さぁ、始めよう
「ミーティアスのスピードやバトルフィールドの状況も、ある程度だが把握出来た。後は初速かつ直線挙動による最高速度をもう少し応用出来れば、シルヴィアのミーティアスの速度や皆と対戦する時に役に立つかも知れない………」
ギャラクシアヒーローズ:カオスの舞台、アメリカをモチーフにしながらもアメリカではない架空の街『ケイオースシティ』にて、ヴィランとヒーローが、ヒーローとヒーローが、或いはヴィランとヴィランが己のままに己として『体験出来る』此の世界は、ギャラクシアレーベルを読んでいる人間からすれば『神ゲー』か『良ゲー』として認知されるだろう。
「しっかし、本当に良く出来たゲームだよ…………」
シャンフロシステム…………UESことユートピア・エンターテイメント・ソフトウェア、世界のあらゆるフルダイブ型VRゲームの数世代先を行く『シャングリラ・フロンティア』の根幹に宿り、現実世界の摂理や運動に現象を遜色無く発揮出来る物。
ヴィランキャラのキルヴィスハピーを使って
ヒーローキャラのミーティアスを使ってNPCヴィランに強盗から市民を助ければ、救助に対して感謝や敵の位置情報に関する有益な情報を獲得、或いは選択したキャラによっては市民や警察やらが何らかの形で此方を援護したりと、其の恩恵は地味な様で強大だ。
即ちプレイヤーはヒーローやヴィランとして、『ロールプレイ』をする事で其々の『ゲージ』を蓄積し、ゲージを消費して必殺技や
其れが『ゲージMAX状態』という条件を達成する事で初めて確保可能となる『ケイオースキューブ』であり、此れを手にした場合は相手がどんなに体力が万全だろうと、問答無用で勝利する事が可能になるという『一発逆転要素』、フィクサータイプやシーカータイプのキャラでも、戦闘タイプのキャラ相手に勝てる上に、ゲームに置けるプレイヤー同士の駆け引きをより高次元に高める『スパイス』だ。
ルールや設定によって、そもそもケイオースキューブ自体を出現させない事も可能だが、慧や恵が言うには『エキシビションマッチだからこそ、確実にケイオースキューブは勝敗要素に盛り込まれる』との見方が強く、其処も念頭に入れた上で作戦を立てる流れにはなった訳だが。
「他のキャラも其れなりに触ったし、サンラクに恵さんが何を使うかは解らないが、慧がアムドラヴァを使うと予想して、永遠に関しては『コイツ』ってのが一人居るんだよな………」
其のキャラの背景ストーリーにコミックの中の活躍、天音 永遠という人間の
此の手の類い相手には『会敵必殺』──────文字通り見付けた瞬間一気に片を付けなくては、自分が負けているなんて事が当たり前に起き得ると断言出来る。
「うーん………『短距離走のスパートを常に掛け続ける走行法』とか、そんな奴が有ったかな?」
ログアウトしてVRチェアより起き上がって、スマホを片手にネット検索を掛ける。今の時代、調べ物一つにしても簡単手軽で便利になった物だと思いつつ、キーワードを打ち込んで調べていき。
「此れは………いや、良い!此れなら『イケる』!!」
手に入れたヒントを元に、梓は再びギャラクシアヒーローズ:カオスの世界へとログインから、残された時間が許す限りミーティアスで練習を重ね。
そして…………対戦の時はやって来た。
『鉛筆ヒーロー とマッチングしました。キャラクター選択画面に移行します』
「初手から嘘を付く様なPNにしてるなぁ、永遠の奴………まぁ良いや。やる事は変わらないし、新しい走行方法も完成度は『25%』程度だが、初見殺しの手札として用いれるなら上等だろう」
解散からおよそ三時間が経過し、チャットで永遠と対戦する事になった梓は、慧からのオーダー通りにヒーローキャラの『ミーティアス』を選択。対する永遠は何を選ぶのかと思いつつも、十中八九『あのキャラ』の可能性が高いと踏んでいれば──────
「…………やっぱ『ソイツ』を選ぶよな、永遠なら」
彼女が選んだのは『クロックファイア』。
アメコミの一つ『ハイドロハンズ』出身の女ヴィランであり、とある『宝石』に魅入られた事で自身の左目を『抉って埋め込み』、其の果てに自作の爆弾で平穏が破壊されていくのが大好きになったという、快楽第一のサイコボマーにして『時限式爆弾』を好んで使う事から名前が付いたキャラだ。
罠を設置するという点ではヴィランキャラの一体・ユグドライアに似ている所は有れど、彼方が『カウンターを主軸とした設置を得意としている』のに対し、此方の場合は『能動的に動いて設置を得意』とするアタッカータイプという違いが有る。
『灰色胡椒 対 鉛筆ヒーローのマッチングクリア!』
『ミーティアス VS クロックファイア』
『鉛筆ヒーローがヴィランキャラを選択しました。よってヴィラン側に三十秒間のヴィラニックタイムが与えられます』
「三十秒の準備時間か………其の時間帯でヴィラン側はヒーロー側の到着前に、ゲージを溜めておけと言う訳ね」
此のゲームの特徴の一つに、プレイヤーαがヴィランキャラで、プレイヤーβがヒーローキャラを選択した場合、ヴィランキャラを選択したプレイヤーαには先行してゲージを稼ぐ時間が与えられる。
そしてプレイヤー同士の対戦時、両者共に必ず離れた位置から戦闘開始となり、此のケイオースシティ自体も箱庭型のフィールドとは言え、地下下水道やビルの高さも含めれば相当な広さを誇る為、其の気になって『かくれんぼ』されると見付けるのは至難の技だ。
『灰色胡椒、スタート!』
「さてと……………。此方がやる事は、最初から一つ」
兎にも角にも見敵必殺!一に発見、二に確殺!三と四に必殺、五は速攻!アイツみたいな黒幕魔王は、本調子に突入される前に叩き潰す!そう、まさにゴキブリの様に!!!……………此れ現実で言ったら先ず間違い無く、永遠本人やティーン連中含めて、ギッタンギッタンのボッコボコに干された上で、骨すら此の世に遺らんだろうなぁ。
「っし、行くか──────!」
クラウチングスタート態勢からスタートダッシュ、検索から得た新しい実装方法と共にアスファルトを蹴り、其の身は更に加速する。
そうして足裏より音は鳴り、電脳の街に流星が雷光の如く迸った。
電脳の街を駆け抜けて