来る時
8/23。
近年の日本の交通網は以前の新幹線主体から、リニアモーターカー主体へと移り変わり、地方から都心部まで小一時間程度で行ける程度には便利になったとは言え、細部まで行くとなるとやはりバスや従来の電車に、新幹線等を利用する事は利便面で変わらない点も有る。
古き良き趣が好きな鉄道オタクには新しいリニアモーターカーも良いが、従来の電車に新幹線が良いという一定層存在するのも事実だ。自分は山手線や地方線を走る電車を運転手に成り切るゲームで運転した事が在るので、バリバリ後者側の人間だが。
「慧からオススメされた『電子コミックアプリ』で改めて読むと、ミーティアスとカースドプリズンの関係性の認識が色々変わるな…………」
GGC………グローバル・ゲーム・コンペティションに招集され、慧と同じ日本格ゲーチームとして全米一位の格ゲーマーが所属する格ゲーチームと、世界中に生中継されるというエキシビションマッチで対決するなんて事は作り話は、信じて貰えるかと言われたならば大半が疑問を抱くのが普通だろう。
とはいえ、相手方の全米一位チームにダイナスカルの猛禽がゲスト参戦するともなれば、生半可なメンバー構成で挑んでもギッタンギッタンのボコボコ、ぼろ雑巾よりも酷い目も当てられない放送事故に匹敵する、大惨事不可避になるのは間違い無い。
『間もなく東京………、間もなく東京………。御降りの御客様は、御荷物を御忘れないよう御注意下さい』
「着いたか、やっぱり速いなリニアは………」
カリスマモデル・
宿泊セットを入れた旅行用バッグと、万が一にも備えて一緒に持って来た最強のレトロゲーマー・A-Z変身用アイテムを入れたバッグの二つを持ち、梓はリニアを降りて目的地たるホテルグランドスプリームを目指して、バス乗り場へと歩を進めて行く。
ほぼ定刻通りにやって来たバスに乗って移動、目的地周辺で下車して歩いて行けば、見えてくるは日本の首都東京の中でも屈指の最高級ホテルのグランドスプリーム、ホテルフロントで「
「滅茶苦茶綺麗だし、滅茶苦茶広いし、場違い感が半端じゃない………」
ベッドはツインサイズで、案内された部屋はスイートルームクラスの広さに加え、隅々まで清掃が行き届いている。
レトロゲームが好きな普通の大学生が、数日泊まって本当に良いのかと不安になりつつも、慧へとメールで連絡を入れた梓は荷物を床に置き、ベッドに座って落ち着いた後、彼は部屋の一区画に置かれた『其れ』に着目する。
「…………富裕層にしか買わせる気しか無い事で有名な、最新型フルダイブVRシステムのチェアバージョン………。まさか本物を間近で見たり、実際に触ったりする事が出来るとは………」
一台で数百万人の諭吉達が吹き飛ばされるレベルの出力を誇り、買い手専用の
想像するだけで資本主義恐るべしとなるので、梓は考える事を止めた所で慧からメールが返ってきた。其の内容によると、ペンシルゴンは到着までもう少し、サンラクは後一時間は掛かり、慧は自分のチームメイトと合流してから、全一も同様との事で要するに到着順位は
「……………少し触ってみる、か?一応コレを使って『ギャラクシーヒーローズ:カオスのエキシビションマッチ』をするんだとすれば、丁度良い『準備運動』になるだろうし」
取り敢えず慧には、部屋に置かれたVRシステムチェアでギャラクシーヒーローズ:カオスをプレイする方法をメールを用いて聞き出し、返信メールを見ながらに起動してゲストプレイヤーとしてログイン。
そうして数十分、シャンフロシステムを搭載しているギャラクシーヒーローズシリーズ最新作に実装された、無作為に十体のプレイアブルキャラを動かしてログアウトし、プレイしたキャラの感想を纏め始めた。
先ずはギャラクシーヒーローズ:バーストでも使用し、シルヴィア・ゴールドバーグの持ちキャラでも有る『ミーティアス』。
流星の名を冠するヒーローキャラで有り、其の特徴は単純明快で全キャラ中『最高の機動力』を誇る事と、ヒロイックゲージを消費するゲージ技『スターロード』は、シャンフロのアバターたるペッパー・
スピードはピカイチだが攻撃力は低いので、敵をノックアウトするには必然的に手数と、防御の薄い場所を的確に叩き続ける事を要求されるキャラという印象。
次に慧ことKが前作の戦いで全一相手に使用し、九回の対戦で唯一引き分けの結果に持ち込む事が出来た『アムドラヴァ』…………ミーティアスと同じくヒーローキャラながら、軽量系スピードタイプのミーティアスと異なる、近距離から中距離戦を本領とするファイターで、最大の特色はアムドラヴァだけが持ち、両腕部もとい指先から肘部に在る『溶岩装甲』と呼ばれる特殊な部位。
其の箇所に触れている物質や
使用感はビルディファイトの自作キャラ『ノブナッシュ』と同じく、『敵の攻撃を受けて隙を狙ってのカウンターで仕留める』を基軸とする重量級キャラで、
ヴィランキャラの中では四人触ったが、其のヴィランキャラの中で自分のスタイルに合致したのが二人おり、一人目が『キルヴィスハピー』という所謂『ハーピー』の特色を余す事無く反映したキャラ。
そして此のキャラに関しては
普段は滑空機動やヴィラニックゲージ消費で緊急上昇と突発的下降を行うが、ゲージの大部分を消費する事で初めて繰り出せる
そして最後に『ユグドライア』、ヴィラニックゲージ消費で繰り出せる技『
設置技の使用感がシャンフロに置ける
特に『シャンフロシステム』を搭載し、現実世界の物理運動や原則を取り込んでいるからこそ、ユグドライア
「……………とまぁ、こんな感じだろうな」
「やっほー、あーくーん、あーけーてー?」
全米一位やダイナスカルの猛禽、そして他のアメリカチームの出場メンバーを考えた対策は必須と思っていれば、ゴンゴンゴンと部屋のドアを叩く音と天音 永遠の声が響く。
ドアノブを内から捻って開ければ、最新のティーン向けファッション雑誌に載っていたコーデを着こなし、朗らかな笑顔で立っていた。
「やぁやぁ、
「やぁ、永遠。服が似合ってるのと…………あっ、ちょっとだけ髪整えた?」
「ほほぅ…………其処に気付くとはぁ、中々やるじゃない♪」
「絶対気付くか気付かないかの、ギリギリのライン狙ったでしょ…………」
「あ、バレた?」
「悪辣ぅ…………」
ちゃんと自分を見てるか見てないかを確かめる為、難易度:超激ムズの間違い探しを仕掛けた事に苦笑しつつも、梓は恋人を招き入れて。
其れから数十分程度キスや身体を重ねで、軽めのイチャコラを展開、慧からのメールでサンラクが到着したのでシャワーを浴びて服を着付け直し、髪を乾かす最中もイチャイチャした二人は、サンラクに会いに行く為に彼の部屋へと向かったのだった…………。
部屋で待つだけが全てに非ず