VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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インベントリア確保に対する事柄




箱の中に思い想いの品々を

勇魚(イサナ)によるプライバシー完全無視の第四殻層内アナウンスにより、Bブロックデリバリーデベロッパーゾーンにてプレイヤー達は集結し。

 

格納鍵(かくのうけん)インベントリアという神代製の鍵系列アクセサリーの中でも()()()、かつプレイヤーすらも逃げ込む事が可能なアクセサリーを購入したペッパーとサンラクは正座させられ、他の面々の視線が突き刺さるという光景が生み出されていた。

 

「──────買えるって解ってんなら、買いたいじゃん?」

「地図の裏側に商品カタログが有ったのと、見た時真っ先に目に止まったのがインベントリアだったので、衝動的に購入してしまいました……………」

「まぁ仮に私があーくんだったら、私だって同じ様に購入してたけどさぁ…………」

「…………独断で買ってるのでギルティ」

「右に同じく」

「相談無しは頂けないね、ペッパー御兄様」

 

アクセサリースロットを永久的に一つ潰し続ける代わりに、色々と悪用出来るアクセサリーをもう一つ装備すれば、片腕が何らかの理由で消失している時にエスケープ出来たり、共有状態のインベントリアには入れられない物を入れる事も出来たりと、役立つのは間違い無い。

 

正直『早い者勝ち』と言ってしまえば其れまでで、此の手のアクセサリーは勇魚に頼んでリヴァイアサンの生産ライン稼働で『新規製作出来るのでは?』と、ペッパーが至極真っ当な疑問を抱いていれば、再び勇魚のアナウンスが殻層内にて響く。

 

『サイガ-0様。購入して頂きました『格納鍵インベントリア』は只今御用意しておりますので、暫く御待ち下さい』

 

全員の視線がインベントリアを購入していたサイガ-0に向けられ、特にサイガ-100に関しては随分と『ムスっとした表情』をしている。

 

何処かデジャヴを感じたので自身の記憶を探れば、クターニッドを討伐してフィフティシアに戻って来た時に、サイガ-0と対面した時と同じだった事に気付く。

 

「やっぱり、必要………かと………、思いまして」

「フッ…………流石レイさん。此方がゴタゴタしている内に、インベントリアを購入するとは」

『チェストリアとドレッセリアは在りますからね〜。御早めの購入をオススメしますよ〜』

 

火事場泥棒と言ったら其処までなのだろうが、一昔前のMMO系統のレトロゲームでは限られた資源の中で、先んじてユニーク関係を入手した者が優位に立つと言うのは『当たり前』だった。

 

商品カタログを見れば、格納鍵インベントリアに『品切れ』の表示がされた事から現時点で三個しか無かった訳だが、物は試しとペッパーは勇魚に聞いてみる。

 

「勇魚さん。格納鍵インベントリアは売り出されてたのは三つしか無かった訳ですけど、此のリヴァイアサンの生産ラインを活用すれば新たに生産出来ますか?」

『ペッパー・天津気(アマツキ)様がアンバージャックパスをレベル5に上げる事が条件ですね』

 

サラッと勇魚が名指しで指名した事で、此の場に居るプレイヤーにNPC達の注目が唯一人に集まる。やっぱり天津気の名前って、神代関係者に対して特効レベルの破壊力持ちでは無かろうか?

 

「あ、皆ちょっと良い?」

「モルド、何か有った?」

 

そんな中で声を発したのはモルドであり、彼は第四殻層攻略に繋がる『情報』を齎しに来たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、此の中央に在る『箱』…………みたいな?」

「硝子張りの立方体だな…………」

「ショッピングモールのエレベーターみたいね〜」

「確かに其れに似ているが、はてコレは何なのだろうか?」

 

モルドが齎した情報と共にペッパー・サンラク・サイガ-0が注文した格納鍵インベントリアを受け取った後、地図を頼りにして殻層中心部に聳え立つ硝子張りのエレベーターの様な物の前に来た。

 

「実際見て貰った方が早いと思う」──────そう言ったモルドが近付けば、全自動ドアの如く開いた箱の中に入って、次の瞬間には『パッと消えた』のである。

 

「何が起きた!?」

「飛んでったんじゃなくて、落ちた様にも見えたが………」

「思考加速スキルで見たけど、草餅君の言う通り落ちていたね」

「……………ちょいと試すわ、何か引っ掛かる」

 

そう言ったサンラクが何か思い至る節が有ったか、背中から立方体の中へと飛び込んで。其れから少し後にモルド共々帰って来て言った。

 

「立方体の中だけ『重力ベクトルが逆になって』やがった」

「重力が、ですか………?」

「うん。其れと重力逆転状態で着地しても、僕もサンラクもダメージは無かったよ」

「………………取り敢えず、此の硝子張りの立方体に『秘密が有る』と仮定して、何が有れば変化が起きるかを確かめてみよう」

 

キョージュの一声の元、総当たりレベルの検証が開幕し。其処から十数回のプレイヤーの組み合わせを試した結果、ペッパー・サンラク・ルスト・モルド・SOHO-ZONE・マッシブダイナマイトの六人のみが、箱を動かす事が出来た。

 

此の六人は共通点として、第四殻層にて既に何かしらの『買い物を済ませていた』事が判り、其れによってペッパーとキョージュにより『攻略法』は導き出される事になったのである。

 

「つまり此の立方体は『買い物籠』であり、プレイヤーが『一定以上の物品を購入する必要が有る』……………という訳ですね」

「うむ、正解だ。そして箱の中を見たのだが、其処には『SPとDP』なる表示が有った。おそらくSPが『スコアポイント』とするなら、DPは何を示しているかね?」

『デンジャーポイントですね』

「危険度…………強力な兵器やパワードスーツである程、スコアポイントとデンジャーポイントが増えそうな気がします」

 

此の時点で既に嫌な予感しかしないが、公平な顔をしている勇魚を見上げる。どうやらサンラクとキョージュも、其の答えに行き着いたらしい。

 

「要は此の立方体は『天秤とエレベーターが複合してる』。重い程下に落ちるが、ソイツは中に居る『俺等の体感』でしかねぇ。外から見れば此の箱は第五殻層に()()()()()()

「此処での買い物が『第四殻層の突破方法』で、攻略法は『第三殻層でスコアを稼いで来る事』か…………」

「つまり『泥に塗れて其の手が汚れども、前に進む覚悟を示せ』。……………勇魚さんはそう言いたい訳だ」

 

三者三様の感情とジト目という共通の視線に、勇魚は此方を見下ろして。そして鉄面皮の笑顔のままに、聞き手には彼女が『ラスボス』としか思えない台詞を吐いたのである。

 

『──────私が見たいのは『貴方達の先へ進む意志』。手段を問わず、道を問わず…………決して立ち止まらない貴方達の歩みは、見ていて『とても楽しい』物ですから』

 

ベヒーモスを統括するホログラフィック割烹着御母様な象牙(ゾウゲ)も大概だが、出来る女科学者的な勇魚の口から出て来た台詞と良い勝負だ。悪い意味でにはなるが。

 

「おいサバイバアル、SOHO-ZONE。勇魚のヤツ、堂々とラスボス発言噛ましたぞ」

「まぁ始めっからラスボスだとは思ってたがな」

「笑顔でスコアを毟り取ってるし、妥当と言えば妥当だろう………」

「バハムートの発見及び踏破が一号人類と二号人類の試練とするならば、其々の統括者は必然的にそうなるのだろうね」

「やるべき事が判ったならば、俺達は成すべき事を成しましょう」

 

攻略法は定まった以上、行動を開始するに限る。大事なのはおそらく『数』よりも『質』の可能性が高く、ルスト&モルドにSOHO-ZONEが第四殻層内の武装やロボット等のパーツから高品質な物を選び出す役回りを担い、残りのメンバーは其れを購入する為に必要なスコアを稼ぐ為に、再び第三殻層へと向かって行ったのだった…………。

 

 

 






鍵は箱に在り


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