VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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成し遂げる為の必須事項




限界点という果てを知らぬは、圧倒的な馬鹿か気狂い以外無し

突然だが質問をしたい。ゲームに置けるプレイヤーが、ボス戦や周回で『途轍も無い力』を引き出す時が有るが、其の時の『条件』とは一体何だろうと考えた事は有るだろうか?

 

最高潮すら越えた、限界突破のテンションか?

 

全てのシナプスが直列繋ぎで連動した様な、コンピューターの演算じみた思考か?

 

周りの全ての現象や事情を受け付けぬ、世界に己のみが居る錯覚を抱く圧倒的な集中力か?

 

其のどれもが正しく、人によって異なる其れは、スポーツの世界で言う所の『FLOW』………最高のパフォーマンスを発揮可能な精神状態を意味する。

此のFLOWに入る為に必要な条件を理解し、何時でも『入れる状態』を作り出す事が出来たのならば、人は『不可能をも可能にする力を引き出す事』も可能となるのだ。

 

では何故、此の様な質問をしたのか。──────其れはそんな最高のパフォーマンスを発揮出来る状態に突入した結果、予想以上の戦果を上げた開拓者(プレイヤー)が居るからに他ならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………ぶぇへぇ………………」

 

肺に溜まりに溜まり、淀みに淀みきった空気を吐き捨てて。事を起こした『ペッパー・天津気(アマツキ)』は漸く状況を確認するに至れた。

 

手に握ったのは黄金に輝く己の得物、武器の耐久値も此れ以上振るえば砕け散って消失(ロスト)してしまう程に消耗し、ヴァイスアッシュの一式装備で耐久値を回復したり、鍛冶師に頼んだりしない限りは再び振るう事も出来ない状態になっている。

 

「ペ、ペッパーはん…………とんでもないのさ…………」

「いやはや………本当に凄まじいね、ペッパーさん」

『ワゥン♪』

驚嘆(何という):まさか二種族の女王個体達を討伐するとは…………」

 

上空から降り注ぐ帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)達のビームが今だに止まぬ中、視線を向けた其の先で『巨躯を真っ二つの開きにされた』、トレイノル・センチピード・ドーラとフォルトレス・ガルガンチュラ・エンプレスの姿が映る。

 

「フォルトレス・ガルガンチュラ・エンプレスよ。トレイノル・センチピード・ドーラよ。皆の力とクターニッドさんの鎧の力を借りて、お前達を漸く討伐出来た。此の経験と戦闘の記憶を、俺達は決して忘れない…………」

 

ペッパーの口上を経て、二体を構成するポリゴンが崩壊する。ヴォーパルバニー二羽とリュカオーンの分け身一匹に征服人形一機のNPC計四を加えた、厳密には単身(ソロ)では無いがゲームシステムでは『単身討伐扱い』+途中で『神秘(アルカナム):運命の輪(ホイール·オブ·フォーチュン)に切り替えた事』で幸運倍化とドロップアイテムの質向上効果が反映された事。

 

其れにより二種族の女王個体の希少素材達(レアドロップアイテム)が源泉の如く噴き出し、渓谷を埋め立てんばかりの勢いで積み重なる。

 

「よし、回収して脱出だ!次のフォルトレスとトレイノルが出張って来る前に渓谷を出ますよ!」

 

深淵を見定む蛸極王装(オクタゴラス・アビスフォルガ)の持つ三つの能力の内の二つ、八つのサッシュを八つの蛸足へと変えて操り動かす巨剛触手(きょごうしょくしゅ)と、世界の事柄や理を一時的に望むままに変化させる状況改変(じょうきょうかいへん)を利用して素材達を両方のインベントリアへ無作為に放り込んで回収する中、シグモニア前線渓谷(フロントライン)が大きく鳴動。

 

ドーラとエンプレスが斃れた事を引き金(トリガー)として、新たなトレイノル・センチピード・グスタフとアーミュレット・ガルガンチュラ達にフォルトレス・ガルガンチュラがワラワラと湧き出し、戦場を彩る役者(キャスト)達が入れ替わり、目を合わせたら即戦争と言わんばかりに暴れ始め、上層から光線の雨が降り注ぎ出して再び地獄絵図が展開される。

 

「ヒトミさん、皆を頼む!俺が奴等の注意を惹き付ける!」

了解(任された):御武運を」

 

ヒトミに仲間達の離脱を任せ、スキルを展開してはヘイトを買い取りつつ、皆が迅速に抜け出せる様に意識した立ち回りで逃がし、自分もまた装備を切り替えて渓谷より脱出を果たしたのであった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トレイノル・センチピード・ドーラの素材達に、フォルトレス・ガルガンチュラ・エンプレスの素材達………。危険な戦場を戦い抜いた御陰で、かなり手に入ったな」

 

セーブテントにて全員生存確認を経て、ペッパーは漸く肩の力を抜き取って座るに至る。流石に連戦しようとすれば、確実に取り返しの付かない事が起きる可能性が高い為、リフレッシュを兼ねて一度キッチリかつ確りと休むに限る。

 

ドーラとエンプレスはシグモニア前線渓谷の中でもグスタフやフォルトレスが何回も現れ、幾度も争わなくてはそもそも出て来(ポップし)ない可能性が高く、出現したらしたで狭い渓谷にて大災害を齎す強敵だ。

 

レベリング開始早々にあの女王達の大激戦に出会えたのは、乱数の女神が牙を剥いたかは定かでは無いが、何にせよ希少な素材を大量入手に至ったのは僥倖なのは間違い無い。

 

「グスタフやフォルトレスの素材も有れば色々作れそうだし、ビィラックさんだけじゃなくてガンタックさんやイムロンさんに渡して、()()()()()()()をして見るの、も…………──────!」

 

其の時、ペッパーに電流走る。

 

「コレだッッッッッ!!!」

「ペッパーはん、いきなりどうしたのさ!?」

「何か有ったのかい?」

『ウルゥ?』

「疑問:どうした契約者(マスター)?」

「良い事を考え付いたんだよねぇ…………!」

 

上手くやれば戦略の幅が広がるだけで無く、シャンフロ内の鍛冶師プレイヤーやNPC()()の強化にも繋がり得る、そんなアイディアを閃いた彼女()は非常に()い笑顔を浮かべたのである。

 

蛇の林檎でティーアスに奢って貰ったアップルパイで腹拵えで休憩し、一同は今再びシグモニア前線渓谷へと飛び込んで行き、途中で気分転換とばかりに帝晶双蠍も何とか狩り取り、ツァーベリル帝宝晶の採掘も行ったのだった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本日の総括(リザルト)

 

アーミュレット・ガルガンチュラ×100体以上

フォルトレス・ガルガンチュラ×2

フォルトレス・ガルガンチュラ・エンプレス×1

 

トレイノル・センチピード・グスタフ×2

トレイノル・センチピード・ドーラ×1

 

帝晶双蠍×2

ツァーベリル帝宝晶×21

ポストイ・ツァーベリル×3

 

 

手持ち武器の遺機装(レガシーウェポン)甦機装(リ·レガシーウェポン)以外の武器の耐久値が大きく削れたので、鉱人族(ドワーフ)達の故郷・地下都市ホルヴァルキンに赴き、ガンタックや他の鉱人族に依頼して直す渡りを付けて貰った。

 

其の際にガンタックから「アムルディシアンクォーツを持ってないか?」と尋ねられたので、水晶巣崖(すいしょうそうがい)で掘り出した物をインベントリアから有るだけ出した所、彼から「武器を拵えてやる」と言われ。

 

ロールプレイを絡めて話を聞けば、どうやら彼は鉱人族の間ではメジャーな打撃武器らしい双節棍(そうせつこん)……………所謂『ヌンチャク』を作るのだとか。

 

取り敢えずガンタックにヌンチャク製作は御願いから、伝書鳥(メールバード)を使ってイムロン・ラピス・SOHO-ZONEにメールを送り、ガンタックにイムロンとラピスに送った内容と『同じ事を伝えて』答えを聞き。

 

数分後に帰って来たメールバードの内容に返事を送り、インベントリア内に在る様々なドロップアイテムを整頓して、ガンタックに素材を渡した後、アイトゥイルが開いたゲートを潜ってホルヴァルキンから前線拠点へとファストトラベルで向かったのだった…………。

 

 

 






思い付いたが即行動


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