VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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皇が遺した物




多段変形・分割・複数変形はロマンチック

『特撮武器』…………日本の特撮関係に関われば必ず一度は耳や目にする玩具(ぶき)達を指し、共通して『ガチャガチャと遊べる』・『音声や効果音(SE)が滅茶苦茶喧しい』・『携帯や端末機器より高性能』等、日本独自の文化と技術の結晶とも呼ばれていたりする存在達をカテゴライズした物だ。

 

特撮武器は共通して、武器が通常状態から回転・変形・分離・合体等を行う事により、複数の武器が一つの巨大武器へと変わるや、一つの武器が四形態への変形や、他のガジェットと組み合わせて更に形態が追加されたりと、子供や大人が飽きない『プレイバリュー』を追求している物が多い。

 

放映当時は飽きる程に遊び倒して、時間が過ぎて軈ては収納の奥に仕舞うが、ふと思い出して引っ張り出して当時を懐かしみ遊ぶ………といった流れに持っていければ、玩具達にとっては『玩具冥利に尽きる』と断言しても良いだろう。

 

では何故唐突に『そんな話』を前述したのか………結論から言えば、ペッパーが他の開拓者達の力を借りて苦戦しながらも討伐した、不世出の存在(エクゾーディナリーモンスター)金晶独蠍(ゴールディー·スコーピオン)"皇金世代(ゴールデンエイジ)"の剣鋏を始めとし、水晶群蠍(クリスタル·スコーピオン)帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)の素材も含めてビィラックに渡し、彼女が作り出した渾身たる魂の逸品に等しき弩弓剣(アーチブレイド)

 

宝鍠趙弩剣(シャガル=ニュア)』の保有する能力が、其の特撮武器の特色を『色濃く反映している』からに他ならないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「其れじゃあ始めようか!」

 

封雲の撃鉄(タイタントリガー)(スペリオル)を起動して雲の羽衣を鎧の如く纏い、己の意思にて肩から両腕を構築。其の手でアムルシディアン・クォーツを喰らった事で、黒曜の色へと変色し、美しき光沢を掲げる宝鍠趙弩剣を持つペッパーは、此の弩弓剣の能力を『己の言靈(ことだま)』に乗せて放つ。

 

「………『分かれろ』、『伸びろ』、『折り畳め』!」

 

其の言葉を聞き届けた黒曜色の弩弓剣が、剣の柄部分から『左右真っ二つに分かれた』かと思えば、()()()を搭載していたのかと思える様に、黒曜に染まる弓幹(ゆがら)にして剣身(けんしん)たる鋒より『刃が伸び』、其れが最大まで伸びた後に『折り畳まれた』のだ。

 

其の形状はルートエンド・ミノタウロスの歴戦個体が持つ、歴戦のダンジョンアックスと同じカテゴリーに当たる『(アックス)』であり。しかして『其れ』は片手で振るえる様に作られた、所謂『手斧(ホーク)』の領分に在ると言っても過言では無い。

 

二刀流ならぬ二斧流…………雲の腕にて支え、其れを握り振い翳しながら、ペッパーは宣言する。

 

「宝鍠趙弩剣、二斧流形態(デュアルホークモード)!」

 

口上完了、接近は迅速に。速秀界心眼(クロック・フィルム)真界観測眼(クォンタムゲイズ)の効力が途切れる前に、自身の視界内限定で自身が望む其の場所まで自動で移動する快速挙動(ストリームロード)と、一歩目限定で使用者に超加速を齎す星天秘技(スターアーツ)シューティングスターを絡めし、突発的な縮地じみた接近からの手斧・大斧・ハルバード系攻撃スキルの重鎧両断(じゅうがいりょうだん)を起動。

 

大振りかつ唐竹割りにする勢いで振り抜くが、歴戦タウロスはダンジョンアックスを横に構えて持ち手の柄で攻撃を防ぐ所か、受けた上で押し出す(バッシュ)挙動によるペッパーの押し出しから、ハ柄尻付近まで流す様に持ち位置を変えて『ハンマー投げ』の要領で回転しつつ迫った。

 

ルートエンド・ミノタウロスとはラビッツの実戦的訓練で戦ったが、其の時の決死領域(キリングレンジ)よりも遥かに広い、効果が薄くとも『こういう攻撃』が出来るという手札の開示で、敵との駆け引きをペッパーは仕掛ける。

 

「『折れろ』!」

 

彼女()の言靈を受けた宝鍠趙弩剣・二斧流形態の其々の持ち手と手斧の境界線が『45度程折れる』。其れは『武器の疲労による折れ』では断じて無く、宝鍠趙弩剣の持つ能力故に折れ曲がり。

 

「いけっ、宝鍠趙弩剣・二丁流形態(デュアルガンモード)!」

 

まるで『銃火器の引き金(トリガー)を引く』が如く、雲で作られた人差し指をペッパーの意思により曲がった瞬間、スライドして飛び出た刃が折り畳まれて斧として役割を担った事で産まれた隙間より、()()()()()が無数に飛び出しながら歴戦タウロスの軸足に『集中砲火』を叩き付けたのだ。

 

威力は連射故に低さは否めないが、ペッパーは其れを『手札の一つ』として割り切って利用し、相手が『此の武器には幾つの形態が在るのか?』という疑問を持って貰えれば、其の時点で()()だと考える。

 

対する歴戦タウロスはと言えば、足や脛をチクチクと刺激された攻撃にキレてかダンジョンアックスを気配がする方にぶん投げて、限られた空間と天井のギリギリに跳躍から空中に軌跡を描いて掛ける女が、再び言葉を紡ぎ出す。

 

「『戻れ』、『開け』、『収納し』、『重なり合え』!」

 

言葉が武器に力を与え、折れた持ち手が真っすぐに、折り畳まれた刃が再び真っ直ぐに。其れがスライドされながら戻って、そして二つに分かれた武器は合わさり、己が相対した時と同じ状態に戻る。

 

「宝鍠趙弩剣、雑種剣形態(バスタードモード)…………斬りッ!裂くッ!!」

 

加速して歴戦タウロスを斬るペッパーに、左腕の肘当てで受けつつも残った左角を刺突として用いた攻撃を、歴戦タウロスは仕掛けて。

 

対するペッパーは変流式回転防衛(ブレイヴ・コークスクリュー)を用いての超速回転で宝鍠趙弩剣を滑らせながら、歴戦タウロスの角撃を弾い(パリィし)ては斬撃を届かせ、跳躍着転即行動(リボル・イン・ドライブ)で安全に着地からの体勢を立て直し。

 

斬り舞われた歴戦タウロスは此処で追撃に出る事は無く、ぶん投げてダンジョンの土壁に減り込み、突き刺さった己の獲物の回収を優先、素早く移動してダンジョンアックスを握りながら力任せに引っこ抜いて、ペッパーを前に構え。

 

戦いは始まり、されども未だ序盤の『挨拶』に過ぎず。互いに隠した牙を、何時如何なる瞬間に叩き付けるかを探り合い、そして再び激突する。

 

其の様相たるや古代ローマの剣闘奴隷同士の、生きるか死ぬかの瀬戸際で運命に立ち向かい、泥臭く獅噛み付いて抗う表情(モノ)に等しくも、此の瞬間に御互いが己をぶつけ合える『強敵(とも)に巡り会えたと、心の底より感謝しているかの様に『笑っていた』のだった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそんな怪物と勇者の戦いを、遠くで見つめる者達の気配が複数居たのであった……………。

 

 

 






加熱する戦い




宝鍠趙弩剣の能力は幾つか有る。

一つ。此の武器に鉱石系や鉱物系、宝石系や結晶系のアイテムを『喰わせる事で』、一定時間其のアイテムの()()を武器に付与(エンチャント)する能力。

二つ。装備者のMPを消費する事で、武器を変形させて()()()を『変更する』能力。手首を捻る事で回ったり、刃を飛び出し折り畳めたり、持ち主のイメージが武器其の物の『可能性』を引き出す。

そして三つ。其れは()の聖剣と──────


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