VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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ワープした先




其処に在りしは最強の写し身

視界を覆った光が収まり、周りの風景や光景がハッキリと解る。

 

細めた視界を開けば、第二殻層と同じ広がる青々と茂る『草原』と、現在の時刻とリンクしているのか雲一つ無い『満天の星空』が彩り、人工ながらも自然にほぼ近しい『風』が此処に訪れた者達の肌に触れ、草を揺らし靡きながら通り過ぎた。

 

耳を澄ませば遠くで『水の流れる音』と、視線の先には平安時代の日本造橋で造られた『木造の橋』に、其の奥には一件の『大きな屋敷』、其の庭先には樹齢数百年は下らない『桜の巨木』が力強く、地に根を張って立派に立っている。

 

『此処はバハムート・リヴァイアサンの特殊殻層『(ヤシロ)』。最上級国民や政府関係者の中でも最上位の者達しか持てなかった、所謂『ロイヤルスイートルーム』の様な場所とも言うべき所でしょうか。生前のウェザエモン・天津気(アマツキ)将軍と天津気(アマツキ) 刹那(セツナ)様に用意された此処は、室内の環境状況の逐一の調整等含めても『リヴァイアサンの中で一番の特別製』なのです』

 

勇魚(イサナ)に案内されて橋の前まで歩き進み渡れば、橋の中間に『薄い膜』で隔てられる巨大なドーム状の物に護られた、謂わば『境界線』の前に立つ。

 

「勇魚、此のラップみてーな結界は何だ?」

『此方は外部からの空気や入る者に、表面を覆う『特殊な防護防塵服の様な物』ですね。あ、因みにサンラク様の身体に着いたリュカオーンの因子にも()()()()()、神代科学の結晶なんですよー』

「マジかよ、オイ。んじゃまぁ、御邪魔して………うぉっ」

 

サンラクの質問に勇魚が答えたので、試しに中に入って行けば彼の身体に『ラップが吸い付く様な感触』が襲い掛かる。外から見ている者の目には、サンラクが耐久性が尋常じゃないシャボン玉の壁に入り、其の身体に『シャボン玉の液が纏わり付いている印象』を抱く。

 

「サンラク君、其の膜どんな感じー?」

「透明な極薄ヒートテックを着てる感じだな。動きを阻害しねぇし、刻傷(こくしょう)にも破壊されない服なら、普段着として『アリ』だな」

 

そうして次々と橋を越え、領域内へと入って行くプレイヤー達の前で、ペッパーだけは境界線の前で立ち止まり。自ら一歩後ろに下がって頭を下げて礼を行った後に、ウェザエモンと刹那が過ごしていた場所に入った。

 

「デカい桜の木だ…………」

「セッちゃんも桜が好きって言ってたし、反転の花園に在った枯木も桜の木だったからね」

 

近くで見る程、立派な木だと解る。此処で花見酒が出来れば、さぞ楽しい一時を送れそうだ。

 

そんな二人を他所に、サンラクはオイカッツォと京極は関係NPC達を連れて屋敷の中へ入って行き。サイガ-0は緋鹿毛楯無(ひかげたてなし)を庭先に置きつつ、其の後を追い掛けて行ったので自分達も続く形て屋敷に向かい、入る前に一礼を挟んで玄関から「御邪魔します」と述べつつ、屋敷の中へ。

 

内部は勇魚が常に清潔にしていたのか、其れとも墓守のウェザエモンと同じ様に『固定』が施されているのか、数千年経って尚も()()()()()()()に対して、ペッパーは不気味な感触を抱く。

 

「…………其れにしても広いな。間取りによっては、江戸時代の大名屋敷クラスだぞ…………」

「ウェザエモンは此処でセッちゃんと休日を過ごしたらしいし、何処かに彼女の部屋とか有りそうだね」

 

近くの襖を明けて部屋の中を確認したりすれば、刹那が筆記していただろう『日記』が出て来たり、台所の戸棚にはウェザエモンと夫婦で使用していたと思しき『年季の在る徳久利に杯』、別の部屋では『花札の様な物』を見付けるが、勇魚から『持ち出さないで元の位置に戻して下さいねー』と言われた。

 

そんな時、先んじて屋敷の中に入って行ったサンラク達先行組が、其の手に『VRヘッドギア』らしき物を持って此方へとやって来た。

 

「おーう、ペッパーとペンシルゴン。何か見付かったか?」

「ウェザエモンさんと刹那さんが生きた証の品を幾つかね。其れは?」

「屋敷の居間みてぇな所に『ウェザエモンの一式装備を置いたら』、コイツが出て来てな。実際に見た方が早い」

 

皆に集合を促して一同はサンラク達の案内で居間に赴けば、畳と木造建築な『THE・日本屋敷』の駄々っ広い居間、奥には年季の入った掛け軸と鎧掛けに掛けられ飾られた、悠久を誓う天将王装(フォーエヴァー・ウェザリオ)轟斬型(ゴウザンガタ)太刀式(タチシキ)武装(ブソウ):大天咫(オオテンタ)、其の前には迫り出した一本の柱が在り、あの上にヘッドギアが一つ乗っていたのだとサンラクは語った。

 

「因みに使ったの?」

「いや。勇魚は『屋敷の外かつドームから離れた場所で使え』ってのと、『コイツを持ち出すのは禁止』だとさ」

「……………何かもう、壮絶に『嫌な予感』がするんだけど……………」

「奇遇だな…………、俺も『そんな感覚』を抱いてるわ」

 

此のヘッドギアに、一体如何なる秘密が隠されているのか。誰が一番先に使うかに際して六人によるジャンケンが執り行われ、最終的に視覚系&思考加速スキルによる補助を加えた、ペッパーとサンラクによる『累計五十回越えのあいこ合戦』の果てにペッパーが勝って、一番乗りの資格を手に入れた。

 

「何か解ったら教えろよ〜」

「了解した。後一応セーブもしとこう、アイトゥイルとノワにヒトミさんは離れた位置に」

 

屋敷内の庭先にセーブテントを建ててセーブを行い、駄々っ広い草原に一人立ってヘッドギアを見つめる。

 

(ウェザエモン・天津気(アマツキ)さんの鎧を飾る事で、初めて出現したらしい此のヘッドギア…………。VRゲームでVRをやるってのも変な感じだけど、もし此の感覚が『間違っていない』とするならば…………)

 

深呼吸を一回、準備体操を一通りこなして、ペッパーはヘッドギアを頭に装着。同時にヘッドギアを通じて、己が見据える視界の先に在る虚空へ『其れ』は投影されていく。

 

最初に出て来たのは『脚』だ。ペッパーは其れを知っている──────其の形状は、悠久を誓う天将王装の脚装備:天将乃脚鎧(テンショウノキャクガイ)蒼天走川(ソウテンハシカワ)であると。

 

次に出て来たのは『腰』だ。ペッパーは其れを知っている──────其の形状は、悠久を誓う天将王装の腰装備:天将乃腰鎧(テンショウノヨウガイ)澄清天際(チョウセイテンサイ)であると。

 

次に出て来たのは『胴』と『腕』と『鞘に収まって手に握られた刀』だ。ペッパーは其れを知っている──────悠久を誓う天将王装の胴装備:天将乃胴鎧(テンショウノドウガイ)天照一清(アマテラスイッセイ)と、轟斬型(ゴウザンガタ)太刀式(タチシキ)武装(ブソウ):大天咫(オオテンタ)であると。

 

最後に出て来たのは『頭』だ。ペッパーは其れを知っている──────悠久を誓う天将王装の頭装備:天将乃兜(テンショウノカブト)碧羅之天(ヘキラノテン)であると。

 

そして……………目の前に居る『投影された存在』の、虚影の身より放たれる()()は──────似た物を含めて、もう既に『何回も体験した』。

 

其の身に纏う一式装備(パワードスーツ)と陣羽織に着けられた桜の刺繍は、()が何者かを証明するには『充分過ぎる事柄』で有り。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嗚呼…………随分と久し振りだ。()()()()()()()()()さん。いや──────()()()()()()()()()さん!!」

 

言うが早いか勇者武器(ウィッシュドウェポン)聖盾(せいじゅん)イーディスを手に取り、ペッパーは静かに立つ『神代最強の一個人』と相対したのだった。

 

 

 






嘗ての彼


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