裏方の話
ユートピア・エンターテイメント・ソフトウェア…………通称UES。世界が認めた神ゲー『シャングリラ・フロンティア』の開発会社であり、現実世界の現象が滞り無く起きたり、NPCに有りがちだった会話や移動といった自由度が大きく拡張されるといった、此迄の常識を大きく覆す事となった。
そして此の夏に行われるグローバル・ゲーム・コンペティションでは此のシャングリラ・フロンティアに用いられているシステム、名称を『シャンフロシステム』と呼ばれる其れを搭載したゲームが幾つか発表される。
そんな会社の地下十階、原典閲覧室と呼ばれる場所にてシャンフロを創った者・
「ねぇ
「………………何だよ」
普段なら『アンタ』か、或いは『アブラムシ』としか呼ばず、
創世が座る机に在るディスプレイには、現在二つの画面が表示されており。其の片方には悲鳴やらを上げながら、跳ねて飛んで空を駆ける、VRゴーグルを付けたペッパーの姿が在った。
「リヴァイアサンの特別殻層『
「…………あぁ、入れた。シャンフロに実装する前の段階で
実装前の段階で『此れではプレイヤーが勝てない』と判断され、創世から嫌味やらを言われまくって喧嘩に発展したりしながらも、律は創世が何とかギリギリ許容出来る絶妙な強さで実装された、ユニークモンスター・墓守のウェザエモン。
後に
「………………私自身、お前の世界を弄って『何も思わなかった』訳じゃない。原典に在った墓守のウェザエモンの『強さ』を、何よりウェザエモンの鎧を作ったセツナの『想い』を。
誰かの作品に手を加える以上、其の者は作り手に対する『敬意』を持たなくてはならない。例え其れが水と油よりも尚も悪い、園児並みの喧嘩をし合う女の作った物だとしても…………である。
「……………そう。其れなら良いわ」
「良いのか?」
「えぇ、答えを聞けたから満足よ」
創世からすれば、律が放った言葉は納得と共に飲み込めた。ウェザエモンの強さとセツナの願い、其れを深く考え行動し、そして答えを導き示す事。
想いや願いを汲み取り、ウェザエモンに示した報酬こそが、自分が望んだ『全盛期ウェザエモンと戦う事が出来る』という、隠しコンテンツの解放に繋がったのだと。
「其れから『もう一つ』、ペッパーがジークヴルムと戦って、ジークヴルムがペッパー単身相手に『
「─────────は?」
ユニークモンスター・天覇のジークヴルムが持つ特殊行動、プレイヤー数百人単位を
光輝へと昇る金龍王装を所持した状態で、天覇のジークヴルム相手に戦い。そして高い評価を出せば、ジークヴルムのユニークシナリオでも優位に働くのだが、其れにしても単身でジークヴルムの特殊行動を引き出させた此のプレイヤーに、調整者として警戒色を示す。
「ジークヴルムが、一人のプレイヤー相手に『其れ』使ったのか?」
「えぇ。私個人としても俄に信じ難かったけど…………、サーバーから映像を引き出したら『此の通り』。ペッパーが単身で光輝へと昇る金龍王装を装備して戦ってたわ。因みに証拠映像がコレ」
「……………………」
創世がディスプレイの映像を展開し、覗き込んだ律は其の光景を目の当たりから、頭痛と立ち眩みを覚えた。そして下した決断は─────────
「………………境に連絡入れて、ジークヴルムと他の色竜達の『各種ステータスの調整』。後は……………決戦フェーズに『奴』をブチ込む、とかか?」
「ジークヴルムの体力が半分を切ったら、サーバーに封印されてる『特殊能力を一つ発動させる』。其処に関しては確り
「よく言うぜ。仮に決戦フェーズが八月末なら…………まぁ『ギリギリ』ってとこだな。ワールドストーリーの第四と第五段階の調整は『ある程度』出来たが…………」
二柱の神が動き出し、仲介神に電話を掛ける。
シャンフロの世界は、プレイヤー達の知らぬ中で変わっていく……………。
創作者として、調整者として