VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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ティーアス 対 ペッパー

※少し短いです




ナンバーワンスピーダー VS ナンバーワンフライハイ

初手から速攻と共に刺突を放ち、軽々と回避した挙動でフォーミュラ・ドリフトからティーアスが回り込み攻撃に繋げるアクションに対し、同じくフォーミュラ・ドリフトで回避しつつ深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)の機能をフリットフロートによる偽装で空中を蹴り、ペッパーが彼女の上を取る。

 

「…………っ!」

「…………!」

 

レーアドライヴ・アクセラレートによる瞬間移動、彼女の視界に存在する僅かな死角を意識し移動するが、彼女の姿が瞬間移動の如く一瞬で消え。其れに対するサキガケルミゴコロを点火した、彼の脳内に映った光景には──────

 

 

 

『ティーアスがレーアドライヴ・アクセラレートで死角に回り込み、右手側の箱らしき物から複数の刃が出て来て斬り刻まれる』

 

 

 

──────といった己の死に直結する、そんな未来を見て。位置と場所に繰り出す際の角度から鑑みて、軽いジャンプと空戦再帰(ウェイキング・アップ)変流式回転防衛(ブレイヴ・コークスクリュー)を絡めた確定変則空中パリィで、ティーアスの攻撃及び追撃から逃れる。

 

(かん)()い」

「どう、もッ!」

 

ミルキーウェイで空中と地上の狭間を駆け、グラヴィトン・レイで重力方向を変更し、空律歩爽(ニア・クルージング)を使って空中空間でのエネルギーチャージを開始すれば、ティーアスが攻めて来る。

 

「っお、くぬ、ぁつぶ!?ぬぉぉぁおおお!?!!」

 

十徳ナイフめいて刃が出て来たかと思えば、突付きらしき杭までも展開された事で、ペッパーの脳内ではティーアスが持つ箱の様な武器は『十徳ナイフとパイルバンカーに+α』が搭載され、おそらく『クロスボウに近い遠距離攻撃機能を備えている』と予測しつつ、ウツロウミカガミとレーアドライヴ・アクセラレートを絡めた残像瞬間移動で彼女の目を欺きに行く。

 

が、シャンフロに置いて最強の賞金狩人(バウンティーハンター)と呼ばれPKerに恐れられ、ティーアスちゃんを着せ替え隊から羨望や畏怖の眼差しを向けられる彼女の実力は、水面に映った虚像程度に『惑わされなかった』。

 

「ッ、嘘だろ!?」

 

スキルの発動タイミングは『完璧だった』筈、にも関わらず目の前の虚像に目を捕らわれる事も無く、真っ直ぐに此方に距離を詰めて襲い掛かって来た。

 

ペッパーの繰り出した二つのスキル、本人には認識し得ない()()()()()とも言うべき、ほんの僅かに発動の合間に存在する『隙間』を知覚しているティーアスだからこそ、ペッパーが仕掛けた残像瞬間移動コンボに対抗出来たのである。

 

「ぬぐ、ッ…………オァア!?」

 

苛烈にして熾烈な攻めと押し込みだ。華奢で小さな身体ながら其の出力は下手な大型獣の突進にすら匹敵し、受け方を失敗(ミス)すれば一撃で勝負が決まる…………此の光景は幕末のレイドボスのユラを彷彿とさせる。

 

だからこそ──────ペッパーは相手の視線や行動を見て、其の一撃一撃に対して受けるか否かを見定め、一瞬一瞬の刹那の交錯で己の取るべき手を思考し。

 

怒濤の如く攻め立てる賞金狩人相手に、少しずつだが確実に『自身の動きを修正』、回避や受け流しが『対ティーアス用』の物へと様変わりしていくのを、ティーアス本人や此の戦いを見届けんと集まったプレイヤー達には見えていた。

 

「おりぃ………やぁっ!!」

「!」

 

右側より展開された刃を滑らせ流し、逆に自身の金色の剣刃を加速させる射出台(カタパルト)として利用。左側の突付きに防がれ迫る脚撃は此方も脚パリィで弾き、両者共に再び距離を取り合う。

 

互いにノーダメージ、一手でも入れば状況が傾くと解る状況、次なる行動は果たしてと見入る中、ペッパーが黄金に輝く剣を掲げて。

 

「降参します」

 

そう述べたのだ。

 

「………賢明(けんめい)

「『食後の運動として見れば』、充分かと思いましたので」

()(ぎわ)もよく(わき)えてる、貴方(あなた)長生(ながい)きする」

「………褒め言葉として受け取っておきます。ティーアスさん………手合わせ、ありがとうございました」

「ん、此方(こちら)こそ」

 

剣を逆手に持ち、深々と御辞儀して感謝の意を示すペッパーに、ティーアスも多くは語らずとも『満足』している様子であるらしい。

 

他のプレイヤーが我先にと押し寄せて来る中、其れ以上の速度で近付いてきたティーアスに手を引かれたペッパーは、彼女と共に蛇の林檎へと戻されて。ティーアスから運動の御礼と称し、自分とアイトゥイルにディアレとノワ、更にはインベントリアに入っていたヒトミの分を含めた、『りんごパフェ』と『アップルパイ』を奢ったのだ。

 

アップルパイが焼き上がるのを待ちつつ、後から蛇の林檎に入って来たプレイヤー達からの質問攻めは程々に答えていれば、先に出来上がったりんごパフェがやって来たので「いただきます」と述べて食す。

 

見た目は少し安っぽく、しかし一口でも口に運べば林檎特有の甘酸っぱさと瑞々しさ、其れでいて爽やかな食感が病み付きになる、そんな感想を抱く『美味しいパフェ』であり、アイトゥイルにディアレ、ノワにヒトミも『御満悦な表情』からマスター渾身の一作だろうと解る。

 

「おつかれさまでーす………」

 

そんな折にヘトヘトクタクタな様子のウィンプが、サミーちゃんにおんぶされて仕事上がりの挨拶をしたので、一人と一匹に軽く会釈を送った所でアップルパイが焼き上がり、丁寧に包んで貰ったので全員分をインベントリアに入れて保管、何れ皆で美味しく頂くとしよう。

 

改めてティーアスには御礼を述べたペッパーは、暫く前線拠点とは離れた場所でパーティーメンバーと己のレベリングをするべく、武器の耐久値の回復やシグモニア前線渓谷(フロントライン)の位置を踏まえ、鉱人族(ドワーフ)達の故郷・地下都市ホルヴァルキンへとゲートによるファストトラベルで向かったのであった………。

 

 






レベリングの地を見定めて


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