VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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ハイスペチェアで、レッツシャンフロ




夜天に雷帝。覇雷を掲げ、獅子皇吼える

「シャンフロのダウンロードバージョン………セーブデータを引っ張って来れるとは思ったけど、ちゃんとログイン出来た様だ」

 

前回のプレイ時に鉱人族(ドワーフ)の国・地下都市ホルヴァルキンにて眠りに落ち(ログアウト)、そうして今しがた覚醒(ログイン)したペッパーは国の中に在る、借りた家屋のベッドにて目を覚まして起き上がる。

 

ベッドに目を向ければ、ヴォーパルバニーの騎士姿な魔術師のディアレと飲兵衛風来女のアイトゥイルの二羽は眠っており、夜襲のリュカオーンの分け身のノワと征服人形(コンキスタ・ドール)のヒトミは此方に気付いて静かに声を掛けて来た。

 

『クゥン』

契約者(マスター)、御目覚めの様だな」

「やぁ、ノワにヒトミさん。早速だけどガンタックさんの所に行って修繕して貰った武器やらを回収したら、新大陸の西側の探索に赴くよ」

 

今回の目的は新しい狩場を探す事、何時も同じ場所ではやはり人間というのは『飽きて』しまうのは必然だ。

 

何せヴォーパル魂がそうなのかは知らないが、サンラク曰く『水晶巣崖(マブダチの家)で採掘周回をしていた場合、兎達の視線が明らかに冷たくなった』と言った記憶が有り、強敵に挑む心意気を忘れぬ為にも、己の知見を広げておくに越した事は無いのだから。

 

ガンタックの元へと赴いて修繕された武器達を受け取って御礼を述べた後、ガンタックの元へやって来たミダス28世から『ディープスローターがペッパー殿が東の端に在る前線拠点で呼んでたと言って、鉱人族の同胞達と竜人族の勇士達が援軍の為に向かった』という情報を齎し。

 

そうして一人と一匹と一機は、新たな強敵や出会いを求めて動き出したのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歴代の赤竜達が生まれ、死地として定めて死したグレイブヤード積竜火山を出立し、彼と彼女等は一路北を目指して北上を続けて行く。

 

道中で新大陸の西側に存在するモンスターと同じ特色を持つ、巨大な身体になったモンスターと遭遇したりしたが、身体(アバター)に刻まれたリュカオーンの愛呪(あいじゅ)の影響で逃げ去るのを見ながら北へ北へと向かう。

 

火山地帯を抜けた事と冷寒地帯が近付いた事に伴い、気温低下を肌身で感じたペッパーは、インベントリアから一式装備で氷耐性:極を獲得する、アトランティクス・レプノルカの一式装備ことマクティスシリーズに変更。

 

ノワには防寒用のアクセサリーを付けて、此の先の冷寒地帯対策を講じていると、ヒトミは自身の化粧箱に収納していたらしい、オシノビ・カモフラージュ・パッケージwith冬場衣服に早着替えし、語らずとも表情から『冷寒地帯ばっちこい』と言っているかの様だ。

 

寧ろ装い自体が『冬場のスポーツ選手レベル』の気合の入り具合で、雪でも見付けたら『かまくら』やら『雪合戦』やら始めようとする熱量を感じるのは、おそらく気の所為では無い。

 

契約者(マスター)。残雪を発見したならば、雪合戦と雪遊びを提案します」

「今はレベリング場所探しだから、また今度ね」

「…………………絶句(は?):本気(マジ)で言っていますか?当機()は本気で泣きますよ?」

「えっ?」

 

そう言ったヒトミを見れば、此の世の終わりと言わんばかりの表情で膝から崩れ落ちる光景が展開され、ペッパーは彼女の思わぬ一面を刮目し、少なからず『ドン引き』する状況となったのである。

 

「……………じゃあ大きな雪だるまを一つ作ろう?」

感激(やった):なればこそ迅速に発見し、かつ最高の雪だるまを製作し(作り)ましょう」

 

折衷案として提示したアイディアに、ヒトミの表情がパァア!と希望に満ち溢れた物へと変わったのを見たペッパーは、彼女がこうなった理由を考えて。

 

其の先にバハムートの三番艦・ベヒーモスの第八階層に在るアンドリューのラボ──────其処に居るアンサーコード・トーカーが彼女にインストールした『Nパッチ』の影響が大きいと睨みつつも、兎に角先ずは冷寒地帯で雪を探さなければ話が進まないので、レベリング場所と雪探しを並行して進める事に決めた。

 

そんな一幕も有ったが、一行は冷寒地帯に足を踏み入れ、御目当ての残雪を見付けたヒトミは、見た目にそぐわぬ『大興奮』と共に小さな雪玉を作って、コロコロと転がしながら着実に丸く、大きな雪玉に仕立てる姿をペッパーとノワは見、此方も雪玉を作って頭として乗せる分を作りながら、同時にあまりにも『静か過ぎる』此のエリアに対する警戒を続ける。

 

リュカオーンの分け身が居る事、リュカオーンの寵愛の証の気配が在る事の両方を含めても、此の近辺にモンスターの一匹や一羽の姿も見えずに感じない点から、ペッパーとノワは『何かが起きた』と互いに距離感を維持し、ヒトミと一緒に雪玉を転がしながら視線を彼方へ此方へと向け。

 

万が一も含めて局極到六感(スート・イミュテーション)を点火から、周辺気配の感知方法を脳内で『通常状態』から『幕末仕様』の其れに切り替え、別のレトロアクションゲームに有った『明鏡止水の心構え』を意識。

 

ヒトミが野菜で鼻や目を作り、棒やらを突き刺して手袋にマフラー、帽子を被せて完成した『大きな雪だるま』をスクショ、時間経過による溶ける現象抑止の為にインベントリアの中へ収納した………………まさに其の時。

 

「ッ!」

 

()()()と。其れは闘気による空気の震撼か、或いは強烈な静電気が身体に襲い掛かった時の反応か。何方にせよ、何方で有れど、其の感覚は『新たな敵』の到来を感じさせるには充分な要素で。

 

其の数秒後、雷属性耐性:極を搭載するマクティスシリーズからでも『痺れ』を感じる程のパワーと共に()()が迸り、其れを受けたノワが嫌悪感を露わにし、ヒトミは電気に痺れてバグった挙動をし出したので、状態異常回復ポーションを飲ませてインベントリアへと直ぐ様避難させた刹那。

 

 

此の領域に電気を走らせた存在が、高所よりペッパーとノワの前へと真正面から飛び降りて、姿を見せたのだ。ペッパーとノワは此の存在を見ているし、同時に其の名を知っている。

 

其のモンスターの名は『レオ・ネメアレクス』…………夜襲のリュカオーンの威圧にも怯む所か、恐れる事すらせずに真っ向から挑みに掛かる、ある意味で脳筋ながらも何処か正々堂々とした王威を纏う『レアエネミー』。

 

漆黒の鬣を夜風に靡かせ、迸る蒼雷を蓄え雷光を放つ姿は、見方を変えれば『蒼い太陽』とも『蒼い満月』とも取れる様相と、産まれてから死する刹那まで『強者』との戦いを望むが故に、成体まで生き残れる個体が極めて少ない事から、シャンフロの世界観では帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)等と並ぶ『絶滅危惧種』とされている存在だ。

 

だがペッパー達が相対した個体は、本来ならば『漆黒』である筈の鬣が真逆の『純白』で、まるで成熟個体となったゴリラに良く見られる『シルバーバック』に似た雰囲気を宿し。

 

ラビッツで見た個体と異なり、鬣から放つ電気と光には『赤黒い色』が混じって、成熟した巨体から放たれる覇気は『七つの最強種(ユニークモンスター)達』と相対した時と同じ様な、とんでもない強敵が現れたのだと否応無しに理解させられる『威圧感』を持つ。

 

そして其の答えを、彼の前に提示された『画面』が告げていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『モンスター不世出の発見(ディスカバー·エクゾーディナリー)!』

『討伐対象:レオ・ネメアレクス"覇雷業封(サンダルダイン)"』

『エクゾーディナリーモンスターとの戦闘が開始されます』

 

 

 

 

 

「レアエネミーのエクゾーディナリーモンスター…………。嗚呼、ヤバいなコレは…………!」

 

覇気や視線含めて既に『ヤバい』と直感出来る程度には、此の赫黒雷を纏う此の獅子皇は『凄まじい』。

 

偶然か必然か、神にしか解らぬ不思議な巡り合わせの中、ペッパーは装備中の撃鉄(トリガー)シリーズの一つを、混海覇印(アルカ・ク=リンゼン)(スペリオル)へと切り替えながらに、通電対策として海喰の雑剣(バスタード・ブルー)を左手に取って装備し、ノワもまた覇雷業封を強敵と見定め戦闘態勢を整えた。

 

勇者と夜の帝王の分け身は此れより、相対せし老成なる獅子皇と死闘を演ずる。

 

 

 

 






狩場を変えたら、獅子が来た



レオ・ネメアレクス"覇雷業封(サンダルダイン)"

通常種のレオ・ネメアレクスが強くなる為に『無作為に強者へと喧嘩を吹っ掛ける脳筋思考の持ち主』ならば、覇雷業封は『自身の成長へ最も骨の有る相手を探し求めて彷徨い、見付け出して打倒する事』を至上としている、ある意味『自己進化と自己研鑽力』に秀でた不世出のレオ・ネメアレクス。

此のモンスターに搭載されているAIは、戦う相手の技量の見極めや引き際の判断に関する思考が、通常種に比べて兎にも角にも『遥かに上質な事』が大きく、力と知性と技術の三本柱を以てユニークモンスターを除く新大陸の環境下で『最高峰』の地位に登り詰めた老成個体。

幾千の修羅場を越えに超えた覇気は、生半可な存在には気絶という結果と共に相対する権利すら許さず、例え気絶を越えたとしても其の威圧を前に動けなければ、皇を前に『死』という結果のみが突き付けられる。

要するに『覇王色の覇気を纏った頂上戦争時点の白ひげ並の実力を持つレオ・ネメアレクス』と思って貰って良いし、討伐で獲得出来る不世出の奥義(エクゾーディナリースキル)は数在る奥義達の中で『大当たり枠』でもある。



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