そなたが手にする報酬は何ぞや?
「…………っはぁ!あー…………心臓に悪い……………」
長く続いた緊張による糸を解し、無呼吸状態から解放された様に息を吐く。思考加速とルート選択に用いた武器、一つでも選択を誤ったなら屍を晒したのは、間違い無く自分とノワだった。
決め手は臨界速による五度の加速中、
此のアクセサリーが持つ『肉質を問わず必ず一定のダメージを与える』という効果は、形振り構わず体力を削り続けて自身を強化するモンスター、自傷行動持ちのプレイヤーやNPC相手に圧倒的優位を獲得出来るレベルの出力で有る事からも、今後の使い方には気を付けなければならないだろう。
『ワン!』
「ノワ、御疲れ様。良く頑張ったね…………」
レオ・ネメアレクス"
小人や子供にヴォーパルバニー数羽程度なら、背中に乗せても大丈夫な大きさになった彼女が、果たして何処まで大きくなるのかと思いつつ、散乱した報酬を──────覇雷業封の遺産達に視線を移して回収していく。
「
持ち上げれば掌には確かな重さと、幾千の戦場を駆け抜けて続け、最期まで気高く在った獅子皇の力を犇々と感じる。武器やら何やらに使っても良いだろうが、最近ルートエンド・ミノタウロスの歴戦個体や今回の覇雷業封でも活躍した『
古匠ビィラック曰く──────
『焔将軍の両刃長剣は嘗ての縁より
──────と語っていたので、条件はクリアしているだろう。
「さて…………。あーあー『其処に隠れてる人』、怒らないから出て来て下さーい」
「何でバレた!?」
「自分からぶっちゃけたんだよなぁ…………」
色々と『熱い視線』が注がれれば、どんなに鈍感な人間でも気付くのは当たり前だ。
気配感知を幕末仕様に切り替えたままなので、此処等辺で元々の状態へ戻せば
人類で有りながら巨大な四肢と胴を持つ者………慈愛の聖女 イリステラの言っていた予言に準えれば、彼女は
「よく見れば、何で『夜の帝王』が此処に居るんだ!?」
「待って待って!?此の子はリュカオーンでは有るけど、リュカオーンの分け身なんです!」
「…………は?どういう事だ…………?」
「順を追って話しますから、落ち着いて聞いて下さい。先ずは──────」
今にも鞭を振るわんとしていた彼女に待ったを掛け、一つ一つ丁寧に此処に至るまでの経緯を話せば、彼女はあんぐりと口が開きっ放しになってしまった。
「──────という訳です」
「な、何と言う………。コホン、取り敢えずは名乗っておこう。私は『ヴェイノムスのルギニアス』。我が相棒『ヴェイノムス』と共に在る、誇り高き巨人族の戦士だ」
掲げる様に、或いは示す様に、己の得物を見せるルギニアスなる女巨人を見上げたペッパーは、巨人族は武器を含めた名前とする種族であり、武器に強い想い入れを持つ者達という認識の元、インベントリアから星帝剣グランシャリオを取り出し。
世界の真理書【深淵編】を開いた手に置いて、鞘に右手を当てて愛呪の装備不可能力を解除から、抜剣直後に七つの穴の一つに真理書を宝珠として納めて翳し、ルギニアスの自己紹介を真似て名乗りを挙げる。
「ヴェイノムスのルギニアスさん、俺は『グランシャリオのペッパー・
『ワゥウ』
「うむ、よろしく頼むぞ」
西の空が明るみを帯びる中、一人の勇者と一匹の分け身は巨人の女と巡り合った。
「にしても、ヴェイノムスのルギニアスさんは何故此処に?」
「
白竜ブライレイニェゴ──────天覇のジークヴルムのユニークシナリオEXに置ける討伐対象の一体。其れが動いているという事は、遠からず決戦フェーズが開幕する可能性が高い。そんな中、ルギニアスはこんな事を言ってきた。
「『
「…………ディープスローターさんが?」
「む?グランシャリオのペッパー・天津気よ、知っているのか?」
「えぇ、まぁ………。開拓者の間では知られている名前では有りますね………」
何故だろう、物凄く『嫌な感覚』が有る…………まさかとは思うが、ディープスローターが『此のシナリオ全体に何かしら関わっているのでは?』という、極々小さな疑念が生じる。だがしかし、確証に至る情報や証拠が少ない状態では、疑念も疑念のままでしか無いので、頭の片隅に留めるしか方法は無い。
取り敢えずノワは其の場にステイさせ、空中へと跳躍からの新大陸の空中写真撮影を行って降り立ち、ルギニアスに新大陸の東の端たる場所の『前線拠点』の位置を教えて、決戦の時にまた会える事を願い合って別れた後、時計を確認して『午前四時』だった事に驚愕。
使い捨て魔術媒体でホルヴァルキンへ、ノワと共にファストトラベルからの賃貸家屋のベッドにてログアウトしたが、一徹及び覇雷業封との激戦で溜まった疲労により、シャワーを浴びる前に最高峰のホテルのベッドへダイブして眠ってしまい。
そして次に目を覚ましたのは午前十一時半という絶望と、
後悔先に立たず