時に備える者
リヴァイアサン第三殻層『戯盤』。
一言で言い表せばアミューズメントパークとカジノが融合した、表向きは公正公平を謳いながらも、本質は裏切りや騙し合いの横行により億万長者と破産者が産まれる、リヴァイアサンで随一の何でも有りの集金施設の体を持つ殻層でもある。
『二番三番確保、次』
競機と呼ばれる戦術機を用いた、妨害有りの戦術機版の
『四番五番七番八番九番、確保。六番反応遅い、其処』
『あ、ヤベ、グワー?!』
レールガンを受けて煙を吐き、スタン状態になった戦術機達に長射程ワイヤーガンが飛んで行き、全機にガッチリと噛み付いて。
『今日は123456789と順番に順位に付けたい気分』
のっそのっそと八機の戦術機達を引き摺りながら、赤い一番ゼッケンのピラミッドメンが一番最初にゴールラインを踏み、起き上がらんとしていた七番のピラミッドメンをレールガンでスッ転ばし、二番三番四番と次々に引っ張り寄せてゴールラインに放り込む。
「ちょっ、待って待って待ってって!?借金して
「んな強引な順位操作って有りなの!?」
「
連番や単勝等々のジョッキー達のモチベーションやコンディションの傾向から賭けたプレイヤー達の、悲鳴にも似た声と共に視線がホログラフィックで出来た鯨の乙女、或いはリヴァイアサンの擬人化存在の勇魚に向けられて。
『ワタシ、ダメッテ、イイマシタッケ?』
「「「「「「勇魚ァーーーッ!!?!?」」」」」」
まるで『すっとぼける』様な、鉄面皮の仮面の下に隠した『本性』を垣間見せて宣告じみた発言を噛ました事で、観客席に居た者達は誰一人の例外も無く叫ばされた。
『取り敢えず何名か破産の方がおられますので、手続きしておきますねー』
悲鳴が木霊す中、レッドワンによる順位操作によるレースは堂々と終結し、
第四殻層『工廠』、限られた者のみに入場を許された此の場所は『戦術機や
「やぁ、ルスト。絶好調だね」
「ん。ピラミッドメンのクセ含めて、だいぶ理解出来た」
「アヴァランチさんやヤシロバードさん達の御陰で、此方は大体用意出来た」
「ん、ありがと」
工廠で待っていたのは彼女の相方たるモルド、ネフホロ最強コンビの片割れで
「ヤッホー、ルスモルコンビ。そっちは順調か?」
「やぁ、ルストさんにモルドさん。今回のは自信作だ、二つ合わせて三十万スコアだけど買う?」
「……………」
声を掛けていたのはアヴァランチとヤシロバード、銃狂いのトリガーハッピーなヤシロバードからデータを見せられ、ルストは無言ながらもスコアを振り込み、渡されたデータをモルドが受け取って製作していく。
機材のアーム達が動いて金型からパーツを切り出し、ガチャガチャウィンウィンと音を鳴らして組み立ていく中で彼女は、ペッパーのオーダーによってリヴァイアサンで新規製造された格納鍵インベントリアの収めた『設計データ』を見ていた。
其れは此のリヴァイアサンにて設計図を作っては作り、作っては作り、モルドやアヴァランチにヤシロバード、果てはS·F·G·F·Aのメンバー達すらも巻き込んで、遂に念願叶う所まで辿り着いたのである。
「しっかし、ルストは何か凄い物を作るつもりなんか?勇魚は何か知ってるのか?」
『ルスト様とモルド様は此れから、スペシャルチューンの戦術機を作るみたいですねー』
「何機作るかは聞かないが、ロボ狂いが情熱注いだ戦術機は気になるなぁ………」
「わかる、わかるよアヴァランチさん」
「勇魚、
『かしこまりました〜。其れにしても御一人で十機保有すると言い出した時はどうなるかと思いましたが、まさか実現してしまわれるとは…………』
勇魚ですら自然な顔で苦笑を浮かべる中、燃え滾る情熱を胸と瞳の中に秘め、コンソールを操作する彼女の前には『十のウィンドウ』が表示されている。
・RS:〇
・RS:〇
・RS:◇
・RS:◇
・RS:Δ
・RS:Δ
・RS:†
・RS:†
・RS:卍
・RS:卍
「……ふふっ、ふふふふひひひひひひ…………」
「ルスト…………」
「わかる、わかるよ。ルストさん。目標に後少しって所になると笑顔になるよね」
「ほんと其れな」
ねちょい笑顔で笑うルストにモルドは引き気味になり、ヤシロバードとアヴァランチは同意していく。そんなモルドもまた『
鋼鉄の化身は完成を待つ
※因みにRSが『ルストシリーズ』で、〇が『ボールメン』・◇が『キューブメン』・△が『ピラミッドメン』・†が『ソードメン』・卍が『オクトメン』