VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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風雲急を告げる

※少し短いです



緊急と共に、狼達は星を見上げ

時間は少し遡り、8/19。

 

ある者は来る決戦に備えてレベリングを、ある者は残り少なくなった夏季休暇を恋しく思い、またある者は此処まで積み重ねた研鑽の成果を示すべく最終調整をしていた。

 

「ッ……………畜生、マジかよ…………!」

 

深夜帯、シャワーを浴びて着替えて寝ようとした最中に届いた『メール達』に、日本最高峰の格ゲーマー・魚臣(うおみ) (けい)は苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべる。

 

「ジュリーは家の事情に、ケンは喪中……!くそッ、何だってこんな時に!此のままじゃ、メンバーが足りないぞ……!!?」

 

彼が『打倒シルヴィア・ゴールドバーグ』を目標に掲げ、三年前から今日に掛けて準備に準備を重ね続けて来た。だが其の準備や研鑽も戦う土俵に立てなければ、何もかもが水泡に帰してしまう。

 

おまけに何の因果か悪戯か、シルヴィア・ゴールドバーグだけで無く『ダイナスカルの猛禽』の異名を持つ、アメリア・サリヴァンまでもが全一と同じチームにゲストとして参戦する事が全一本人の口から知らされており、実質今回のエキシビションマッチは『五対五』の構図になっている。

 

自分とメグにAZを含めても、()()()の戦力が足らない。

 

「くっ、どうする……………!」

 

後々で何をされるか等、予想するに容易く。此処で作った『借り』が先々に置いて自分に降り掛かると、想像するには簡単過ぎる。そうだとしても、もう其れ以外には手段が残されていないと解っているからこそ、慧は己の意思で其の道を選び取る。

 

「…………後が怖い。だけど、此処まで来たら──────『もう退けない』…………!」

 

スマフォを起動して、Eメールアプリで文章を打ち込み二人へとメッセージを送信、藁にも縋る想いを込めて指先は液晶画面を叩き、後は二人の予定やら事情やらが被って来れないという、目も当てられない『最悪過ぎる事態』に陥らない事を、彼は祈るしか無かったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

件名:折り入って頼みが

差出人:モドルカッツォ

宛先:サンラク、鉛筆戦士

 

本文:交通宿泊参加費諸々此方で全部持つから、グローバル・ゲーム・コンペティションに遊びに来ませんか?宿泊場所はホテルグランドスプリーム、日時は8/24と8/25の二日間で、エキシビションマッチは二日目に行われる。

 

あと当日、ホテルのフロントで『魚臣 慧の御付きの〇〇です』って言えば、部屋に案内して貰える様にしたからマジで頼んだぞ

 

【ホテルグランドスプリーム周辺の地図】

 

 

 

 

 

件名:色々ヤバい事になった

差出人:ブシカッツォ

宛先:A-Z

 

本文:本来出られる筈だったチームメイトが、諸事情によって出られなくなっちゃったから、サンラクとペンシルゴンに応援依頼を出したよ………。正直言えば、此の手段は最後の最後までやりたくは無かったんだけど………、もう四の五の言ってる場合じゃ無くなった。

 

改めて確認しとくと、宿泊場所はホテルグランドスプリーム、日時は8/24と8/25の二日間で、エキシビションマッチは二日目に行われる。

 

あと当日、ホテルのフロントで『魚臣 慧の御付きの〇〇です』って言えば、部屋に案内して貰える様にしたからマジで頼んだ

 

【ホテルグランドスプリーム周辺の地図】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8/20。

 

梓はコンビニバイトで汗を流しつつも、今朝方に改めて届いたメールを思い返しながらも仕事を続け、昼休みのタイミングで新たにチャット部屋を立ち上げて、其処にサンラクとペンシルゴンを招待する。

 

そして暫くチャットを通じ、三人は話し合う事となったのだった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

胡椒:見た?二人共

 

サンラク:見たよ(2828)、色々借りが作れそうですねぇ!

 

鉛筆騎士王:見たねぇ〜(2828)、色々と借りを作れちゃうねぇ!

 

胡椒:流石外道衆、考える事が似てるというか

 

サンラク:失礼な、俺は至って健全だぞ

 

鉛筆騎士王:えっ?誰が外道だって?

 

サンラク:え?

 

胡椒:……………ツッコミしたら負けだなコレは

 

サンラク:にしても参加者が足らないって、どんだけ追い詰められてんのアイツ…………

 

鉛筆騎士王:私達に援軍頼む辺り、もう相当って感じだねぇ…………

 

胡椒:何したらそうなるのか…………

 

サンラク:全一が来日する原因作った奴が何を言うか

 

鉛筆騎士王:右に同じく

 

胡椒:本当にすいません…………

 

鉛筆騎士王:まぁ其れは其れとして…………カッツォ君には何を奢らせる事にしましょうか、サンラク君にあーくん?私はモチのロン特上寿司!

 

サンラク:人様の金で食う焼肉は最高だろうなぁ………!

 

胡椒:どうせグランドスプリームに行けるのが一回個っきりなら、最高峰ホテルの最高級フレンチフルコースを一度は食べてみたい…………

 

サンラク:見事にバラけたな

 

鉛筆騎士王:エキシビションマッチの結果で優劣決めるのはどう?

 

胡椒:妥当かな

 

サンラク:其れで行くか

 

鉛筆騎士王:よし、其れで決定♪因みに笑える負け方したら、一年はネタとして擦る所存だから覚悟してね〜

 

胡椒:下手に負けられなくなったな…………

 

サンラク:んじゃ負けた奴は三年イジってやるつもりでやるわ

 

胡椒:チキンレースになってるなぁ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休憩時間の終わりが迫り、梓はスマホをロッカーに仕舞って再びバイトへと身を投じていく。

 

其の数時間後にバイトを上がり、スーパーのタイムセールに突撃して他の買い物客に揉みくちゃにされながらも、生活費を上手く切り盛りする戦いを続け。

 

家に帰れば夕食を取り、大学での勉強の復習にシャンフロのパワーレベリング、アメリア・サリヴァンの過去の大会の映像視聴等、忙しくも確かに充実した時間を送り。

 

 

 

そして──────彼等彼女等の『運命の日』、即ちは『GGC開催日の前日の8/23』がやって来た。

 

 






舞台はゲームの祭典


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