VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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入場した者達




勇魚が語る、英雄の足跡

リヴァイアサン第一殻層・迎門。転送され入場したプレイヤー達と、其の中に在るペッパー達が見たのは、大型コンテナで造られた迷宮と旧世代や新世代を問わずに並ぶ多種多様なゴーレム達、そして遠くでは何やらド派手に吹っ飛んで行く、小さな粒程になったプレイヤーだった。

 

『こんばんわ開拓者の皆様!リヴァイアサンへようこそ!私は勇魚(イサナ)、此のリヴァイアサンを統括しているアンコントロールアーティフィシャルインテリジェンスです!巡るめく神代の叡智へようこそいらっしゃいました!』

 

入場したプレイヤー達の前に、眼鏡と白衣の下に縦セタと黒地のミニスカートにストッキングという、まさに出来る女な見た目をする半透明なホログラムの女性が現れた。

 

既にベヒーモスを踏破した者からすれば、おそらく彼女が此処で言う所の象牙(ゾウゲ)の様な存在だと予測するには充分な要素であり、勇魚は入場して来た者達へと話を続けていく。

 

『此処は第一殻層の迎門、開拓者の皆様には神代時代に運用されたゴーレムを、アンドリュー・ジッタードール博士が残したデータを元に、リヴァイアサンで独自改良を施して展示しています!先ず皆様には此の迷宮を攻略し、第一殻層に居る統括試練対象(ボスエネミー)を……………あれ?あの、其処にいらっしゃる方!そう貴方です!名前が有りませんが、もしかして其の装備が原因でしょうか?』

 

此の場に集った開拓者(プレイヤー)達を見渡しながらに第一殻層の説明をしていた勇魚だったが、此処で唯一人の名無しの存在に気付いてか其の存在を見つめ。

 

彼女の視線の先に皆の注目がペッパーに向けられている事に彼は気付き、此の流れは前にベヒーモスでやってたな?と思いつつ、一拍置いて前に出る。

 

「初めまして、勇魚さん。自分はペッパー……………ペッパー・天津気(アマツキ)と言います」

 

ライノベレーの帽子を取り、奏でる者の旋律羽衣(ダ・カーポ・シェイルンコート)の名前隠し機能をオフにして示した所、勇魚の表情が固まった。

 

そして彼女の表情(其れ)は『何故』やら『どうして』やらの疑問の感情とも、或いは『憤怒』やら『激情』に駆られたマイナスの表情とも、もしくは『ずっと待ち焦がれた』やら『漸く現れた』やらのプラスの感情とも取れる(モノ)で。

 

かの有名な美術家 レオナルド・ダ・ヴィンチの油彩画『モナ・リザ』を観た者達が、其の絵に対する印象と良く似ていた。

 

『………………其の名前は()()()()?』

()()()()()()()()()さんから」

 

勇魚の問い掛けに対し、ペッパーは確固たる事実を以って答え、暫し空間に沈黙が訪れる。軈て勇魚は瞑目し、そうして目を開いて静かに言葉を零す。

 

『──────あの人は未来を…………貴方にならば託せるに値すると、そう思えたのでしょうね…………』

 

やはり天津気のネームバリューは凄まじく、神代に関係するNPC達との会話時に大幅な補正が入るみたいな、隠された効果が搭載されているのでは?と疑問視したくなるレベルだ。

 

「あの、勇魚さん。貴女はウェザエモンさんを知っているのですか?」

『えぇ、勿論。何せ彼は『神代最強の一個人』であり、同時に此のリヴァイアサンの『政府直轄軍の総司令』だった方でしたから』

「……………………マジですか」

 

思った以上にウェザエモンの肩書きがヤバい。神代の宇宙船たるバハムート、其の軍隊を指揮する総司令官ともなれば、反転の花園にて相対し、戦った『あの強さ』にも俄然納得するには充分過ぎる要素だろう。

 

と、そんな中でペンシルゴンがペッパーの隣に立ちつつ、勇魚に対して質問をしに来た。

 

「勇魚ちゃん、勇魚ちゃん。もしかして此のリヴァイアサンには『せっちゃん』…………『セツナ』に関係する資料とか何かが置いて在ったりするのかな?」

 

ペンシルゴンというプレイヤーにとって、セツナ………遠い日のセツナこと『天津気(アマツキ) 刹那(セツナ)』は切っても切れない要素であり、プレイする原動力其の物であり、そして彼女の足跡や遺された物品が何処かに在るのでは?と、そう睨んだ上での発言だ。

 

『…………ウフフ、成程。まるで『あの頃の二人』を見ている様です』

 

ペッパーとペンシルゴンに何を思ったのか、リヴァイアサンを管理するホログラフィックの女は笑っていて。だが其れは嘲りやら作り笑い等では断じて無い、()()()()()()()()()()()()

 

だが其れも僅かな数瞬の後、彼女はまるで『仮面』を被ったかの様に笑顔を取り繕い、こう言ってきた。

 

『ペッパー・天津気様、アーサー・ペンシルゴン様。貴方達が彼の……………ウェザエモン・天津気将軍の事を深く知りたいと願うならば、リヴァイアサンの最奥の地たる第五殻層の『叡智』へと進みなさい。其処に辿り着いた時、貴方達は彼の事をより深く知る事が出来る』

 

要するに勇魚は『此れ以上の事を知りたければ、リヴァイアサンの第五殻層まで踏破してみせろ』と言っているに等しい。此方は最初から其の腹積もりで訪れたし、踏破しなくては『アレ』も手に入らないので進む事には変わり無いが。

 

勇魚が改めて第一殻層の説明をし始めたのだが、自分達と共に転送入場を果たしたプレイヤー達が何やらコソコソと話をしているのを耳にし、ペンシルゴンが自然な形で横へ横へと押しているのを感じたペッパーは、彼女の動きに合わせる様に動きながらにヴォーパルバニー達やノワを抱え、契約した征服人形(コンキスタ・ドール)のヒトミをインベントリアへと収納。

 

勇魚の会話を聞きつつ、会話が途切れ終わる刹那を見極め、両脚に甦機装(リ·レガシーウェポン):深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)を装着、終わった瞬間に神律燼風(しんりつじんふう)でモーションを高速化から、ペンシルゴンと彼女の頭に帽子として擬態する様に乗っかっていたゼッタを米俵を抱えるが如く掬い上げ。

 

舜連撃導(しゅんれんげきどう)星天昇向跳躍(アーシェン・エトワール)を点火しての一瞬で程良い高さの空中へと避難し、輪天翔律(りんてんしょうりつ)による重力負荷を軽減しながらのミルキーウェイを乗せ、空中に出来たマナ粒子の道を走り出し。

 

其れから数秒後、他のプレイヤー達が叫び声を上げて彼等彼女等を追い掛けて迷宮に突撃するといった、ある種のカオスな光景がリヴァイアサンに生まれたのだった…………。

 

 






真実は最奥に、そして前へ進め


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