先ずは第一殻層攻略だ。兎に角クリアしなきゃ出られねぇ以上、とっとと踏破するに限る」

「そう、ですね…………後から来る、人も居ると思い、ますし…………」

 

目標は決まった。勇魚にセーブポイントを聞き出した二人は、リスポーン地点を更新して前を向く。此処からは一気に第一殻層を駆け抜ける為に──────。

 

 






目指せ、第一殻層攻略


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