VS ウィズダムガード:タイプケルトスティング
ウィズダムガード:タイプケルトスティング。
第五殻層『
タイプメンの近接武装による長大な両腕の鋏は振るうだけで紙装甲なプレイヤーを両断し、中量級も下手を打てば一撃の下に沈められる鋭さと威力を誇り、巨体の各部に存在する銃火器をフルバーストする事で近接職の接近をも許さない。
そして尻尾の先に在るレーザーブラスターは、プレイヤー達の中から遠距離職や支援職に後衛職を的確に狙い撃ち、低空で足元を薙ぎ払ったならば挑戦者達に大縄跳びを強要する、悪辣極まる攻撃を仕掛けてくる難敵だ。
だがしかし──────前述した
此のメカケンタウロスコーピオンは『三つの
更に言えばウィズダムガード自体が『パーティーメンバーの総数で総合的な体力を決定している疑惑』を持ち、唯でさえ接近するのにも一苦労な上でタフなのと、現状インベントリアエスケープというクラン:
だがウィズダムガード:タイプケルトスティングには、唯一と言っても良い『不運』が、此の戦場に存在していたのである。
「今だ!マッシブダイナマイトさんッッッッ!!!」
「任せてぇ…………!ハーキュリー・ブラスター!!!」
ズンッ!と外壁が凄まじい衝撃に震え、途轍も無い勢いで飛び出した『空気の砲弾』が飛来、現実空間に舞い戻ったメカケンタウロスコーピオンの上半身胸部に叩き付けられ、メギャリ………!という、およそ無機物が出してはいけない音が鳴って、其の巨体が吹き飛び数回バウンドしていく。
其の理由はペッパーがマッシブダイナマイトに貸し出した、要塞蜘蛛たるフォルトレス・ガルガンチュラと女王個体のフォルトレス・ガルガンチュラ・エンプレスの素材により、ビィラックの手で産み出された逸品
そして
「…………ねぇ、あーくん。コレ私達の出番有りそう?」
「インベントリアエスケープのタイミング測定と、ウィズダムガードの足止め必須だから動かなきゃ駄目だ。ほらまたワープした!」
「さっきのでフレームが歪んでる可能性は!?」
「おそらくは!」
「武器ィイイイイイイイイ!?!パワードスーツゥウウウウウウウウ!?!」
「誰か其処の泣き喚いてる奴を諌めとけ!」
インベントリアエスケープから再び現れたメカケンタウロスコーピオンの足を狙って、狙撃銃を握ったサンラクとオイカッツォ、勇者武器の一振り・聖弓フェイルノートを握る草餅に合わせて、ペッパーは
「此れだけの隙が出来りゃあ…………!」
「叩け、ますッ!」
サイガ-0とサバイバアルのクロスアタックが炸裂し、頭部を巨大な衝撃でサンドイッチされたウィズダムガード:タイプケルトスティングの各部から火花と黒煙が上がり、武器や装甲で造られたフレームが歪んで動きが覚束無い状態になる。
「【クライスタガミー・フリーゼ】!ルスト!」
「解ってる。白虎、出力最大!突貫する!!」
『Yeaaaaaaah!』
ならばと尻尾のレーザーブラスターで大火力ブッパに出んとしたが、其処にモルドの氷属性魔法が炸裂して砲塔が凍り付き、立て続けに規格外特殊強化装甲【
「マッシブダイナマイトさんへ、パァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァス!!」
「ホーム──────ランッッッッ!!!」
跳躍して
ウィズダムガード:タイプケルトスティングは、とんでもない強敵だった。攻撃力・防御力・機動力もそうだが、何よりも『頭五つ抜けたレベルのタフさ』が一番厄介であり、マッシブダイナマイトにサイガ-0、サバイバアル含めた火力持ち抜きでは更に時間が掛かっていたと、此の戦いに挑んだ全てのプレイヤーにNPC達は確信する程度には、本当に厄介極まりない相手だった。
「ウィズダムガード:タイプケルトスティング。俺達が買い集めた武装達を束ね重ね、立ち塞がった神代機巧の門番よ。不沈艦の如く立ち、要塞の如く塞ぎ、絶対の強さを誇ったお前を、俺達は決して忘れない。戦ってくれて──────ありがとうございました」
ペッパーの御礼向上の果てに、ウィズダムガード:タイプケルトスティングを構築していたポリゴンは崩壊し、第四殻層で購入した物品の数々が、購入者のインベントリやインベントリアへと戻って行く。
「あぁ、良かった…………チェストリアが帰って来た…………。此れでロストだったら、怒りのままに運営へメール連打する所だよ…………」
「インベントリアも無事だった、ので…………一安心、です」
「此の戦い、MVPは間違い無くマッダイさんだったね」
「いやホント其れ、ペッパーのタンク装備で滅茶苦茶暴れてたしなぁ…………」
「SOHO-ZONE君がタンク職のスレッドに流して、大反響を呼んだからね。今後も需要は増えていくだろう」
「今迄の装備じゃ出来なかった、大火力を出せたから機会が有ればまた使ってみたいわぁ〜」
購入数を照らし合わせる者、大金叩いて買った物が無くならずに済んだと安堵する者、最も抜きん出た活躍をした者へ賞賛を贈る者と、十人十色の反応が其処には在って。
そんな彼等彼女等の話を聞きつつ、マッシブダイナマイトから返却された装備と武器をインベントリアに納めたペッパーが向けば、サンラクが彼女へ……………リヴァイアサンを統括するAIの
「どうだ勇魚。此れで王手だ」
第五殻層への進出を阻みし門番を討ち取り、獣よりも上位の存在であると証明した者達に、勇魚は何処か楽しそうに笑いながらも、口を開いた。
『不思議ですね………とても喜ばしい事も事実であり、そして焦がれていた事も事実であり、何故だか少し寂しくも感しています。彼女も………
「どうでしょう……………でもきっと、俺達の歩みを誇らしく思っていたと考えます」
ペッパーの言葉を聞き、勇魚はフワリと浮かんで。此の場に立つ全ての生命達へ賞賛するかの様に、高らかに声を発した。
『私から最大の祝福を!ペッパー・
そうして彼女の手には『光』が集まり、そして輪郭を成した事で見えたのは、およそ超文明の神代には似つかわしく無い、現代に等しい南京錠を開ける為の『鍵』で。
手に宿った鍵を見つめ、勇魚は此の場に立つ全ての命達へと語り出す。
『貴方達は何を成しますか?…………神代の力は、貴方達が思う以上に強大です。森を焼き、川を枯らし、湖を埋め、大地を均す。そして人を殺す等、あまりにも『容易い』のです。……………ですが、其れですら
鍵を手に取り其れを捻れば、ガコン………!という大きな音と共に第五殻層の外壁が開かれ、光が満ち始める。此方を見下ろす勇魚は、リヴァイアサンの最奥に辿り着く者達に問い掛ける。
『私は
彼女の言葉と共に、叡智へと辿り着く一同の前に『リザルト画面』が表示され。其の視界を溢れ出した光が塗り潰していったのである…………………。
『アンバージャックパス:レベル4を取得しました』
『称号【Re:前人未踏】を獲得しました』
『称号【勇魚駆け】を獲得しました』
『称号【真実に触れる手】を獲得しました』
『第四殻層
『グランドクエストが進行しました』
最奥の殻層へ