一幕の後に
レトロRPGや縦スクロールアクションゲームでは、主人公やプレイアブルキャラが敵対組織やダンジョンを攻略して入口や街に戻ると、敵陣営や重要ポジションのキャラとエンカウントするというストーリー進行イベントが発生するパターンが多く有る。
其れもゲーム内で言えば序盤から中盤への折り返しとも言うべきタイミング、プレイヤーのモチベーションを高める為の会話イベントだったり、圧倒的な力で蹂躙してくる負けイベントだったり、世界の根幹に関わる真実を知るイベントだったりと、古今東西様々なパターンが存在しているのだ。
では何故そんな話をしたのか?其の答えは──────
『フハハハハハハ!久しいな、ペッパーよ!いや、今はペッパー・
壮大な話し方、魔王ムーブ大好物、其れ以上に英雄をこそ好む黄金の龍王たる、
次いでにジークヴルムが此処にやって来たという事で、トゥエルレムに居たプレイヤー達も漏れ無くやって来ているというオマケ付きだ。
ユニークモンスターエンカウントのシステム表示を踏まえて落ち着きつつも、思考をブン回して心の中で気持ちを整理。うん、一言良いかな?…………………何で此処にいるのジークヴルムさん!?!?!
──────とまぁ言いたい事を言って冷静になった御蔭で、『ジークヴルムとの遭遇フラグ』が何なのかを理解出来る程度には落ち着けた。
先ずポポンガを呼び出してオルスロット達をファストトラベルで新大陸へ送った時に、彼からの言葉か警告が此の突発的なイベントへのフラグだった事。
そしてもう一つは『ジークヴルムのユニークシナリオEX』…………新大陸側に到達したプレイヤー全員が関わる【来たれ英傑、我が宿命は幾星霜を越えて】や、秋津茜が関わる【穢れし黒、黄金へ挑む】とも、レーザーカジキが関わる【深き青、黄金を沈める】とも違う、自分が関わっている【打ち立てし誓い、交せし約束を果たす時】に関係大有りな事。
此処から考えられるのは『会話イベント』・『会話+戦闘イベント(勝てる場合と負ける場合の二極)』・『戦闘イベント(負け確)』の三種類で、近くには他のプレイヤー達の姿も有る上、全員が取り囲んで来た。取り敢えずジークヴルムと会話するにしても、戦闘に移行するにしても、此処ではなく空の上でやって貰いたいのが本音である。
「ペッパーさんですよね!?ジークヴルムを呼び寄せられるアイテムか何か持ってるんですか!?」
「ペパ子ちゃん姿だ!フゥ~!!!」
「ペパ子ちゃん、サイン下さい!」
「ファストトラベル持ってるって本当なん?」
「リュカオーンの分け身のノワちゃんは何処ー?」
「アイトゥイルちゃんと是非握手をッッッッ!!」
此の時点で壮絶に面倒な雰囲気が漂う中、此方を見ていたジークヴルムが一声放って片手で地面を揺らす。
『すまんな、お前達。今は我が先客なのだ』
彼の其の一声でプレイヤー達の動きが止まり、地面を揺らした手がゆっくりと伸びて、プレイヤー達の包囲を左右に裂き開いてペッパーの前で止まる。
『少し空の上で話そうか、ペッパー・天津気よ』
「アッハイ」
断ったら断ったで絶対に面倒な雰囲気になるので、大人しく従っておく事にしたペッパーは、
背に生える巨大な四翼を羽撃かせる度に嵐に等しい風が起き、プレイヤー達が吹き飛ばされて地面に転がる様を見下ろしながら、女と変わった勇者は黄金の龍王の手に乗って夜天へと飛んで行くのであった…………。
夜風と星々と満月に程近い月明かりが満たす空を、ジークヴルムとジークヴルムの手に乗ったペッパーが飛ぶ。
『こうして飛ぶと、嘗てお前と我が友の娘っ子を手に乗せた事を思い出すなァ』
「………あの時と違うのは、クターニッドさんの聖杯で女の姿になっている事と、アイトゥイルが居ない事なんですけどね………」
かなりの速度でジークヴルムは夜空を飛んで居る、方角からして新大陸…………ラビッツが目的地では無い様だ。
てっきりリヴァイアサンが再稼働した事でジークヴルムが様子を見に来るのではと思ったが、掲示板を含めても現れなかったので、ユニークシナリオ内で色竜が倒されるか或いは集結しない限りは動かない疑惑が有ったと言うのに、何故動いたのかは自分にも解らない。
『ペッパー・天津気よ。お前は我の事を『何処まで知り得た』?』
「!」
空気が変わる、シャンフロのユニークシナリオ特有の『突発的なQTEの発生』、間違い無く自分のユニークシナリオに関係し、そしてジークヴルムのユニークシナリオにも関わり得る重要事項だ。
「…………ベヒーモスの第八階層に在る『アンドリュー・ジッタードールさんのラボ』で、彼の性格や知識を引き継いだアンサーコード・トーカーから『ジーク・リンドヴルムさん』の事を。そしてリヴァイアサンの第五殻層『
『──────そうか………、其処まで知ったか………』
沈黙と共に風が吹き流れ、ジークヴルムが空を、水平線を見定め、言葉を発する。
『我は………遠き昔に取り残された『
「敗残兵………ですか」
『あぁ。何れ程戦えども『神代の人類達が敗れた』という事実は変わらない。始源の輩を焼く為に生まれど、其の炎は奴等を灼き滅ぼすには『足らなかった』のだ』
此れはジークヴルムの『過去話』、抗獣計画──────即ち始源眷属及び始源眷族の為に対抗する『兵器を造る計画』、そして其の
そしてリヴァイアサンの擬人化存在の
だからこそペッパーは、
「ジークヴルムさん。貴方は『ファルナ・シェリー』さんを知っていますか?」
『…………あぁ、知っている。我が父と父の友人に付いて来て、若き身ながら我を模倣した神代の鎧を作り出した者よ』
ジーク・リンドヴルム含め、ファルナ・シェリーの事も知っている。ならば『あの言葉を』………遠い日に遺され、自分が見付け、そして知った『彼女の想い』を。ジークヴルムへと伝えるのだ。
「ジークヴルムさん。俺は
伝えられた遺言