話を聞いて何を思う
『私はリヴァイアサンのデータベース内に一切の容量を持ちません。私はリヴァイアサンの全権限にアクセス可能であり、リヴァイアサン内で起きた出来事の全てを記憶出来ます。が………其れでも、其れを記憶するのは『
勇魚から語られた、重く重い長く遠き
(何か『ル・アラバさんとネレイスさん』みたいな感じがするなぁ……………)
長い時間を掛けてリヴァイアサンが『擬人化した存在』、其れが勇魚という存在の『正体』。そして自分達神代人類が滅びれども、新たなる人類たる一号人類と二号人類の未来を紡がんとしたジュリウス・シャングリラとの『惚気話』というか、何方かと言えば『ラブロマンス』的な感じだろうか?
『当時は、気付かなかったんです。ただ何も気付いていないなりに彼を止めて、拒んで、其れでも説き伏せられて………。知性も、記憶も、何もかもを焚べて、地の底に消えたジュリウスに………私は、私は………』
第五殻層『
そして此の話は誰かの物語である『ユニークシナリオ』や、
『だから、コレは『私の未練』なんです。ただの『抜け殻』でも、其れでもコレは『あの人』なんです………。だけど、だけれども……、私は『間違っているのでは』?………人間は『亡骸を弔う』ものです。…………此の場所に、こんな、標本みたいに飾って………嗚呼、正体すら知れぬ私が『誰かを想う事自体が間違いだったのでは』………っ!!』
(多分『此処だ』。此処から勇魚さんを『どう説得するか』が、俺達四人にとっての
リヴァイアサンの施設をスムーズに利用する為にも、他にも未だ見れていない情報を閲覧する為にも、此処で『仕損じる』事は何としても避けたい。
今回のロールプレイで成し遂げる事は、『勇魚自身が感じてきた事は間違いじゃないと認識させる』であり、其の為のキーワードは『愛』と『ジュリウス・シャングリラ』に『自分を信じる事』の三点。
今後の明暗を、ワールドストーリーの方向性を分け得る一幕へ、ペッパーは勇魚に対するロールプレイを展開しようとし──────
「いいえ。きっと、間違いなんかじゃ…………有りません」
「レイさん?」
「レイちゃん」
彼の言葉より早く、サイガ-0が勇魚に声を掛けたのだ。
「行動が正しいのか、其れとも間違っているのか………。きっと此の世界で………其れを証明出来る人は居ない、と思います………。──────でも、其れでも。其の想いを、
『……………………』
此処は黙って様子を見るのが得策と感じてか、三人は彼女と勇魚の
「誰かを想う気持ちに……種族とか、正体とか、………『関係無い』です。もう返事を、聞く事が出来なかったとしても……、其れでも貴女自身が、見聞きして………感じた思い出は………きっと『嘘でも間違いでも無い筈です』」
『………そう、でしょうか』
「はい」
勇魚に対するロールプレイの『
「──────勇魚さん。貴女は今でも、ジュリウスさんの事を『愛していますか』?」
『…………………はい。今でも、私は彼を『愛しています』。彼が『どんな姿』になっても、例え『亡骸』になったとしても』
「ならば、勇魚さんは『勇魚さん自身を信じて下さい』。ジュリウスさんが『貴女を信じた様に』…………。貴女は貴女の『心で感じた事』を、彼と共に過ごしてきた『確かな時間』を。其れがきっと、ジュリウスさんが『貴女に望んでいる事』の筈です」
蛇足かも知れないが『ちゃんと言うべきだ』と思った事を、己の言葉に乗せて勇魚へと放ったペッパー。果たして其れを聞いて何を思ったか、勇魚は朗らかな──────『自然な笑顔』でこう言ったのだ。
『………ふふ、長く
「いえいえ、そんな…………」
「どういたしまして」
取り敢えず勇魚の闇堕ちルートだけは避けられた様で、ほっと胸を撫で下ろす。万が一にも仕損じていたなら、最悪『八体目のユニークモンスター誕生』なんて事も有り得る予感がしたので、サイガ-0のパーフェクトロールプレイはマジナイスだった。
「流石レイさん、見事なロールプレイでしたね」
「………ちょっと、気取りすぎたかな………なんて………。私自身も指導出来る、様な
「いやいや、
「ヒュッ──────!?」
ボスンッッッッ!という水蒸気爆発に似たSEを立てたサイガ-0が、真っ赤な完熟林檎めいて赤面し。其れから数秒してサンラク本人も『自分の発言』に気付いたのか、頬を指先で掻いて明後日の方角に視線を向け、ちょっとばかり『照れていた』。
「………………ねぇねぇ、あーくん。サンラク君もシレッと爆弾発言してるよねぇ〜???」
「あまり茶化してやるなよ、ペンシルゴン…………」
こういう二人だけの世界は、邪魔をしない方が良かったりする。遠くで静かに見守って、タイミングを見計らい祝福するのが、サプライズの基本中の基本だ。
其れは其れとして、サンラクとペッパーが此のリヴァイアサンを一夜で踏破した理由は、『ある物を手にする為』に最奥の地を目指す必要が有ったからこそであり。
「勇魚さん、聞きたい事が有ります」
『ええ、何なりと御聞きください。ペッパー・天津気様とサンラク様が持っている『エドワードレポート』も、此方で既に閲覧可能状態にして有ります』
エドワード・オールドリングが地下ラボに遺した破損ファイルだったアレの事かと思いながら、ペッパーは前に出て『一枚のスクショ』を勇魚に見せながら言った。
「バハムートの三番艦・ベヒーモスの第八階層に在る、アンドリュー・ジッタードールさんのラボ……………其処に置かれていた、此の
────────────と。
知りたい事を知る為に