VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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レベリングをしよう




徹底的な反復を、圧倒的な蓄積を

GGCの事についてブシカッツォから色々とアクシデントが発生したとメールを見たが、其れは其れで此れは此れという物。

 

ジークヴルムとの決戦に備えると共に、ユニークシナリオを発生させたディアレやアイトゥイル達のパワーレベリングを踏まえ、昨日にゲートを経由し地下都市ホルヴァルキンに訪れ。其のホルヴァルキンを朝方にログインから出立してやって来たのは、新大陸屈指の危険地帯・シグモニア前線渓谷(フロントライン)

 

外縁部かつ大王冠の玉座に居る暴君・帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)の変則火力のフレキシブルビームが届かない場所にセーブテントを建て、アイトゥイル・ディアレ・ノワ・ヒトミと共にレベリングに置ける作戦会議を開始する。

 

「アイトゥイルとノワにヒトミさんは、此の戦場を一度経験したので解るとは思いますが、改めて確認を。此処に居る巨大列車砲百足と巨大要塞蜘蛛は常に争い殺し合う仲であると共に、二種族が争うと上に居る二色の蠍がビームの雨を降らせる超が付く程の危険地帯です」

「文字に起こすと随分な場所だね」

「でもそんな中で生き残って頭級を上げる………言わばヴォーパル魂って奴ですよ」

「其れはどうなのだろうか………」

「戦争は準備段階で八割方の勝敗が決すると言いますので、備えるのはとっても大事ですから」

 

死中に活を見出し、武と技を以て戦果を挙げる。ジャイアントキリングという単語(ワード)も有るが、圧倒的な強者を数多の策を以て戦う前より備えて倒す、其れが基本にして基礎でもある。

 

「最初に準備運動がてら、人間大のサイズで有りながら無尽蔵に近いレベルで地面から沸き出す『アーミュレット・ガルガンチュラ』に狙いを絞り、其の後にフォルトレス・ガルガンチュラかトレイノル・センチピードを討伐していきます。斬撃系統や刺突系統は効きにくい相手ですが、鞭や斧槍に弓や弩弓剣に関するスキルを開拓したり強化したいので、其れをベースに戦闘していきますので」

 

神の名を関するスキルもだが、他のスキルもキッチリ育てて合成したり、新しいスキルを発現させるには兎にも角にも思い付く限りに動いて、そして試してを繰り返して行くしか無い。今一度、自分がゲームをする時の原点に立ち返って、

 

「ヒトミさんはアイトゥイルとディアレさんのサポート及び、緊急時には即座に撤退行動を。万が一に備えて冥王の鏡盾(ディス・パテル)を一つ渡しておきます」

「了解:受け取ろう」

「アイトゥイルとディアレさんには、エフュールさん謹製のMP回復アクセサリーの水晶群蠍(クリスタル·スコーピオン)金晶独蠍(ゴールディ·スコーピオン)の人形、そして皆に帝晶双蠍の素材を使ったアクセサリーを。ノワは出来る限り俺の足元やコートの中に隠れててね、日中の光は君の身体にはキツイはずだ」

「ありがとうなのさ」

「遠慮無く受け取らせていただくよ」

『ワゥン』

「では………パワーレベリングと洒落込もう」

 

インベントリアより取り出した円盾やアクセサリーを其々に手渡し、準備は此処に整った。ジークヴルムとの決戦に向けて、此の危険地帯でやるべき事を熟す。──────開戦の火蓋は、此処に切って落とされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

渓谷の底が割れる、盛り上がる、そして百足と蜘蛛達が現れ、戦場は混沌と化していく。

 

「皆、いざという時は直ぐに離脱を意識!確実かつ堅実に行こう!」

「はいさ!」

「援護するよ!」

 

押し寄せるアーミュレット・ガルガンチュラの津波を聖盾イーディスを構えて突進で押し返し、横入りはアイトゥイルとディアレが、後ろの子蜘蛛はヒトミが叩きて彼を支える。

 

「百足が来るのさ!?」

「退避退避!?!」

「ふぉあああ!?!」

 

子蜘蛛に意識を取られれば百足が暴れ散らかし、暴れる百足の質量にビビれば子蜘蛛の波に飲み込まれる。無双ゲーの最高難易度も真っ青な超極悪レベルのフィールドだが、目まぐるしく変化する戦況の中でこそ、初めて見えてくる景色も有るので、やはり何事も経験というのは大事だ。

 

「一つ一つ、コツコツと。積み重ねて行きましょうかね!」

 

封雲の撃鉄(タイタントリガー)(スペリオル)起動、雲の鎧を其の身に纏いてイーディスを地面に刺してオブジェクト化から、インベントリアより金弓宝剛剣(ゴルト・ヴァーシュ)を取り出して弓モードに移行。

 

近付くアーミュレットの脳天に狙いを澄まして矢を弦に乗せて射り、今度は目に向けて射って片目を潰しつつ死角を利用した接近からのスライディング、ほぼ零距離に近い接射と共にアーミュレットを空中に発射威力を利用して打ち上げる。

 

「ディアレさん!」

「任された!【キュレリア・クローズン】!!」

 

ペッパーの一声、オブジェクト化したイーディスの上に飛び乗り右手に握った杖を掲げ、埋め込まれたクリスタル(?)らしき物が光を放った次の瞬間、打ち上げられたアーミュレットが『分厚い氷に完全凍結』されて、シャンフロエンジンが齎す重力に従い落下。

 

真下を通り掛かったアーミュレットの一匹を積重によって押し潰し、爆発と共に複数のアーミュレット達が吹っ飛んで、ゴロゴロと転がって行く。

 

「流石ディアレ姉さんなのさ」

「凄いな、此方も負けてられない………!」

 

金弓宝剛剣をインベントリアへ入れ、代わりに取り出すは風雷皇の擊貫斧(サルダゲイル・イドゥン)。交換の隙間をヒトミとアイトゥイルにノワが援護し、雲の腕に持たれた斧槍(ハルバード)が横一閃で薙ぎ払われ、近付く子蜘蛛を穂先の刺突で目や脳天を貫く。

 

「折角やるなら………試すのも有りか、なっ!」

 

ハルバードという武器は斧と槍の、其々の武器種の特性が複合した武器でも有る。そして此の武器はもう一つ『長物の得物』という、特色が含まれた武器でも有るという点も秘められている。

 

インベントリアより繰り出したのは撃鬼覇貫脚(グラシアス・ガウルト)、機動力という点からレディアント・ソルレイアや深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)の方が良いのでは?と疑問視するだろうが、此のシグモニア前線渓谷の様な複数体を相手取る場合、此方の籠脚(ガンドレッグ)の方が『相性が良い』。

 

両脚に装備から渓谷の地面に穂先を突き刺したペッパーが、ノリと気分で青色の聖杯を使って女の姿へ変わり、まさに『ポールダンサー』の要領で風雷皇の擊貫斧に身を委ね、迫るアーミュレットの押し寄せを前に一切退く事無く、片っ端から蹴り落としてはハルバードと籠脚と共に、喧騒冷め止まぬ戦場で可憐に踊り始める。

 

そんな踊りに感化されたか、はたまた下からの騒音にブチ切れたか、帝晶双蠍達が上からビームを放ち出し、其のビームが引き金となってフォルトレス・ガルガンチュラ・エンプレスとトレイノル・センチピード・ドーラまでもが戦場に出撃し、渓谷内は大混乱の様相を呈して行く。

 

「全員、一時退避ーーーーーーー!?!?!」

『ワゥルン!!』

「はいさ〜!?」

「ふぉぉおおお!?!」

「了解:脱出行動」

 

二体の女王個体達の出現と戦いは、此の場の状況を容易く変えてしまえる出力と範囲を誇る。子蜘蛛の爆撃に毒液砲弾の着弾で戦局が更に動き、帝晶双蠍達のビームの雨が更に激しく降り出す中、イーディスを回収したペッパー達一行は一足早く谷底から抜け出して、外縁部まで避難したのである…………。

 

 






引き際を見誤るべからず


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