VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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ファルナの遺言を伝え




約束という名の前哨戦は肝が冷える

ペッパーが伝えたファルナ・シェリーの………ジーク・リンドヴルムがジークヴルムに伝えたかった言葉。

 

其れを聞いたジークヴルムは只々沈黙と瞑目し、しかしながら巨体を浮かせ飛ぶ四翼の羽搏きを止める事は無く加速を続け、そして口を開く。

 

『ペッパー・天津気(アマツキ)よ、感謝する。其の言葉、確かに我が受け取った』

「ジークヴルムさん………」

 

表情は見えず、されど言葉は力強く、ジークヴルムは言い切り。水平線を越えて新大陸の上空を越えて、ペンヘドラント大樹海地帯を、ディルトセオ大砂海を、シグモニア前線渓谷(フロントライン)を越えて、前へ前へと進んで行く。

 

「あ、あの~………ジークヴルムさん?何処まで行く感じですか???」

『オケアグラノス高原という、新大陸に在る一つのエリアでな。我のちょっとした休息地よ』

 

新大陸のスクショを開きつつ、高速で過ぎ去る景色を真上から見ていれば、どうやら新大陸の北西部に位置する高原地帯であるらしい。無尽のゴルドゥニーネが言った、自分に関係する一式装備が在る『最果ての社地(シャシ)』とやらも、此処からならば探しに行けるだろうか?

 

そんな事を思って居れば、羽搏き突風が巻き起こる中でジークヴルムが着地し、其の手が地面に接触してペッパーが降りた所、黄金の龍王は瞳に闘志を宿した事で周辺の空気にユニークモンスター特有の、圧倒的な強者と出会ったという『威圧感』が満ち溢れる。

 

『……………ペッパー・天津気よ、我を模倣した神代の大いなる遺産を受け継ぎし勇者よ。墓守の御仁より名を魂を受け継ぎ、深淵の盟主と我が友より鎧を託された者よ!今の貴様の力、我に見せてみよ!』

 

ビリビリと響く威圧と闘気が空間を揺らし、眠気を一瞬で吹き飛ばす。会話+戦闘イベント、其れもおそらくは『負け確定イベント』の()が漂う中、ペッパーは今の自分に出来る最高を追求するべく、ジークヴルムに言う。

 

「あ、ジークヴルムさん!先に性別を元に戻させて貰っても良いですか?貴方の期待に応えるには『相応の出で立ち』が必要不可欠と思うので!」

『構わない、待とう!』

「ありがとうございます!」

 

一礼の後にセーブテントを張ってセーブ、内部にて海蝕晶剣(ヴォルブレアナイフ)を使った二連自刃でサクッとデスポーンからの、アクセサリーの調整を含めて使用する武器を選択(セレクト)、インベントリアの操作時にスムーズに取り出せる様に位置を入れ替え、デスポーン後のステータス低下が解除された所で全身の装備を変更する。

 

女から男の身体(アバター)へ戻った事で使える様になり、随分と久し振りに使う事になると想いを抱きながらに、其の身へと纏うはファルナ・シェリーがジークヴルムを模倣し、ジークヴルムを補助する目的の為に作り出した一式装備『光輝へと昇る金龍王装(レディアント・ドラゴニウス)』。

 

全種を其の身に纏い、起動の合言葉たる『目覚めよ(Wake up)!』の一声を掛ければ、頂星煌炉心(ビックバンピース)が稼働してエネルギーがパワードスーツ全体に満ち、必要ステータスが変更されたからか、或いは本来の出力に戻ったからか、パワードスーツには『変化』が起きる。

 

頭部は此れ迄は三本だった角が五本へ、レディアント・ソルレイアも脚の爪が二本から三本に『増加』し、全体的に白と金を主体にしたカラーリングも金の割合が八割九部まで染まり、金色に輝くエナジーウイングも六枚から八枚に増え、翼の一つ一つが『一回り大きく』なっていた。

 

「凄い…………!」

 

ユニーククエストが進行し、ワールドストーリーが第三段階に移行したからか、此れ迄パワードスーツ其の物に掛けられていた『リミッター』が、クラン対抗戦でサイガ-100との死闘を経た事で解除されたのだろう。

 

準備完了とばかりにセーブテントから出れば、ジークヴルムは獰猛ながらも其れを待っていたとばかりに四翼を広げ、発生した突風だけでセーブテントが吹き飛ばされて破壊された。

 

此れでリスポーンすれば確実にラビッツ戻りは確定、しかも兎御殿でペンシルゴンやサンラクに此の姿を見られれば最早『オハナシ』の流れは不可避の事態に陥るが、そんな事はペッパー本人は『知ったこっちゃない』。

 

「今の自分が()()する為には!全力で挑まなきゃ意味が無いんだよなぁッ!?」

 

インベントリアから先ず取り出すは星帝剣(せいていけん)グランシャリオ、右手で鞘に触れてリュカオーンの愛呪の権能を一時的に取り払い、クルリと回して柄を握りつつ鞘より剣を引き抜き現れる、持ち手より最も近い場所と其の上の二箇所に収められた、二つの宝玉を掲げし『聖剣』で。

 

続けて顕現して左手に握るは『一本の片手剣』、剣身はより蒼く深き色を宿して月光を受けてはギラリと光り、水面に反射する光の様に無数の反射と照り返しを受ける様に輝く『其れ』は、深海の王を打倒したという英雄譚の如き『偉業』によって、新たなる領域へと至った『両刃の剣刃』だ。

 

「アトランティクス・レプノルカの素材を用い、ビィラックさんの手により真化を経て、更なる高みへと至った傑剣への憧刃(デュクスラム)…………!其の名を此処に改め『傑剣との憧焉終刃(エスカ=ヴァラッハ)』!ジークヴルムさん相手になるがお前の初陣戦だ、大暴れと洒落込もう!!」

 

二刀流として構え、エネルギーウイングを目一杯に広げ、ペッパーはジークヴルムと相対する。

 

『…………ククク、準備は万全の様だな?ペッパー・天津気よ』

「えぇ。何せ男性装備ですからね光輝へと昇る金龍王装は。女性の状態から男性に戻らないと、装備自体出来ませんから」

『良い、許そう。言わずとも『我の望む形にした』貴様に、我もまた全力を以て応えようッッッ!!』

 

やはり光輝へと昇る金龍王装を装備した上で、天覇のジークヴルムとの戦闘イベントだったと確信しつつ、傑剣との憧焉終刃をクルリと回して逆手持ちに変えて、二足歩行へ体勢を変えたジークヴルムを見上げる。

 

パワードスーツ越しに肌身を裂く様な威圧と闘気が、正しく雷の如く突き刺さりながらも、ペッパーは一歩たりとて引き下がる事は無く。

 

「──────行きます!」

『来いッ、蒼空を舞う勇者よ!!!』

 

金龍王装が搭載する機能の一つ『無限飛翔(むげんひしょう)』と共に駆け上がり、途中で星天秘技(スターアーツ)ミルキーウェイで空中に道を見定め。

 

更に其処からシューティングスターによる、一歩目限定の超加速による『変速』を用いて乗せた、傑剣との憧焉終刃の斬撃をジークヴルムの首筋にクリティカルで叩き付けた事により、龍王の模倣鎧を纏いし人と黄金の覇龍の戦いが幕を開けたのであった。

 

 

 






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