ファイルの中身は如何程に
「まぁ言いたい事は色々有るけど、取り敢えずあーくんには五十個のファイルをパパパッと読んで貰う事かな」
「……………インベントリア生産の為か」
「そうそう」
第五殻層『
「とは言っても、気になる情報が有ったら手を止めるけど?」
「構わないよ、寧ろ録画しとくから」
「録画と撮影禁止で」
「えー、ケーチー」
「えーじゃないし、ケーチーじゃない」
此れは少なからずの抵抗だ、守らないなら絶対にファイルを読んでやらんとばかりに視線と意志を貫けば、ペンシルゴンは頬を膨らませた後、溜息を付いて録画アイテムを収納した。
其のまま視線をオイカッツォと京極達にも向ければ、そそくさとペンシルゴンと同じアイテムを仕舞ったので、気を取り直しからの閲覧可能な三百越えのファイル達に注目する。待たせるのも悪いので、気になった物からどんどん見ていこう。
そして此処からは自分が注目した幾つかのデータファイルと、其の中に入っていた情報を抜粋した物になる。
晴天流の歴史
元々は連綿と受け継がれていた『古武術流派』であり、流派系スキルの元祖となった物らしく、此の
また晴天流の『最終奥義』は複数存在し、其の中の一つが墓守のウェザエモンが用いた『
ウェザエモン・天津気将軍の
リヴァイアサンの軍を統括していたウェザエモン・天津気の、彼の『全盛期』に関係するデータであると同時に、当時の晴天流は『一系統毎に三つの奥義』が在って、其の全てを使いこなしていたという記載を発見。
仮に始源関係で神代人類が窮地に追い込まれていなければ、ウェザエモンは『晴天流七系統二十一の奥義』を携え、あの戦いに立ち塞がっていた可能性が高い。
ウェザエモン・天津気将軍の日誌
駄洒落が好きで昔は世界平和を願い、様々な人との出会いや別れを綴った、ウェザエモンというキャラクターをより深く紐解く、そんな巻物型の書物。
青年時代から始まり、リヴァイアサンの政府直轄軍の総司令官への就任、天津気 刹那との出会い、そして離別を経験した所で終わっていた。
墓守のウェザエモンが纏っていた鎧含めて、規格外特殊強化装甲や規格外武装の原点となった、天津気 刹那やアンドリュー・ジッタードール含めた天才達の叡智と技術の結晶という印象。
だが其の中でも、天王には『兄弟機』が造られる計画が存在し、水中や海中に深海での戦闘を行う戦術機と、空中高速戦闘を可能にする為の戦術機、そして天王含めた三機其々に対応する『専用武装の設計データ』も在った。
大陸滅殺級災害記録
嘗て惑星ユートピアの東側大陸と西側大陸を崩壊させんとした、過去に起きたとされる『巨大台風』・『大津波』・『大地震』の三つであり、ダルニャータが作った
下手をすれば大陸全土が薙ぎ払われたり、海の底に沈んだり、惑星其の物が割れていたらしく、其れを
エドワード・オールドクリングの日誌
大体が彼の愚痴からなる文章だったが、其の文脈から人類を──────おそらくは神代人類の未来を憂いていた人物だったと解るノート。
アリス・フロンティアやジュリウス・シャングリラに
特殊戦術機開発許可ライセンス
一体何なんだコレはと見てみたが、どうやらプレイヤーが戦術機をカスタム出来る様にする為のライセンスらしく、其の中には『特殊戦術機剣ソードメン』・『特殊戦術機蛸オクトメン』・『特殊戦術機竜ドラゴメン』なる物が在った。
おそらくユニークモンスターの一式装備を所持、使用している事が理由なのだろうが、ルストやモルドに話したら色々狂喜乱舞してヤバそうなのと、
カムイ種に関する情報
マナ粒子は空に向かえば向かう程に薄くなるが、其の環境化で生命活動を可能にした種族が居り、其の始祖種から天空の生活に特化した種族こそが『カムイ』の名を関する存在達で、数こそ少ないが其の活動は『生きる災害其の物』。
新大陸では『帝雲の魔神』と謂われる『タイタンカムイ』が死した時、其の身に纏っていた雲諸共落下。墜落地点含めて広域に被害が出たという記録が残されている。
色々なファイルから気になる物を選び抜き、読み終えてノルマとなる五十個目のファイルは『6.6.6.計画』こと、正式名称を『ヴィカリウス・フィリィ・デイ』を調べ、驚愕の感情に晒された。
此の計画は対始源存在への神代人類が考え至った
そして紆余曲折を経て、最終的には『ジュリウス・シャングリラ』が己の脳髄を惑星ユートピアの核に撃ち込み、『人類が生存可能な環境作成の思考をし続けた事』によって、マナ粒子其の物の完全掌握には失敗したが、環境操作は成功した事で始源の存在達の目覚めを阻害し、今日に至る迄の間に一号人類と二号人類が生きられる状況に持って行った……………という内容だった。
(だから此の世界の動物系モンスターは、俺達が知っている動物達の特色が反映されているって訳か…………)
控え目に言っても『規格外』という認識に、ペッパーの中でジュリウス・シャングリラは『自らを犠牲にして惑星ユートピアを今尚支え続けている人類達の神様』の其れに変わり。
『ペッパー・
そんな折に
『叡智に至り、そして数多の過去を識った者達………どうか、貴方達に会って欲しい方がいます。知って欲しいモノが在ります』
「特殊イベントってか…………?」
「他の皆さんは?」
『貴方達四人に知って欲しいのです』
「成程ねぇ………」
他のメンバーはジト目だったり、ブツブツとぼやいていたり、情報を見終えたからか此の場から居なくなっていたりしたが、此の四人でなくては駄目なのだと勇魚の視線が訴えている。
「カッツォ、京ティメット。エムル達を頼んだ」
「ノワ、アイトゥイル、ヒトミさん。ちょっと行ってきますので、待ってて下さい」
『クゥン………』と鳴いたノワや心配そうに見つめるアイトゥイルに、ペッパーは思いっ切り撫で撫でをしまくり。そうして四人の足元には光が灯り、神代のワープ機能が発動する。
『案内しましょう………貴方達の母が
其の言葉と共に、四人はワープして行った。
『少し、昔話をしましょう。──────昔々、ざっと三千百三十年程前の事ですが………まぁ何と言うべきか、控えめに言って神代の人類は
神代製のワープシステムによって移動する中、ペッパー・サンラク・サイガ-0・ペンシルゴンは、勇魚から昔話を──────遥か遠い嘗て終わった時代の話を聞いていた。
『人類を守る筈だった『ABCED-
始源の胎動に抗う為の兵器が始源の存在に奪われ、そして人類は蹂躙されていき、滅びる未来は決したのだと彼女は述べた。
『其の際に『とある計画』が実行に移されようとしました。──────其れこそが『6.6.6.計画』、或いは『V·F·D·計画』。貴方達四人にも理解出来る様に噛み砕いて説明するならば、人類の滅亡では無く『人類と星の心中して果てんとする』、人類最後の
人類のどん詰まり、最後は自分達が宇宙を渡って辿り着いた惑星諸共、宇宙の塵に変えてしまおうとしたのだと言う。
『地殻の先の、更に深く深い場所…………『マナ粒子を生み出している星の中枢に、破滅のみを思考する人工生体脳髄を搭載した穿孔型ミサイルを打ち込んで
デマやらを流してイニシアティブを奪取し、体勢を自らに優位となる意見に偏向させる。
『ですが此の星は依然として運営され、滅びていません。始源の破滅を願い、生き残った者達を星諸共に心中させるという『愚行』を犯しながら、恥ずかしげも無く月へと逃避行しようとした馬鹿共は、月に定着した後に此方からのコンタクトの『一切』を遮断したバハムート…………一番艦の『ジズ』によって
人類全てを全滅させるというのに、自分達だけは生き残るという責任逃れをせんとした権力者達は、残り一つのバハムートにして月に存在して居るという、一番艦のジズが撃ち落としたのだと語った勇魚は、ペンシルゴンですら若干引くレベルの『途轍も無く真っ黒な笑顔』で語り続ける。
『彼等彼女等の死は、
三千年以上も単身で思考を続ければ、確固たる自我は生まれ、育まれていく。自分達にも出来たならジズも同じ事が起きたとしても、何ら不思議ではないのだと。
『………嗚呼、ダメですね。誰かに話す懐古なんて初めての経験で………。コホン、今度こそ話を戻します。──────そうして、心中の短刀を振り上げる事すら許されず、人類は滅びる筈でした。………………ですが、刹那という天才を失い、ウェザエモンという英雄が去り、ジークが、アンドリューが、そしてエドワードに、ファルナまでもが消えて……其れでも二人は………彼と彼女だけは、諦めなかったのです』
光がゆっくりと収まって、辿り着いたのは第五殻層の叡智よりも更に小さな空間で。其処には唯一つ、人が一人寝転がれるだけの広さと大きさを持った、所謂『タイムカプセル』の様な物が在り。
『バトンタッチ計画の根幹、Q.E.D.ユニットの建造を成し遂げた『アリス・フロンティア』。………そして、心中の刃を明日を切り拓く為に、もう一度握り締めた人──────『ジュリウス・シャングリラ』。…………私の最初で、最後の『恋』。そして三千年経った今も尚、色褪せる事の無い『愛』……………。其れが其処に横たわる、
彼女が指を差した先……………カプセルの中で目を閉じ眠る、『頭に手術痕が残された白銀髪のカリスマの雰囲気漂う科学者の服装を着た男性』が。
彼は神様