VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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幕開けて




輝ける空に黄金浮かぶ

飛翔からの変則超加速による先制傑剣との憧焉終刃(エスカ=ヴァラッハ)の逆手斬撃、クリティカルで入った事で傑剣への憧刃(デュクスラム)由来の耐久値減少無効効果が発動したは良いが、やはり相手はユニークモンスターの一角たる天覇のジークヴルム。

 

無傷………では無かろうが、カスダメになったかどうかも怪しい。

 

「まぁ流石に此の程度じゃ駄目だろうとは思ったけど…………さッ!」

『ほぅ!鎧の機能に頼ること無く、己の武をも掛け合わせるか!』

「識りて、思考し、使い熟す!其れこそが俺のモットーですから!!」

『クハハハハ!良い!良いぞ!もっと貴様の力を見せてみよ!』

 

ミルキーウェイで空を駆けつつ、二度三度と駆け抜け飛び抜け様にジークヴルムの身体に斬撃を加えながら、四翼を羽撃かせて飛び上がった黄金の龍王を見つつ、ペッパーは思考を続ける。

 

傑剣との憧焉終刃が『真髄』を見せるまでは、クリティカルの回数を重ねる必要が有るので少し時間が掛かり、逆にユニークモンスター相手に特効能力が働く星帝剣(せいていけん)グランシャリオはジークヴルム相手にも効果は在るらしく、数回の斬撃が堅い鱗を割って肉体にスッと吸い付き、スルリと抜けてスパッと裂いて行く感触が右手に伝わって来る。

 

(やり方はルルイアスで戦った、アトランティクス・レプノルカの時と同じ!グランシャリオで斬って、其の箇所に傑剣との憧焉終刃を重ね、クリティカルを叩き込む!)

 

「っし、やるかぁ!」

『来るが良い!』

 

ジークヴルムは此方と違い、質量と馬力で圧倒的に勝る。兎にも角にも『デカい』上に、飛翔ルートを間違えれば掌のビンタや尻尾の薙ぎ払い、翼の羽搏きによる突風だったり或いはブレスを食らえば、先ず間違い無く『殺られる』。

 

だが逆にデカいというのは同時に『小回り』が利きにくいという解り易い、ディスアドバンテージを抱えている事でも有り。ジークヴルムを模した鎧たる光輝へと昇る金龍王装(レディアント・ドラゴニウス)はジークヴルムが持つディスアドバンテージたる小回りに関しては、相手以上に融通が利く!

 

「んぐぃぃい!?!」

『おぉっ!?何と言う挙動ッ!凄まじい!』

 

空中を高速で駆けて、スキルによる補助を絡めた跳躍と補強、そして一式装備の飛翔機能の出力を調節する事により、初めて可能になる『空中変則殺法』と名付けるべき挙動と共に、ジークヴルムの金色の巨体を矢鱈滅多等の出鱈目に斬り切り舞いしながら、ペッパーが夜空を飛んで行く。

 

空中での姿勢制御と飛翔という操作は、見ている側以上に行っている側は、常時『命懸けの行動と選択を常に要求され続けている』。一瞬でも気を抜けば制御不能からの、胴体着陸か不時着の運命が決定付けられている上、思考を重ねながらに戦うというのは脳の継戦能力(スタミナ)を物凄い勢いで削り取るのだ。

 

(だからこそッ!敢えて『目標を絞り込む』事で、余計な事を考えずに戦える様にするッ!!最終到達目標は『ジークヴルムさんの体力を一定以上削り取る事』、もしくは『五本在る角の内の一本を破壊する事』!今の俺自身の一式装備の空中制御状況じゃ、両方の目標を万全には達成出来無い!けどやれ、やるんだ!やりきった先にこそ、俺自身が納得出来る未来が有るんだから!!!)

 

自分で目標を設定し、極ムズの難易度の中でタスク達成を目指すべく、高速で流転する景色と舌を噛まぬ為にと、心の内にて口上を述べる。

 

(ウェザエモン・天津気(アマツキ)さん、貴方が選ばなかった絶技………使わせていただきます!)

 

レディアント・アーセナルの背中に有るエネルギーウイングの出力を、現時点の自分が制御可能な最大出力にして。ペッパーは左腰にグランシャリオを置けば、柄元に収まった宝玉が輝きを増していく。

 

円周軌道を描いて空戦再帰(ウェイキング・アップ)を絡めた回転と共に、神代最強の人類が始源へと立ち向かうべく捨てた『風の絶技』が、不滅の最強種の手により打ち据えて真化させた聖剣より放たれ、戦場に大竜巻となって顕現する。

 

「往け!晴天流【風】、第二奥義──────塵戦風(じんせんぷう)!!」

 

吸い寄せ、巻き上げ、斬り刻む。大多数や群体タイプの敵を一網打尽にする為に、範囲攻撃に特化した嘗てのウェザエモンが使用した『回転抜刀居合斬撃』が、ジークヴルムに向けて放たれる。

 

『おぉっ………!嘗て墓守の御仁が使っていた『天上に届く大竜巻』か!在りし日の英雄譚に聞いたが、我とて初めて見たぞ!!』

「えぇ!()()が打った、五柱の力が宿った聖剣の!ほんの一欠片の能力ですけどね!」

『成程、素晴らしい!』

 

ジークヴルムが歓喜に湧くや、迫り来る大竜巻に右手で拳を作ったかと思えば、其の中へ迷う事も無く突っ込む。無数の斬撃がジークヴルムの右腕にヒットし、ポリゴンが撒き散らされていくが、当の本人ならぬ本龍は気にも止める事は無く。

 

「何を!?」

『威力も申し分無し!だがしかぁし、我の(かいな)を小間切れにするには………まだまだ足らぬゥ!!』

 

塵戦風による連続斬撃ダメージ、其れに加えてスキルやら含めたダメージ軽減を許さない、グランシャリオから繰り出された大竜巻。其れをジークヴルムは有ろう事か真正面から裏拳を用いて振り抜き、ウェザエモンの捨てた奥義を『己の腕力』のみという力技で掻き消したのだ。

 

「嘘でしょ!?」

『フハハハハハハハハハ!!此の程度で怖気付いたか、蒼空を舞う勇者よ!』

「ッ、まだだぁ!!」

 

奥義()全く効かない訳では無い。現にジークヴルムの右腕には、斬撃大竜巻で負ったダメージがびっしりと刻まれ残っている。ブーストを掛けて夜空を走り、空中ダッシュスキルと空中加速を乗算した疾走で肉薄。

 

高速で動く視点と世界を視覚強化スキルで補強し、タチキリワカチとスラッシュ・イグニッションを乗せた傑剣との憧焉終刃で、残った傷口をなぞり上げて更に深く刃を刻み込みながら、万が一にも『ブレス攻撃』が飛んで来ても充分回避可能な程度に距離を取る。

 

『よく動く!疾走と飛翔を絡める事で、此方を翻弄するか!』

()()()は………よし、後少し。グランシャリオ様々だ!」

 

二剣を構えて交錯させて飛翔しつつ、窮速走破(トップガン)偉風導動(リーガルック)の不世出の奥義を起動で、一定時間スタミナ減少無効化と高出力の竜巻が剣に纏わる。

 

其処に八天無双(はちてんむそう)剣王武心(マスラオ・センス)による強化(バフ)、剣武器の攻撃モーションとモーション感度を高める神剣大義(フツヌシノギ)に、剣武器スキルの効力と補正を強化する武司の神業(ゴーヴァント・マルス)を重ね、最後にファウラム・チャージングでスキルの再使用時間(リキャストタイム)短縮を乗せた。

 

コレは本来『もう少し後に使いたかった』が、そうこう悩んで抱え落ちしては本末転倒………相手が何を隠そうとも、此方も一歩たりとて退く気は無い。

 

「食らえッ!!!」

 

刃閃鑼(じんせんら)海咆(かいほう)】と煌来連斬輝(フェイアル・スラッシュ)のダブルコンボ、二刀流の今だからこそ出せる『とっておき』の手札。

 

下手なバイブレーションよりも凄まじい振動を乗せ、スタミナ減少無効化によって()()()()()()()で繰り出す『超高速連続飛翔多段ヒット斬撃暴風雨』が、エナジーウイング飛翔と空中滑走に重力方向を変えた状態でジークヴルムの周辺を。

 

 

 

──────否。

 

 

『ジークヴルムを中心として全方位と全角度を包囲した、超高速連続飛翔多段ヒット斬撃暴風雨』と成りて、黄金の龍王へと降り注ぐ。

 

『むっ…………ぐぬぉ!?』

「グランシャリオの斬撃は、貴方にも『効いた』!さぁどうやって凌ぐ、ジークヴルムさん!」

『ク、フフハハハハハハ、ハハハハハハハハハハハハ!良い、良いぞ!蒼空を舞う勇者、ペッパー・天津気(アマツキ)!』

 

機動力は此方が上、動けば再び包囲しつつ、斬撃の雨霰に晒す。其の心積もりで二振りの剣を振り回しては、飛ぶ斬撃を産み出し続けて放ち続けるペッパーに、ジークヴルムは高らかに笑う。

 

まるで其れは、ペッパーを『素晴らしきかな!』と讃えるかの如く有り………同時に()の者の頭上に輝く王冠が如き威容を放つ、五本の黄金なる『角』の右側に在る三本が眩しい光を放ち始めたのを見たペッパーは、己の直感が『アレはヤバい』と恐ろしい悪寒と共に其の身が震え。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『我が力の一端、名を『狂騒領域(Jazzy-Zone)』!内なるマナを狂わせる()()()()()()()の中でも、己の光輝を示してみせよ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放たれた金色の光によって、ペッパーが先程まで発動していた『あらゆる強化』が、繰り出していた『超高速連続飛翔多段ヒット斬撃暴風雨』が、剣に付与する『不世出の奥義たる竜巻』は。

 

文字通り『霧散して消え去った』のだった。

 

 






ジークヴルムの力





※800話記念、設定開示コーナー



傑剣との憧焉終刃(エスカ=ヴァラッハ)


傑剣への憧刃(デュクスラム)でアトランティクス・レプノルカを倒すという『偉業』を成した事で、アトランティクス・レプノルカの素材を用いてビィラックの手により真化を果たした、武器種:片手剣。

クリティカルを出せば耐久減少無効効果は据え置きとなり、耐久値は傑剣への憧刃の時の半分となったが、クリティカルを出す度に専用のゲージが蓄積されていき、MAXまで溜まる事で一定時間『付与(エンチャント):魔炎焼(まえんしょう)』及び『追撃現象:雷』が付与される。

此の付与は斬撃を当てると対象の持つ『マナ』、即ち『MP』に反応する事で物凄い勢いで『炎焼現象』を起こし、斬撃を受けし者の生命(体力)をゴリゴリと削り取っていく。

また追撃現象:雷は、斬撃ヒットから立て続けに雷属性の追加効果が発生し、雷属性のダメージ+痺れやスタンが襲い掛かる他、蓄積型の効果である為に一定以上受ければ魔法やスキルの発動に影響を及ぼす。

其の刃は魔を焼き尽くし、身体の活動を縛る、深海の王の放つ蒼き裁き。魔力という触媒を得て、生きる命の活動を焼き焦がし縛り裂く、熱く冷たき炎と雷。




傑剣への憧刃から傑剣との憧焉終刃へ真化を行う場合、傑剣への憧刃を用いて『偉業』を…………即ち英雄譚に等しき『強敵を打ち倒した』という記憶が必要不可欠で、ペッパーの場合はアトランティクス・レプノルカ及びトレイノル・センチピードを傑剣への憧刃と傑鉄への鐵鎚(タウスレッジ)を用いて倒しているので、二つの真化派生先がビィラックにより提示されていた。

トレイノル・センチピードを用いた真化の場合、魔法に対する抵抗力が上がっている為、魔法を斬り裂く事が可能である他、クリティカルを出す度に魔力を蓄積して持ち主のMPへ還元出来る効果が有る。




因みにペッパーが持っている傑鉄への鐵鎚も、アトランティクス・レプノルカの素材を用いて真化が行われ、傑剣との憧焉終刃の段階に在る片手鎚『傑鎚との憧焉終鎚(エリサ・ドゥタール)』に成っており、此方も傑剣への憧刃と同じく『英雄譚の偉業として讃えられる様な強敵を打破し、其の存在の素材を用いる事』で始めて真化が出来る。

名前の由来は『エリ』ム『サ』ルエ+クル『ドゥ』ブバ+シ『タ』+アイム『ール』=『エリサ・ドゥタール』


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