VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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其のプロゲーマーは




猛禽と一等星に抗え(難易度:激ムズ)

アメリア・サリヴァン…………プロゲーミングチーム『Dinoscul(ダイナスカル)』に所属している『全米二位の格ゲーマー』。

 

鷹の目に相応しい鋭い目つきが非常に印象的な身長190cmに近い女性ながら、マッシブすぎないモデル体型と其の出で立ちで、写真集の売り上げに関してはシルヴィアを抜いている他、有名度合いではプロゲーマーとだけ在って天音 永遠よりも上であるとされている。

 

彼女を語る上でやはり有名なのは『重量級キャラをメインで扱いながら、全米二位に上り詰めた』という点が大きく、高機動と超変速に高次元のキャラクターコントロールを可能にする、全米一位のシルヴィア・ゴールドバーグが操るミーティアスに対して、鈍足と重装甲と高火力のキャラで勝ちこそ無いが手に汗握る激戦を演じる事でも有名だ。

 

何より彼女相手に生半可な機動力や挙動をすれば、誰隔て無く等しく撃墜されて倒されて来たのだという事実、そして何よりも魚臣(うおみ) (けい)以上の『負けず嫌いとプライド』を持つ、最も『リアル・カースドプリズンに近い女』とされている──────という。

 

「で、其の全米二位さんは『空中機動がリアルミーティアスと同格級のポテンシャルを秘めてる』という、ペッパーと戦う為に来日した。全一に関しては前に説明したから省くけども、やっぱりペッパーが原因だというのがね…………」

「大体ペッパーが原因じゃねーか」

「本当にすいません………」

 

肩を落として頭を下げた梓に、楽郎・慧の視線が刺さる。だが何時までも悲観している訳にもいかないので、改めて作戦会議と洒落込む事とした。

 

「………過ぎた事は仕方無いとして、一応三人には『ギャラクシアヒーローズ:カオス』の事を改めて説明しておくよ」

 

そうして慧は話し始めた。

 

先ずはギャラクシアヒーローズシリーズというゲームは、アメコミ『ギャラクシアコミック』に登場するヒーローやヴィランを作品問わず操作出来る所謂『クロスオーバータイトル』であり、前作の『ギャラクシアヒーローズ:バースト』とは()()()()()という事。

 

そしてアメリカの開発企業が、アホみたいな大金を積んだ上でUES──────シャングリラ・フロンティアの開発元『ユートピア・エンターテイメント・ソフトウェア』と、限定的になるが技術提供を受けて共同開発したという、米国ゲーム業界起死回生の一手という事だ。

 

「………成程、背景が大体解ってきた。要するにアメリアとマッチョマン三人衆は『シャンフロに似たゲームで数日間しか触れない』ので付け入る隙…………アドバンテージが有るが、シルヴィア・ゴールドバーグは『シャンフロを触ってるから』其のアドバンテージがあまり通用しない、と」

「丁寧な説明どうもありがとう。まぁ、ペッパーが言った事が大体の概要だと思ってくれて良い」

「ってなると、だ…………俺達がやるべきタスクは『全一をどうやってカッツォに繋いでブッ倒すか』ってこった」

 

唯でさえバーストでも無敗だった女王が、シャンフロというゲームに触れてシステム面を理解しているともなれば、既に戦う前から分が悪い賭けを仕掛けられていると、否応無しに理解させられる。

 

「シルヴィアの戦闘スタイルは端的に言うと『テンションファイター』、そして感じとしては『サンラク』と同じなんだ」

「そうなの?」

「マジで?」

「あぁ、バーストで一度戦ったが『スイッチ』が入った瞬間に、ギアが数段階『突発的に跳ね上がった』。此れは断言しても良い」

「取り敢えずシルヴィア対策で録画した、彼女の二年分の公式戦の映像が有るから良く見て欲しい」

 

そう言った慧に合わせる様に、恵が機器を操作して録画映像を流し始め。何度も何度も見返したプロゲーマー達は全一の挙動や其の凄まじさを、改めて己の知識として記憶に結び付け。

 

楽郎と永遠は、全一の挙動や出力を観ながら其の表情が固まり。梓は自身が経験した記憶の中に有る彼女の挙動やモーションと、新たに得られた映像とを脳内で結び付けては、記憶を最新バージョンへアップデートしていった。

 

「……………さて、御三方。全一の映像を見てどう思った?」

「成程、カッツォ君が言ってた事にも強ち間違いじゃないね。『アレ』を相手にするのかぁ私達………」

「常時パリィに成功補正が入ってるって思う返し方に、極まった先読みとキャラコンを行いながらリズムを自由自在に叩き付けてくる。要所要所真似出来る所は有るが、全部は流石に『無理臭いぞ』………?」

「少なくとも、俺でも彼女の挙動や思考を『完全に読み切るのは厳しい』ね。戦うにしても対戦時の彼女を観察しない事には、対策が難しいとしか言えない」

「まぁ、だろうね。一応念頭に入れとく程度に留めて、早速皆にはギャラクシアヒーローズ:カオスを体験して貰おう」

 

知ってたと言わんばかりの表情で慧はそう言って、本題となるゲームを先行プレイという名目の、本番に備えた実戦訓練開幕を宣言するのだった。

 

ルールとしては全員三時間の練習時間を設け、其の後に五人総当たり戦を行うが、条件として梓は『四人との対戦はミーティアスで完全固定』、楽郎は慧との戦いに限り『ミーティアスを使用する』といった内容で。

 

慧は補足として「ペッパーが操るミーティアスは直線と初速の条件下に限り、シルヴィのミーティアスに比肩する速度と出力が出せる。そして何より、シャンフロのミーティアスとも言わしめるだけの空中戦を、擬似的に体験すれば突破口が見える可能性が少しは広がる」と言ったのである。

 

そんな訳で作戦会議は一度切り上げ、五人用のチャット部屋を構築して時間になったら対戦に入る流れとなり、其々の宿泊部屋へと戻ったのだった…………。

 

 

 






ギャラクシアヒーローズ:カオスを体験せよ


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