VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

786 / 1072


向かいましては




其処に在るは墓守の真実

「わー、話には聞いてたけどマジで変態じゃーん」

「同じクランに属してる私やニーナ(217)ちゃん達の品位まで下がっちゃうよねぇー」

「「ね〜」」

不快(うっわうぜぇ):リリエル=217、貴女は『Strawberry』所属ユニットとして、迅速に(とっとと)任務に戻るべきでは?」

反論(ざーんね〜ん):当機(ワタシ)もペンシルちゃんと契約したから、独自行動の許可が降りてるもーん」

「おいごら待てや。自然な流れで俺を小馬鹿しながら話を流すな」

 

リヴァイアサン第五殻層『叡智(エイチ)』、未だに多くの開拓者(プレイヤー)達が第三と第四の殻層で足踏みしている中、先んじて此の区画へ踏破を果たしたペッパー達は(VIP)エリアの第四殻層『工廠(コウショウ)』から叡智へとファストトラベルで移動し。

 

其処でペンシルゴン・ゼッタ・オイカッツォ・京極(キョウアルティメット)、そしてペンシルゴンが単独行動中に契約したらしい征服人形(コンキスタ・ドール)のリリエル型217号機こと『リリエル=ニーナ』と合流を果たす。

 

征服人形がそうなのか、其の征服人形の元となった存在がそうなのか、どうやらエルマ型とリリエル型が出会うと『不仲』やら『口論』になる傾向が有るらしい。逆にカルネ型とレイカ型は互いに心配し合ったり、談笑に花を咲かせたりと『仲良し』である様だ。

 

「こういうきゃるんきゃるんなガワの中に、ドロッとした悪意が入ってるジャムパンガール、私は大好物ッ!」

契約者(ペンシル)ちゃんみたいな、ミサイル弾頭には言われたくなぁーい!」

「なぁなぁ、サンラク。ペンシルゴンとニーナってさ、アレじゃね?毒入りシュークリームとジャムパンコンビじゃね?」

「山葵と辛子ペーストクリームパンと、モンブランコンビの間違いだろ」

「仲良しだなぁ、二人共」

「似た者、同士………ですね」

「「同意」」

 

人を簡単に殺し得る毒物コンビとか、怖いったら有りゃしない。実際辛味の在る物が目に入ると、失明の危険が伴う事も有るので気を付けないと不味いのは事実だ。

 

「えっとニーナさんは、ペンシルゴンとはどうやって契約したのですか?」

確認(もしかして):ペンシルちゃんの『恋人』さんは気になるの?しょーがないから特別に教えたげるよ〜♪」

「恋人……………後其処の外道連中、ニヤニヤするのを止めなさい」

 

ニーナからの指摘を受けて遠い目をしたペッパーへ、ニヤケ面で視線を送るサンラク・オイカッツォ・京極に注意を飛ばす彼を他所に、ニーナはあざとく話を続ける。サイナはあからさまに半目で彼女を見ている様だが。

 

話を纏めれば、最初にペンシルゴンは他の征服人形へ遠回しに『エルマ=317が所属している小隊(ユニット)と構成メンバー』を聞き出し、次に『サイナちゃんが通信途絶環境でリリエル=217ちゃんを呼んでるから〜』と言ってリリエル=ニーナを呼び出し、嘘七割+真実一割+二割の雰囲気ロールプレイを展開、契約まで持っていったのだと言う。

 

………………詐欺から初めて好感度を高い状態でキープし、最終的に契約に漕ぎ着けた当たりからしても、流石はペンシルゴン。口論や言いくるめに交渉関係は彼女の十八番、ニーナはある意味で『乗せられた』感じだ。

 

「もうエルマ=317に、勝ち誇った顔なんてさせないもんねー。べーっ!」

状況報告(オイオイ見ろよ):契約者(マスター)、アレには理性を感じさせない面構えですね。流石リリエル型と断言出来ます」

「堅物鉄面皮なエルマ型に言われたくないんですけどーっ!?っていうかエルマ=317、性格ずっと悪くなってない?!」

「まさか。インテリジェンス・異常なし(オールグリーン)ですが、何か?」

 

争いは同レベルの間でしか発生し無いとはよく言うが、こういう事なのかと思いながらも、ペッパーは寄り道を経て『本命』を果たす為にリヴァイアサンを統括する存在(AI)、或いはリヴァイアサンの擬人化たる勇魚(イサナ)を呼び出す。

 

「勇魚さん」

『はいはーい、私が来ましたよー!』

 

相変わらずの鉄面皮で固めた笑顔だ、此の手のタイプは好感度を一回でも落とすと、リカバリーが殆ど効かないだろう。

 

「勇魚さん、先日貴女が申し出た『ウェザエモン・天津気(アマツキ)将軍と天津気(アマツキ) 刹那(セツナ)さんが生前に生活していた、リヴァイアサン内の特別居住空間』への案内。ウェザエモンさんを討伐したメンバー含めて、案内して頂いてもよろしいでしょうか?」

 

ペンシルゴンにとっても、そして自分達にとっても。嘗て挑んだ最強の存在に関連した場所へ足を踏み入れられるならば、恐れずに飛び込み確かめたいのだから。

 

其れを聞いた勇魚は暫くジッと此方を見て──────納得した様に頷いた後、第四殻層のウィズダムガードを倒して第五殻層を開いた時と同じ様に、掌へ光を集める。

 

だが其の形状は第五殻層の物とは異なる其れを持ち、施錠された鍵を開く様に捻り、同時に此の場に居た全ての生命達の足元に神代製のワープ現象が起き始める中、彼女は言葉を放つ。

 

『当時のウェザエモン・天津気将軍は神代最強の一個人であり、始源の存在達へと対抗する為に科学者達が技術の粋を結集した、彼一人を()()()()とする『英雄計画』の被験者でも有りました。けれども唯一人に『神代の人類達を背負わせる事』を、刹那様は『傲慢』だったと、間違っていたと……………そう言っていました』

 

足元に光が満ちる、此れは別の場所に飛ぶ合図だ。

 

『戦う度に『人の領域』から離れていくウェザエモン将軍は、ある時の戦いで『神代の人類が生き延びるか滅びるかの瀬戸際の中』、刹那博士に嘘を付いて出陣し…………刹那様は彼を止めようと戦場に出てしまった。そうして彼女は、敵の流れ弾に当たり──────ウェザエモン将軍の腕の中で息を引き取りました』

 

遠き日のセツナが生まれた理由を、ウェザエモンという人間が墓守となった理由を、勇魚が語った事で『七つの最強種(ユニークモンスター)・墓守のウェザエモン』に挑んだ者達は、彼のバックボーンを知る事となる。

 

『ペッパー・天津気様。アーサー・ペンシルゴン様。サンラク様。オイカッツォ様。京極様。サイガ-0様。そして彼等彼女等と共に歩む者達よ。此の先に在るのは彼と彼女が生きた場所…………神代の時代に二人が過ごし、住まった場所。リヴァイアサンが海の底へ潜航し、三千年の時が過ぎれど『其の状態を保ち続けた場所』。其処で貴方が何を思うのか──────勇魚()に見せて下さい』

 

光に包まれ、彼等彼女等は飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして彼等彼女等は、其の先でウェザエモンとセツナの足跡を知る。

 

 






彼が墓守となった理由

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。