勇者、動く
サンラク達が休憩を挟み、リヴァイアサンの第二殻層攻略を続けていた頃。昨夜のクラン連盟との今後に関する話し合いを終えて、ペンシルゴンと共に兎御殿へと帰還したペッパーが、ログアウト地点たる休憩室のベッドにて
「やぁやぁ、
『グルルルルルルルルルルル……………!!』
「あわわわ…………」
「おはようございます、
「ペッパーはん、こんばんわなのさ」
ペンシルゴンとノワはバチバチに睨み合い、ゼッタは姉のアイトゥイルに落ち着けられ、ヒトミは立ち姿が絵になっている。『個性が色々生きている』という歌詞のフレーズが有名なレトロゲームを思い出しながら、ペッパーは名前隠しのコート・
「やぁ、皆。早速だけどリヴァイアサン攻略に向かうよ、第一目標は先行しているサンラクとサイガ-0に追い付く事。そして最終的に、リヴァイアサンの最奥まで辿り着く事だ」
リヴァイアサンの最奥への到達……………其れが出来たならば、此処
そして『もう一つのアレ』も、リヴァイアサンの最奥に到達する事で手に入れる事が可能になるので、攻略は絶対必須だ。
「そうだね。秋津茜ちゃんとレーザーカジキ君は其々の色竜を担当してて、残りの
サンラクとサイガ-0がリヴァイアサンを発見、第一殻層を攻略した事で他のプレイヤー達もリヴァイアサンへ挑戦可能になった事が、シャンフロの情報網を通じて判明している。二人は各々のヴォーパルバニー含めた関係NPCを連れて第二殻層を進んでいる事から、今から向かえば第三か第四殻層で追い付けるだろう。
兎御殿の休憩室から出立し、アイトゥイルが開いたゲートで一同は新大陸の前線拠点へとファストトラベルしたのである……………。
新大陸・前線拠点。抽選で選ばれた先行組開拓者達が新大陸を開拓し、作り出した港街たる其の場所は現在プレイヤーと多種多様な
「何これ」
「あ~…………確かリヴァイアサンが出て来てから、沢山の征服人形が新大陸の彼方此方からやって来たって、モモちゃん達が言ってたね」
周りを見ればまだ数十人程しか居ないが、征服人形との契約に成功したプレイヤーが居り、御喋りしたり隣同士で歩き過ぎる姿も見える。他にもエルマ型と思われる征服人形に花束を持ち込んで契約を願い出て、綺麗なまでに振られたプレイヤーが見えたりと、中々にカオスな状況になっていた。
そんな時、三機の征服人形が此方に気付いたらしく駆け足気味に近付いて来たのだが、其の面々も『頭一つ抜けた巨大な黒髪目隠れの砂時計体格の八尺様』と『京風和装なロング茶髪なクール美人』に、駄目押しの『男勝りな見た目と白髪アホ毛とポニーテールの同時搭載』という、個性が大渋滞した面々ばかりであったので、流石のペッパーとペンシルゴンも警戒せざるを得なかった。
「
「
「
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「回答:イクサちゃんはサイガ-0って次世代新人類と、樹海で契約したみたい」
仮にも小隊のリーダーがメンバーを逃がすべく囮になっていた事に各々が喋り、ペッパーとペンシルゴンは何が有ったんだとヒトミを見たが、彼女が其々の征服人形をペッパー達に紹介したので、此方も一通り挨拶を返していく。
「あ、どうも。初めまして…………ヒトミさんと契約しています、ペッパー・
「アーサー・ペンシルゴンだよー」
「こんばんわなのさ」
「こんばんわ、でしゅ」
『ワン!』
奏でる者の旋律羽衣の名前隠し機能をオフにして、頭上にPNが表示されれば三機の征服人形は此方の名前を見て、そして視線は必然的にノワの方へと向き直った。
「
「前代未聞:分け身とはいえ、夜の帝王を従えているとはな…………」
「仮に
「補足:個体名ノワは契約者に懐き、彼が手綱を握っている。其れを加味しても現時点で
「「「異議無し」」」
統括機らしく小隊の征服人形達に審議を問い、全員一致の判断が下された様だ。成り行きを見守ったペッパーは名前隠しの機能を再びオンにし、一同はナナ・サヨコ・ミクと別れてリヴァイアサンへと向かうべく、再び歩き出したのだった。
三番艦のベヒーモスが巨大な象であるならば、リヴァイアサンは一角を携えた巨大な鯨と言って良い其の入口には、新大陸に先着したプレイヤーや最近到着したプレイヤー達が殺到して次々と転送され。
其の近場にはアラバを含めた
「あ!ペッパ…………げっ、廃人狩りも居る!?」
「お?何々?
『ガルルルルルルルルル…………………!』
情報を聞き出さんとしに来たプレイヤーに、ペンシルゴンがノワを含めて睨みを効かせ、対抗するかの様に足首に尻尾を巻き付けたノワがペンシルゴンにガンを飛ばしつつも、其のプレイヤーを睨んでいた。
「おぉ、ペッパーよ!数日振りだ、君もリヴァイアサンに来たか!」
『久シ振リ、ペッパー』
「アラバさん、ネレイスさん。御久し振りです」
「やっほー」
此方に気付いたアラバが駆け寄って、彼の得物の大海峡からネレイスも顔を出して来た。クターニッドのユニークシナリオの舞台・反転都市ルルイアスでの出会いに冒険、終了時点の好感度の高さで今に至ったが、他のプレイヤー達の視線の圧が凄い。主に嫉妬やら羨望やらの意味で。
「あぁ、今の俺はアラバでは無くてな。魚人族の古い習わしで、大海を司る大いなる神獣を見た者は名の前に『ル・』を付けるのだ」
「つまり今は『ル・アラバさん』と」
「あぁ、其の通りだ。二人は此れから乗り込むのか?」
「はい。あ、其れとル・アラバさん。ジークヴルムさんとの決戦の後に『アレ』に付いての事を話したいのですが、宜しいでしょうか?」
「…………『アレ』か?」
「はい、ル・アラバさんの言う『アレ』です」
要点のみの会話であり、プレイヤー達は何の話をしているのかは解らなかったが、ペンシルゴンは二人が言う『アレ』とはペッパーがルルイアスにて獲得したという、現時点で修復段階がリペア状態に至っている『アスカロン・リペア』の事だと勘付いた。
「うむ、解った。御互いに生きて、決戦を乗り越えよう」
『ネレイスモ、アラバト一緒二頑張ル』
「ありがとうございます。ル・アラバさん、ネレイスさん」
アラバを含めた魚人族の
暫くの後に順番が巡って来て、ペッパーとペンシルゴン達はリヴァイアサンの第一殻層へと転送入場して行ったのだった……………。
追い掛けろ