VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

801 / 1075


其の領域の名は




天覇は謳う、勇者は宣う

ジークヴルムが放った、狂騒領域(Jazzy-Zone)なる黄金の領域の展開。其の眩く輝く光が、ペッパーが使用し発動していた()()()の数々が一瞬の内に『掻き消された』。

 

「ッ!?技能殺し………いや『スキル封殺の空間』か!」

『如何にも!我の持つ狂騒領域は一号と二号人類含めて、ありとあらゆる生命が持つ『スキルの発動』を領域展開中に限り()()()()事が出来る!さぁ、どう凌ぐ!』

「うおわぁ!?」

 

左手の掴み攻撃を回避した所へ、矢継ぎ早にジークヴルムの噛み付き攻撃が襲い掛かり。対してペッパーは無理矢理身体を捻りながら、レディアント・ソルレイアの片脚のブーストを蒸しての空中Uターンで、何とか其の場より逃れる事に成功。

 

「危、なぁっ………!?」

 

だが息付く間も無く、ジークヴルムの口内に凄まじい灼熱とエネルギーが収束していく。()()()()()()と自分の記憶が警鐘を鳴らす…………見間違えじゃなければ嘗て秋津茜(アキツアカネ)が模倣したと言い、要所要所で多大な戦果を挙げた彼女の切札『ジークヴルムのレーザーブレス』!

 

『勇者よ、我を模倣せし鎧に選ばれし者よ!簡単に死んでくれるな?『灼滅威吹(ブレス・オブ・ベイン)』!』

「うぉおおおおおお!??!」

 

秋津茜とレーザーカジキの連携で繰り出す合体魔法で漸く其のレベルに至れる、対始源存在をマナ粒子ごと『滅却』する炎が襲い掛かり、ペッパーは何とか灼熱の威吹より逃れて空高く舞い上がる。

 

相対して戦う中で想定したとは言え、範囲・威力・速度のどれを取っても天を覇する最強種の『最高峰の一撃』だ。当たれば文字通り、骨すら遺らず灼き尽くされるだろう。

 

「だが先ずは、此のスキル殺し空間を何とかしなきゃ話にならん………!」

 

『ペッパー・天津気(アマツキ)』は高機動に必要なステータスを保有する、ゴリッゴリの『純スキルアタッカー』だ。

 

大地を天空を高速で駆け走り、頂天まで僅か一度の跳躍のみで届かせる、そして複数のスキルを絡める事で齎される出力と共に、戦局を動かすそういうキャラビルドで作られている。

 

其れ故にスキル同士の戦いでは滅法強く、しかしスキル其の物を封じる空間や現象を受ければ、脆く弱いキャラクター…………其れがペッパー・天津気なのだ。

 

「頼むぞ、光輝へと昇る金龍王装(レディアント・ドラゴニウス)…………!」

 

だからこそ、ペッパーは策を打つ。ジークヴルムを模倣し、彼を補助・支援する為に産み出され、人類が飛翔し攻撃を可能にするべく存在していた一式装備(パワードスーツ)

 

ほぼ無制限かつ自由に空を飛んで行ける『無限飛翔(むげんひしょう)』と、天覇と比べれば心許無くとも強大な威力を誇るレーザー砲撃こと『煌金灼光(ハード・ヴレイズ)』。

 

そして一式を装備しようとも開示されずに在った『最後の一つ』が、ユニーククエストEXの進行でレディアント・ソルレイアの装備可能ステータスが変更された様に、最後の一つが鎧を纏う彼の意思によって解禁された。

 

「輝きて、満ち満ちて、光よ放て!狂騒を鎮め、我に調律の加護を!──────『再律空間(REVIVAL-SPACE)』!!!」

 

口上と共に胸部装備のレディアント・アーセナルに接続されている、神代時代に途轍も無い莫大なエネルギー生成を可能にし、千紫万紅(せんしばんこう)樹海窟(じゅかいくつ)に在る双皇樹(そうおうじゅ)を育てた頂星煌炉心(ビックバンピース)が稼働、頭部装備のレディアント・ヘルメイトの五本の角が光るや、ペッパーの周囲に『金色の波長』が広がって。

 

ペッパーを中心に『半径十五メートルの領域内』に光が満ち、既にジークヴルムが展開した狂騒領域の黄金の中でぶつかり合って、スキル殺しの領域が()()されて再びスキル使用が可能になったのだ。

 

「よしっ、よしっ!!上手くいった!!」

『嘗ての日、我と共に肩を並べ、始源達を祓った黄金の波長………!クハハハ、ハハハハハハ!!!成程、我のスキル殺しの領域へと抗うか!』

「此れもまた戦い!有る物を使って何とかするのも、開拓者のやるべき事で、為すべき事です!!」

『そうだ!抗え、最後の瞬間まで!!』

「はいっ!」

 

ペッパーがジークヴルムに宣い、ジークヴルムもまたペッパーを激励するかの様に叫ぶ。狂騒領域を再律空間で相殺しながら、頭部の口に当たる箇所が可動し開いてエネルギーが収束し、放たれるは天覇の放つ威吹と比べれば『心許無く』。

 

だがしかし…………其の威力火力重視でカスタマイズした遺機装(レガシーウェポン)に、高火力の攻撃を繰り出せるモンスターの素材で製作された甦機装(リ·レガシーウェポン)の、必殺機能たる超過機構(イクシードチャージ)を軽々と上回る『レーザー砲撃』。

 

「夜天を貫き、夜影を疾走(はし)れ!煌金灼光(ハード・ヴレイズ)ッッッッ!!!ウォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

 

晴天流(せいてんりゅう)【空】系統の奥義が一つ「貫光千尖(かんれいぜんせん)」へと通じる、吐息の射程距離に比重を置いた「山彦(やまびこ)」の補助を乗せ、空中を飛び抜けながら一点集中による風穴を穿つレーザーブレスが月下の夜空を貫き、ジークヴルムへと走る。

 

『ぬぅん!!』

「だぁあああああ、あんまり効いてないッ!?!?!」

 

其れに対するジークヴルムが取った行動は非常にシンプルで、斬撃暴風雨を受けた右手を盾にした飛翔突進による『正面突破』でレーザーブレスを引き裂き肉薄するという、圧倒的な質量差を持つが故のアドバンテージを存分に生かした回答の叩き付けだ。

 

其のまま右腕を振るい貫手の体勢で迫ったジークヴルムに対し、ペッパーはグラヴィトン・レイにカルマティール・フロート、神威光臨進(かむいこうりんしん)真界観測眼(クォンタムゲイズ)の四種のスキルを点火。

 

己の身体を針先に見立て空中を縦軸としたジグザグ挙動で空駆け、突き出した腕を星帝剣(せいていけん)グランシャリオと傑剣との憧焉終刃(エスカ=ヴァラッハ)の二刀流で斬り、其れによってクリティカルを出した傑剣との憧焉終刃に搭載されたゲージが『MAX』となる。

 

「温まったか、傑剣との憧焉終刃!ギアを上げろ、こっからは更にフルスロットルで畳み掛けるぞ!」

 

エナジーウイングを大きく広げ肉薄し、ウツロウミカガミでヘイトを置き去りからのレーアドライヴ・アクセラレートで瞬間移動、再使用時間(リキャストタイム)を超過して再使用可能になったミルキーウェイで道を駆け、シューティングスターに英雄覇速(ヒーローズ・ブレェス)で走り、ジークヴルムの右肩にグランシャリオからの傑剣との憧焉終刃の連刃を斬り付ける。

 

傑剣との憧焉終刃という武器は、装備者が偉業とも取れる強敵を傑剣への憧刃(デュクスラム)で討伐する事で、初めて真化を可能にする武器であり…………あの時ビィラックは『トレイノル・センチピードとアトランティクス・レプノルカの二つを倒した此の剣は、二つの真化への道が開かれちょる』と言っていた。

 

そしてアトランティクス・レプノルカの素材を使い、彼女の手により更なる高みへと至った此の刃には──────!

 

『ぐぬおおおっ!?』

「クリティカルを繰り出しゲージをMAXまで溜める事で、一定時間『付与(エンチャント):魔炎焼(まえんしょう)』及び『追撃現象:雷』が剣身に付与される!」

 

斬撃によるダメージ+雷属性の追加ダメージ&効果、更には敵の魔力(MP)を参照したスリップダメージの多段ヒットのオマケ付きだ。何よりジークヴルムという存在の『ルーツ』をアンドリューに聞き、リヴァイアサンを探り辿った先の最奥の殻層『叡智(エイチ)』で詳細を見た事も大きかった。

 

即ち此の剣は『魔力で身体を構築した存在』に…………精霊や霊体は愚か、魔力で闇を固めた『リュカオーン』や、マナ粒子其の物と言っても過言では無い『ジークヴルム』に置いては、()()()()()と断じて良い性能を誇る。

 

尤も『此の剣の出力は親父が作った鯱弩燈剣(シャドウコウケン) RE:Vil∀=TAM(リ・ヴィア=タン)には圧倒的に劣る』とビィラックが言ったので、じゃあヴァイスアッシュが作った弩弓剣(アーチブレイド)は何程の出力を誇るのかと俄然気になったが。

 

「此の剣はギアが入れば魔力を燃やす!そして其の保有量が多い程により強く、より激しく燃え上がる!全身が灰になるまで燃やし尽くしてやる…………ジークヴルムさん!!」

 

龍王を模した鎧を纏う勇者は飛び、再び憧れを抱き真化を重ね辿り着いた至高の一振が、天覇の身を斬りて蒼い炎を着火させ、雷による痺れを与え齎す。

 

斬撃に晒され、炎に焼かれ、しかして尚も不敵に笑うジークヴルムは、其の光景を『誇らしげ』に見据えていたのだった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてペッパーとジークヴルムの戦いを、静かに見上げていた者()が居た事にペッパーは気付かず、ジークヴルムは気付いて居たのだった…………。

 

 






負けぬ、退かぬ





再律空間(REVIVAL-SPACE)

光輝へと昇る金龍王装(レディアント・ドラゴニウス)が持つ三つの機能の中で、ユニークシナリオEX【打ち立てし誓い、交せし約束を果たす時】が開始されるまで封印状態に在った機能。

頂星煌炉心の産み出すエネルギーを、レディアント・ヘルメイトの頭部に在る角型ユニットで増強。特殊な波長を音叉の様に増大させて、空間内や生命体のマナ粒子へと干渉する事により、其の空間内に発生している影響を無効化・緩和・増強等を、己の望む事柄へと『変質させる』。

此の一式装備が元々『抗獣(ドラゴン)計画のジークヴルムを補助と能力の補強の為に製作』され、万が一にも『ジークヴルムが始源に汚染されて敵の手に堕ちた場合の抑止力』であり、数十体の装備者とジークヴルムが揃った場合の黄金領域は、始源存在に対して凄まじい圧力と戦果を誇った。



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。