VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

774 / 1075


荒稼ぎのターン




金策手段は多種多様

「うーむ………思った以上に第三殻層がドロドロだなぁ………」

 

滞空によってルーレットの停止時点まで回転を凌ぐという、イカサマじみた行動を勇魚(イサナ)に咎められなかった時点で予測はしていたが、スロットの目押しをスキルで補強してゾロ目を繰り出しても彼女は特に注意をし無かったのだ。

 

此れにより第三殻層『戯盤(ギバン)』は、先んじて第四殻層『機舎(キシャ)』にて勇魚という存在の()()を目撃したプレイヤー達にとって、『公正公平の皮を被ったイカサマ含めて何でも有りの集金施設』という認識に改められている。

 

「ムラクモ君が言っていた、パリィから派生する思考加速スキル……………確か瞬刻視界(モーメントサイト)、だったかね?」

「其の進化状態の真界観測眼(クォンタムゲイズ)ですね。俺は其のスキルが昇華(スタンバイ)になってます。理解り易く言うとスキル自体の経験値がMAX状態になっていると、昇華になる可能性が有ります」

「……………其の視界に作用するスキルと君自身の持つ機動力を混ぜ合わせる事で、此のスロットエリアを『高速連続目押し』を可能にするとはね。サンラク君もだが、其の類いに尖らせたプレイヤーは最早『圧巻』の一言だよ」

 

現在ペッパー・サンラク・キョージュ・ペンシルゴン・サイガ-0・サイガ-100、彼等彼女等の関係NPC達は第三殻層のスロットエリアにてペッパーとサンラクは、各種在るスロット達を視覚や感覚関係のスキルで動体視力を強化。

 

スローになったスロットの目を目押しする事で、次から次へと大当たりを連続させて、第四殻層で銃火器やパワードスーツにロボット、アクセサリー等を購入する為に必要不可欠な莫大量のスコアを荒稼ぎしていたのだ。

 

「ペッパー、そっちはどーだ?」

「二億五千万スコア、サンラクは?」

「三億だ、そんじゃあ……………」

「スピリングルーレットだね」

 

足早にスピリングルーレットに向かい、一点大賭け大当たりに打って出て、ペッパーが空中に踏み止まって賭けた数字と色が同じ場所へ収まった事により、賭けられたスコアが何倍の大勝ちに膨れてベットした者達へと加算される。

 

「いやぁサンラク君とあーくんの御陰で、スコアがボロ儲けだねぇ〜」

「流石最大速度(スピードホルダー)最大高度(スカイホルダー)だ、恐ろしい勢いで集まってしまったな」

「此れだけ有れば…………、機舎の商品も、かなり………買えそうです」

「念には念を入れて、後三回同じ事を繰り返してスコアを貯める。妖怪スコア一足りないが起きないとも限らないからさ」

 

乱数の女神は当てにこそするが、決して信頼や信用してはいけない。確率という不確定な現象に泣きを見るならば、其れが起きない様に心掛ける事こそが、我々プレイヤーに常日頃から求められているタスクなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スピリングルーレットでの荒稼ぎ、第二殻層を乗り越えて第三殻層にやって来た後続組プレイヤーからの質問攻めに遭いながら、自分が知り得る範囲で第三殻層の事を伝授。

 

ファストトラベルで第四殻層に一行が戻ってみれば、ルスト&モルドのコンビとSOHO-ZONEにサバイバアルが粗方の当たりを付けた武器やらロボやらスーツやらを集め、漸くかと言った表情をしていた。

 

「調子良さそう」

「どれくらい稼いだの………?」

「五十八億七千四百万スコアだね、ペッパー君がルーレットで頑張ってくれた」

「多っ?!」

「此れだけ有れば全部買えますかね?」

「一応皆を呼ぼう」

 

第四殻層到達者全員を呼び戻し、其の間にネフホロチャンピオンコンビと武器狂い一押しの武装達を購入。重量によるアバターの挙動に影響を出さぬ様、インベントリアに収納や必要分のみを選んだりして、いよいよ本命となる硝子張りのエレベーターな買い物籠へと足を踏み入れる。

 

次の瞬間、立方体が真上(真下)へ………第四殻層の『外側』へと動き始め、第五殻層の外壁部分に向かって行くと同時に、箱の中ではスコアポイント及びデンジャーポイントの二つの数値もまた、凄まじい勢いで跳ね上がって行く。

 

そして第五殻層に箱の底が設置し、衝撃で皆が蹌踉めいた刹那にリヴァイアサンを統括する、ホログラフィックの女科学者的な姿をする勇魚は、高らかに黒幕じみた台詞と共に声を上げたのだ。

 

『スコアポイント【四十三億二千百万三百】、デンジャーポイント【百二十八億六千七百万三千】。さぁ、扉に至りし次世代原子人類達よ!其の手に武器を取りなさい!『叡智』に至る番兵は、即ち叡智を其の手に掴む為の『最後の試練』!手綱を握る者とは、()()()()上位でなければならないっ!!』

 

彼女の言葉と同時に、本来ならばPKされても強奪されない仕様のインベントリア──────正確には『装備中のインベントリア』から、第四殻層で購入して来た武器やパワードスーツにロボット達が、次から次へと格納空間から飛び出した。

 

「ちょっ!?」

「チェストリアがぁ!?!」

「購入したインベントリアに武器、アクセサリーが持ってかれてるッ!?」

「物凄い勢いで吸い寄せられて……………!」

「…………まるで、合体…………!」

 

キューブメンを中心にまるで『蠍』特有の下半身を、ピラミッドメンが中心となって『人体の上半身』を様々な武器やスーツで構築し、ボールメンが上半身と下半身を繋ぎ合わせて、着々と形作りて姿を成していく。

 

上半身の両腕は量産戦術機の近接ブレードによって構築された『巨大で長大なる鋏』、下半身はバズーカやライフルにマシンガン等で作る『爪先がフック状の六本脚』。

 

残りは無数の武器達を無作為に重ねて、先端にはレーザーブラスターらしき一目見て判る、そんなヤバさを備た砲塔を乗せる『尻尾』という、見た目は『ケンタウロスとスコーピオンの融合した巨大モンスター』の様相だった。

 

大きさも『金晶独蠍(ゴールディ·スコーピオン)より一回り小さい』ながら、無機物の兵器達で構築された巨体は開拓者と、彼等彼女等に付き添う者達の前に立ち塞がる。

 

『コレに名を付けるならば『ウィズダムガード:タイプケルトスティング』──────其れが相応しいでしょう』

「スコーピオンタウロスって所か………………!」

「コレ購入した武器やらアクセサリーやら、倒したら損失(ロスト)なんて事にならないよね?!大丈夫だよね?!」

「そうならないと願いたいが……………!」

「レーザーブラスターが来るぞ!」

「全員散開ッッッッッ!」

 

わぁと蜘蛛の子を散らす様に其の場から離れれば、帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)に比肩し得る高エイム、かつ破壊力重視の極太ビームが着弾。其処からガシャガシャと機敏に、金晶独蠍(ゴールディ·スコーピオン)の様な挙動を。

 

否──────()()()()じみた接近からの長大な左鋏で、遠距離職のモルドを『回避される事を加味した位置取りで的確に狙って来たのだ』。

 

「なっ──────」

「モルドッ!」

「させるかァァァァァァ!!」

 

集律視標着目(ワーナリー・スポットヘイト)&天空の神眼(ラトゥルスカ・ゴッドアイズ)のコンボスキル起動で、ケルトスティングの視線を強制的に上に向かせた事により、ほんの僅かな瞬間の隙が生まれた為にモルドは回避に成功。

 

ケルトスティングの左鋏は虚空を滑る様にして振り抜け、其の斬撃は自分達が足を付けている外壁に、確かな斬り裂き痕を刻み残す。

 

「コイツ、滅茶苦茶強いぞ!?」

「インベントリアを取り込んでるだろうから、確実にインベントリアエスケープで回避してくる!消えた場所と出て来る場所は『同じ』だから、其処に合わせて大火力の攻撃を叩き付ける方向で!!」

 

蠍達の皇帝・光線射手の暴君・人体的な挙動という、既に長期戦不可避の気配を感じながらも、プレイヤー達は武器を其の手に立ち向かう。第五殻層への道を塞ぐ最後の敵──────開拓者が購入した武装達で固めた機械仕掛けの人造半人半蠍との戦いが始まった。

 

 

 






試練は此処に造られた




ウィズダムガード:タイプケルトスティング

リヴァイアサン・第四殻層『機舎』と第五殻層『叡智』の外壁部分にて、機舎で購入した武装群全てを使って構築される統括試練対象(ボスエネミー)であり、購入品のデンジャーポイントが『百億を越えている場合』に、高確率で戦う事になる。

ウィズダムガードの名に相応しく、金晶独蠍(ゴールディ·スコーピオン)"皇金世代(ゴールデンエイジ)"の近接戦闘と帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)の高エイム射撃を掛け算し、割らなかったレベルの脅威・単体性能・強さの揺るがぬ三本柱を併せ持つ。

性能は購入した物品に左右されるが、格納鍵(かくのうけん)インベントリアを取り込んだなら、自身を損壊させ得る攻撃には格納空間への回避行動(エスケープ)を。チェストリアやハンガリア等の場合は、ストックしている武器やパワードスーツ等で、破損部位の補強を行うといった特殊行動を取る。

イメージとしては『バトルスピリッツ』のXレアの一枚で、黄道十二宮を元ネタにする『十二宮Xレア』の一角、『天蠍神騎(てんかつしんき)スコル・スピア』。



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。