VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

780 / 1073


イベントを終えて




遠く古き兎の鎧

バハムート二番艦・リヴァイアサンの第五殻層『叡智(エイチ)』にて話を語り終え、キョージュ含めた質問攻めから漸く解放された時には既に朝の四時半。既にシャンフロの海の水平線からは太陽が顔を出し、朝日が昇って一日の始まりを告げている。

 

「壮絶に疲れた…………」

 

一日でのリヴァイアサン完全制覇、一徹という代償を支払ったので何れシャンフロを少し御休みして、睡眠による回復の為に使う事を決意しつつ、ペッパー・サンラク・ペンシルゴン・サイガ-0、其々のパートナーのヴォーパルバニーにリュカオーンの分け身のノワ、そして巨大鎧馬の緋鹿毛楯無(ひかげたてなし)はラビッツの兎御殿へと戻って来ていた。

 

緋鹿毛楯無は兎御殿の庭先で待機させ、四羽の兎に連れられた四人の開拓者達は道案内の果てに、御殿内の謁見の間の襖前に辿り着き。開けられた先にて彼等彼女等が見たのは、着物をビシッと着付けた致命兎の大親分のヴァイスアッシュと、ラビッツの宰相のエードワードと兎御殿の鍛冶師のビィラック。

 

天覇のジークヴルムのユニークシナリオ上の撃破対象・ノワルリンドと仲良くなって、ユニークシナリオを発生させた秋津茜(アキツアカネ)のパートナーのシークルゥに、桃毛色のヴォーパルバニーが一羽。更には猫妖精の国・キャッツェリアで傭兵をして居るイーヴェルも、此の謁見の間で待っていたヴァイスアッシュの子供達が全員揃って『着物姿』で待っていたのである。

 

「ディアレおねーちゃん!何で此処に居るですわ?」

「おとーさ、ごほん………!(カシラ)から着物を着て、此処で待っていなさいって言われてね」

「イーヴェルさん、御久し振りです」

「おぅ、久し振りだペッパー」

「…………オメェさん等。其の様子じゃあ、キッチリ『リヴァイアサンの最奥まで辿り着いた』様だな」

 

そんな折、ヴァイスアッシュが声を掛けて全員の視線が向き直る。一体何時から此方の状況を把握していたのか解らないが、兎も角ヴァイスアッシュは自分達が今迄『何をしていたのかを把握している』、という事だけはハッキリと解る。

 

そして彼の子供達……………AからEまでの、現時点で無尽のゴルドゥニーネの(呪い)に耐えられる面々が、一同に介しているという事も相当な事態だと四人に確信を抱かせるには、既に充分過ぎる要素だった。

 

「父さんから聞きました。貴方達が父さんからの宿題を終えて戻って来たのだと。即ち天守閣に在る『アレ』を開く資格を得たのだと」

「はい。ヴァッシュ先生からの宿題………リヴァイアサンの最奥に到達し、勇魚さんと会話をして此の世界の根幹に関わった神代人類──────『ジュリウス・シャングリラ』さんと出逢いました」

「出逢った、かぁ…………」

 

エードワードの言葉にペッパーは答え、ヴァイスアッシュは呟き瞑目し。

 

「サンラク、ペッパー。嘗て約束したリヴァイアサンの最奥への踏破、其奴を成し遂げたオメェさん達に…………此の先起きる『嵐に抗う力を託す』ぜ」

 

普段閉じている片眼をも開き、そう彼等へと告げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァイスアッシュの案内、エードワード・ビィラック・シークルゥ・ディアレ・イーヴェルと共に、ペッパー・サンラク・ペンシルゴン・サイガ-0、そしてアイトゥイルとエムルにエクシス&ウォットホッグが続く形で廊下を歩き。

 

以前と鎖で封じて施錠された扉を、ヴァイスアッシュが取り出した鍵で開き、階段を上って最上階の天守閣に辿り着いた彼等彼女等は、其処で反転都市ルルイアスの王城で見たクターニッドの一式装備が入った鋼鐵の箱と同じ物が置かれている事を目視。

 

「「おごごごごご…………」」

「ブ、ブビビビビビビッ、ビビビビ…………」

「ちょっ、ビィラック!?此の時点で気絶するってどうなってんだ!?」

「え、エクシスさんに、ウォットホッグさん…………!」

「ハハハ………!一瞬でも気ィ抜いたら、確実に『持ってかれる』なァ………!エー兄ィ、シー兄ィ、ディ姉ェよォ………!」

「其の通りで御座るな………!」

「イーヴェルの言う通りだ。アレは父さんが嘗て『十日十晩不眠不休の中、神なる鍛冶で創り上げた』とされる、伝説の鎧と道具を仕舞った箱…………!生きている内に中身を拝見出来るとは、私達は本当に幸運だ…………!」

「ぐぅううう……………!」

 

其の箱から放たれているオーラか何かを受けたエクシス・ウォットホッグ・ビィラックは泡を吹いてブッ倒れ、エードワード・シークルゥ・ディアレ・イーヴェルは冷汗を垂らし、アイトゥイルとエムルはゴクリと固唾を飲んで状況を見守る。

 

何よりヴァイスアッシュ程の──────神の御業を持つ鍛冶師が、グランシャリオを作り出して真化させるのに『半日から一日の時間』を要した其れの、およそ『十倍以上の時間を掛けて、飲まず食わずに眠り休む事もせずに作った』其れは、ヴァイスアッシュの長男長女次男次女でも下手すれば気絶不可避の代物らしい。

 

此れを持ち歩いていたら、其の内『無尽のゴルドゥニーネの本体と四体の龍蛇(ナーガ)が自分達に攻め込んで来るのでは?』と、物凄く嫌な予感を抱くには充分過ぎる要素で。

 

「ペッパー、サンラク、ペンシルゴン、サイガ-0」

 

ヴァイスアッシュからの呼び掛けに、四人は思考を切り替えるや、其々のヴォーパルバニー達を兄弟姉妹に預けて、一歩一歩と箱の前へと歩み寄り、正面に立つ。

 

「此の中に入ってる物にぁ、オイラの力と技の粋を入れて在る。全部は時が来るまでは見れねぇが、()()()()()()()()ぁよォ…………………『頼んだぜぇ』?」

 

ヴァイスアッシュの言葉が四人に、特にペッパーとサンラクの耳と記憶へ深く、突き刺さる様に刻み込まれる。まるでヴァイスアッシュ自身は『既に覚悟を決めている』かの様な、そんな言い方をしていて。

 

『解析………………ペッパー・天津気(アマツキ)並びにサンラクのヴォーパル魂、並びにヴォーパル魂累計蓄積値……………カプセルのロック解除に必要な規定数値超過を確認、ロックを解除します』

 

ガコン!と鳴り響き、箱の内側より噴き出す冷たい冷気と共に重たい音を立てながら、鋼鐵の箱は開かれて。

 

其の中に入って居たのは、『鳥の翼と見間違える程に大きな兎の耳を付けたヘルム』に、黒地のインナースーツの上に灰色の装甲と白いエネルギーラインが走る、其の上に『灰色の和装着物と袴が着けられたパワードスーツ』。

 

其の左右には、まるでロボットアニメの劇中描写としてメカニックが『ハンガーに武装を吊るして、戦局に応じたカスタマイズを施す』のと同じ様に、焼き入れや金鎚を含めた『ありとあらゆる鍛冶師道具』がピッカピカのキラッキラ状態で共に在ったのだ。

 

「此の鎧の名ァ『世界を知り得し旅兎王装(モポルシィーヴ・リフトゥルー)』、オメェさん等…………此奴を其の身に纏うに相応しい、ヴォーパル魂に溢れた開拓者になる事を願うぜ」

「はい、先生!」

 

ヴァイスアッシュの言葉にペッパーが猪一番に答え、混海覇印(アルカ・ク=リンゼン)(スペリオル)を外し、空いたアクセサリースロットにリヴァイアサンで購入した、もう一つの格納鍵(かくのうけん)インベントリアを既に装備した反対の手首に装着から、ヴァイスアッシュの力と技を籠められた一式装備と鍛冶道具達を収納。

 

三人も背後から彼を覗き込む中、其の能力をチェックして──────目を丸くした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界を知り得し旅兎王装(モポルシィーヴ・リフトゥルー)【ユニーク遺機装(レガシーウェポン)】:不滅のヴァイスアッシュが己の力と技の粋を結集し、神なる鍛冶にて造り上げた、大いなる力宿せし一式装備と鍛冶道具。

 

永く遠い旅路の中で培った技と数多なる鍛冶道具を備え、其の手より生み出す武具は神なる御業の其れに等しく。揺らぐ事の無き強き御霊と共に振るあば、夢想にして無双たる武具と鎧は産まれる。

 

其の(かいな)より創られし逸品は、天上と天下に灯る大いなる輝き。其の(かいな)より産み出された物は、我が子と等しき物。其れを努々忘るる事非ず。

 

 

 

頭装備:頂鳳兎角(チョウホウトカク)

胴装備:兎風雲凪(トカゼクモナギ)

腰装備:郡兎因玉(グントインギョク)

脚装備:律界脱兎(リッカイダット)

 

 

遥成鍛冶道具(ハルカナルカジドウグ)

 

装備条件:【MP150】【器用200】【技量200】

【ヴォーパル魂:300以上】【ヴォーパル魂累計蓄積値:30000以上】

 

 

FCB:神業宿腕(カミワザヤドルカイナ)

 

FCB:???

 

FCB:???

 

 

 

神業宿腕(カミワザヤドルカイナ):此の一式装備を装着中、装備者は職業:名匠・古匠・神匠の扱う全ての鍛冶魔法を行使し、真化と神化を行う事が出来る。其の際に行使出来る魔法の性能及びレベルと、真化及び神化によって武器に与える影響は、装備者の持つヴォーパル魂の累計蓄積数値に比例する。

 

???:今はまだ時に非ず。世界が【──────】に進み、其の時に至りて明かされる。

 

???:今はまだ時に非ず。世界が【──────】に進み、其の時へ至りて明かされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(開示されてる能力の一つの時点で神匠に至ったプレイヤーやNPCと、同じ能力を行使出来るってマジ???えっ、つまり、何?武器や防具直しは愚か、武器防具やら甦機装(リ·レガシーウェポン)の新規製造すら一式装備中なら可能って意味?

 

と言うかヴォーパル魂の累計蓄積数値って何?アレか?上がったり下がったりする疑惑の数値が、其のプレイヤーの一人一人に上限値として重なってるって意味なのか???

 

残り二つはワールドストーリーが進まなきゃ解らないが、既に開示されてる一つでもヤバいのに、コレ鍛冶師プレイヤーにバレたら絶対に色々言われる流れ不可避じゃん…………)

 

唯の一つの能力でさえ、此迄汗水流して研鑽を積み重ねてきた鍛冶師プレイヤーやNPCを一瞬で追い越し、神の領域の鍛冶を可能にする一式装備は四人に絶大なる衝撃を齎し。

 

同時に彼の目の前にリザルト画面が表示されたのだった……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『勇者は大いなる兎の力と技を宿した鎧を受け取った』

『神なる御業は其の手に宿る』

『称号【真相へと至る者】を獲得しました』

『称号【不滅の御業(ワザ)を紡ぐ神手(ミテ)】を獲得しました』

『ユニーククエストEX【七星の皇鎧よ、我が元に集え】が進行しました』

『ユニークシナリオEX【致命兎叙事詩(エピック.オブ.ヴォーパルバニー)】が進行しました』

 

 

 






其れは最強最古の、兎の力を宿した鎧







世界を知り得し旅兎王装(モポルシィーヴ・リフトゥルー)

致命兎の国の王、鍛冶師達の至高にして頂点、そして七つの最強種が一角たる存在・不滅のヴァイスアッシュが、来る時に備えて己の此迄に得て培った力と技の粋を結集し、神なる御業を以って十日十晩不眠不休の鍛冶の果てに創り上げた、大いなる一式装備と鍛冶道具。

ポポンガの助力によって手に入った神代製のタイムカプセルに封印し、鎧の権能(チカラ)を振るうに相応しき者が現れるまで保管・管理していた。

不滅のヴァイスアッシュの権能が籠められたユニーク遺機装(レガシーウェポン)であり、全種装備状態(フルカウルモード)となる事で秘められた能力が解放される。

世界を知り得し旅兎王装の機能は『鍛冶師職業の最上位職の名匠・隠し職業の古匠・隠し最上位職業の神匠が持つ鍛冶技術全てを装備中に限り行使可能』と『──────』、そして『──────』がある。

旅兎王装のイメージは、頭部から首に掛けてが『バトルスピリッツ』のXレアの一枚『究極神皇(きゅうきょくしんおう)アルティメット・ゲイル・ビット』で、胴体・脚部・腰回りは『ヴァンガード』のグレード3の一枚『月影の白兎 ペリノア』のアーマーの突起パーツを取っ払って、其の上に『アッシュテイル -風の大地-』のイベント報酬の『雪兎シリーズ(男性)』を灰色に変更した物を着けている感じ。

全体的なカラーリングは、小説『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の主人公『ベル・クラネル』が愛用している、鍛冶師『ヴェルフ・クロッゾ』が製作した軽量鎧の『兎鎧(ピョンキチ)』の赤いラインを白に変更した物。



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。