VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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重要ポイントでのチュートリアル戦闘、有ると思います




吹けよ旋風、走れよ稲妻、そして胡椒は夢を継ぐ(前編)

シャングリラ・フロンティア内の大陸に在るエリアに、『気宇蒼大(きうそうだい)天聖地(てんせいち)』と呼ばれる、天を貫く程の高い山脈が在る。

 

天に向かう程に、蒼空へ登ろうとする程に、行く手を強きモンスター達が阻み、開拓者達は此処で練度を高め、最大境地に近付かんと、画策する者も多い。

 

然し其のエリアの頂点には『モンスターは寄り付かない』。モンスター達は知っている、此処の頂点に座するは、龍の━━━━其の龍達の中でも唯一『王』を名乗るに相応しき存在が居るが故に。

 

名を『天覇のジークヴルム』。世界に七つのみの最強種、其の一柱たる金色のドラゴン。彼は今、此の地にて翼を休めながら、下層より這い上がり、己に挑まんとする剛の者を待っていた。

 

『!………此れは!』

 

そんな時、ジークヴルムが感じたのは『己』と同じ気配の、しかし『己』と異なる気配だった。

 

『クックック……!ハァーッハッハッハ!!そうか、遂に目覚めたか!蒼天を舞う勇者の元で、我を模した『大いなる遺産』が!!』

 

龍王が立ち上がる。其の背に在る黄金の四翼を大きく広げ、翼膜は光に照らされて、金色の輝きが山頂を満たす。

 

『僅かな欠片、されど其れは大きな一歩!なれば、なればこそ!此のジークヴルムが、夢を受け継いだ者が如何なる存在か、此の眼で確と見定めてくれよう!』

 

天を覇する龍の王が翼をはためかせ、其の巨体が浮かび上がる。其の瞳孔が見定めるは、己の気配が目覚めた場所へ注がれた。

 

ジークヴルムが動く。其の行き先は唯一つ。

千紫万紅の樹海窟・双皇樹である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、行こうぜ!レディアント・ソルレイア!」

 

ティラネードギラファとカイゼリオンコーカサス、2体の甲虫皇達の融合攻撃によって、永き眠りから目覚めて起動した、レディアントシリーズの籠脚(ガントレッグ)たるレディアント・ソルレイア。

 

金色の爪とドリルは輝き、エネルギーが完全満タン状態。今ならば確実にダメージが徹せると……そうペッパーは考えていたが、此処で問題が発生する。

 

(どうしよう、レディアント・ソルレイアの使い方が解らねぇ!?てか、どーやって空飛ぶの!?)

 

遺機装という以前の時代の代物、起動させたは良い物の、説明書も無いので何をすれば良いのか全く解らない状況。しかし、思わぬ所から助け船がやって来た。

 

『勇者ヨ、レディアント・ソルレイア…ノ、使イ方ヲ…我等ガ、教授シテ…シンゼヨウ…!』

『翼ハ、紡ガレタ……!ナレバ…其ノ道ヲ、進ム背中ヲ押スノモ……マタ、我等ノ使命!』

 

先程まで上空を飛んでいた、2体の甲虫皇達が地上に降り立ち、ペッパーに向けて言葉を発する。

 

「お願いします!」

 

返答するまで1秒もいらない、最速最短の回答。ティラネードギラファ、カイゼリオンコーカサスは互いにアイサインを送り合い、そしてペッパーに。翼を紡いだ勇者に、レディアント・ソルレイアの使い方を指導し始めた。

 

遺機装(レガシーウェポン)達ハ、装備者ノ放ツ…『言霊(コトダマ)』ニヨリ、其ノ能力(チカラ)ヲ………『発現(ハツゲン)』、スル』

『レディアントシリーズ、ノ……レディアント・ソルレイア…ハ、勇者ガ放ツ…『蓄積(チクセキ)』ト『飛翔(ヒショウ)』ノ…言霊ヲ受ケル、事ニヨリ…『力』ヲ解放スル』

 

どうやら遺機装には各々、力を使う為の鍵となる『合言葉』が存在するらしく、レディアント・ソルレイアは空を飛ぶ為のエネルギーを『蓄積』する事と、本題の空を飛ぶ力たる『飛翔』が必要であるようだ。

 

『先ズハ…レディアント・ソルレイア…ヘ、コウ言ウベシ。『蓄積セヨ(Charging.up)』、『飛翔セヨ(Flying.up)』………ト!』

『ソシテ…『歩ム』カ『走ル』、マタハ『風』カ『雷』ノ攻撃ニ、合ワセテ…蹴リ出ス、ベシ!』

『『エネルギーガ、貯マレ…バ、レディアント・ソルレイア…ハ、空ヲ舞エル!』』

 

片言による説明ではあったが、合い言葉と共にレクチャーをしてくれた2体に、ペッパーは「ありがとうございます!」と深々と頭を下げて礼を述べた。そうして彼はレディアント・ソルレイアに向けて、飛翔の機能を解放する言葉を放つ。

 

飛翔せよ(Flying.up)!」と。

 

其の言葉を受け、レディアント・ソルレイアに在る白い翼を模したモジュールから、オーロラの様な翼が展開され、同時に足裏よりブースターが起動。ペッパーの身体が段々と地面を離れ、徐々に空へと浮かび上がっていく。

 

「うぉお!?と、飛んでる…!マジか!?マジで飛んでるよ俺!」

 

足を動かせば高度が、前に動かせば後ろへ、後ろに動かせば前へ進む。両脚に蓄積されたエネルギーの量を、細かくコントロールすれば、変速的な機動も可能にする事も出来、使えば使う程に新しい可能性が、やってみたい事が頭の中で源泉の様に溢れてくる。

 

「すげぇ…!すげぇ!あの人は、こんな技術を産み出して、空を飛ぶ夢を叶えたのか…!」

 

夢とは、原動力やモチベーションに匹敵する、確固たる力になる要素だ。夢が在るからこそ、其れを叶える為に如何なる努力や研鑽を怠らず、そして様々な可能性を模索し、人は夢物語を現実に変えて来たのである。

 

『先ズハ…其ノ力、ニ…適応スル…ベシ!』

『使イ方ヲ、理解…シタナラ、バ…実戦ヘト、移行…スル!』

 

アクションゲームでよくある、操作やコマンド入力に慣れるまでは戦闘が始まらない、所謂チュートリアルモードに突入したようだ。

 

時間は有るが、問題も有る。其れは此の状況を、誰かに目撃される事。空を飛べるというのは古今東西のゲームに於いて、莫大過ぎるアドバンテージを誇る要素。

 

例えば、FPS等の地上での銃撃戦を主流としたゲームが有るとして、仮にプレイヤーの1人が空を飛べる機能を得たとする。そして其のプレイヤーが、空からの狙撃が出来るカスタマイズを施して、戦場に出来たとする。

 

では何が起きるか?簡単だ、答えは『蹂躙』である。上空から敵の位置が見えるという『情報』は、太古から現代に至るまで、戦闘では其の差が『勝敗に直結する』と言って過言では無く。

 

配分を間違えようなら、どんな良ゲーだろうが、如何なる神ゲーだろうが、其れ一つで一瞬の内にクソゲーに成り果てる劇物という訳だ。

 

「………あぁ、下らねぇ」

 

思考が『つまらない』方向に引っ張られている。確かに空を飛べる力は素晴らしいし、現状は自分が独占状態にしている。アドバンテージも計り知れないが、何れは突拍子も無い所からバレる時が来るだろう。

 

後先を考えるのは良い事だが、其れでは自分が『楽しくない』。今の自分は何の為にゲームをしている?

 

「決まってるだろう?人生を楽しむ様に、ゲームを楽しむ為だ!其れ以上の理由はいらねぇ!」

 

バレたらバレたで仕方無い!其の時は全部纏めて、ペンシルゴンに投げてしまおう!悪巧みや策謀を企むアイツなら、きっと何とかしてくれるでしょう!多分!

 

「段々と挙動と出力制御のコツが掴めてきた…!良いぞ…自分の脚みたいに、空中で踏ん張りが効く…!」

 

レディアント・ソルレイアを使い続ける中で判明した事は幾つか有る。先ず此のユニーク籠脚(ガントレッグ)は、エネルギーのフルチャージで『10分間』連続での飛翔が出来る事。タイマー機能を使って測ってみた結果から判ったので、エネルギー供給手段がない場合は此れを念頭に、飛翔と操作をする必要が有る。

 

次にエネルギーの蓄積に関しては、歩行や走行のアクションで貯めるよりも、脚による攻撃を直撃させたり、脚で攻撃を弾いたり、風か雷の属性攻撃か魔法による攻撃を『吸収』する方が効率が非常に良い。しかし此の吸収機能、どうやら『装備貫通能力持ち』には意味を成さないと2体が教えてくれたので、其所は注意していきたい。

 

最後にレディアント・ソルレイアを含め、遺機装(レガシーウェポン)と呼ばれる兵器達は共通して『超過機構(イクシード.チャージ)』と呼ばれる、とっておきの必殺技が存在するらしく、其れは実戦の中で自分達にある程度ダメージを与えた後に教えると、勿体振るように彼等は言っていた。

 

「必殺技まで完備してるとは、俄然気になるなレディアント・ソルレイア…!」

 

十分にチュートリアルは出来た、ティラネードギラファとカイゼリオンコーカサスから、注意事項は確り聞いた。

 

頬を叩き、気合を注入。いざ往かん、双皇との決戦へ。

 

「準備出来ました!よろしくお願い致します!皇達よ!!!」

『ウム…!ナレバ!』

『勝負…デアルッ!』

 

三つの勇姿が天へ飛ぶ。戦いが此処に始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

其れを草影から見守りて、後世に語り継がんとするは、黒の致命兎の風来女・アイトゥイル。

 

そして更に後ろにて、青の魔法使い・レーザーカジキが、其の決戦を木の影から見つめていた。

 

 






勇者は蒼空へ翔び上がり、其れを光線梶木は目撃する

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