VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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そなたが手にする報酬は何ぞや?




後先考えぬ死闘の果てには、何時も後悔が残されている

「…………っはぁ!あー…………心臓に悪い……………」

 

長く続いた緊張による糸を解し、無呼吸状態から解放された様に息を吐く。思考加速とルート選択に用いた武器、一つでも選択を誤ったなら屍を晒したのは、間違い無く自分とノワだった。

 

決め手は臨界速による五度の加速中、金弓宝剛剣(ゴルト・ヴァーシュ)の剣モードによる斬撃一発と、弓モード時に射出した焔将軍(ほむらしょうぐん)両刃長剣(ロングソード)、老成の獅子皇に突き刺さった直剣の柄尻を混海覇印(アルカ・ク=リンゼン)(スペリオル)の貫通効果を付与して乗せた、大鎚武器の大海鐘(だいかいしょう)で打撃系同調連結スキルの『破戒と共に勅めて(シン・ザ・ブレイクエレフ)』と共にブッ叩いて致命に届かせた………というのが、やはり大きい。

 

此のアクセサリーが持つ『肉質を問わず必ず一定のダメージを与える』という効果は、形振り構わず体力を削り続けて自身を強化するモンスター、自傷行動持ちのプレイヤーやNPC相手に圧倒的優位を獲得出来るレベルの出力で有る事からも、今後の使い方には気を付けなければならないだろう。

 

『ワン!』

「ノワ、御疲れ様。良く頑張ったね…………」

 

レオ・ネメアレクス"覇雷業封(サンダルダイン)"との死闘を越えて用いた得物達を回収と、回復ポーションと封雲の撃鉄(タイタントリガー)(スペリオル)によるリジェネと雲の腕の操作で口に流し込み、レベルアップを通じて一段と大きくなって『頭の位置が胸元まで迫った』リュカオーンの分け身を思いっ切り撫でてやれば、御満悦とばかりに尻尾をブンブンと振りながらに顔を舐めまくって来る。

 

小人や子供にヴォーパルバニー数羽程度なら、背中に乗せても大丈夫な大きさになった彼女が、果たして何処まで大きくなるのかと思いつつ、散乱した報酬を──────覇雷業封の遺産達に視線を移して回収していく。

 

覇雷(はずち)獅子皇(ししおう)白亟毛皮(はくきょくけがわ)…………覇雷業封はそういう名前なのか。他には裂刃爪(れつじんそう)貫果牙(かんかが)爆雷顎(ばらあぎと)白冠鬣(はくかんたてがみ)超発雷器官(ちょうはつらいきかん)業雷器臓(ごうらいきぞう)強靭大骨(きょうじんだいこつ)究竟頂仙骨(くっきょうせんこつ)………どの素材からも『激レアな匂い』がプンプンするなぁ………」

 

持ち上げれば掌には確かな重さと、幾千の戦場を駆け抜けて続け、最期まで気高く在った獅子皇の力を犇々と感じる。武器やら何やらに使っても良いだろうが、最近ルートエンド・ミノタウロスの歴戦個体や今回の覇雷業封でも活躍した『焔将軍(ほむらしょうぐん)両刃長剣(ロングソード)』、其の強化か真化の素材に用いる事も検討したいのだ。

 

古匠ビィラック曰く──────

 

『焔将軍の両刃長剣は嘗ての縁より()()し、今はワリャと共に歩んどるのが此の武器なんじゃ。英傑武器に喩えんなら現在(いま)此奴(コイツ)再構築(リビルド)の段階に居るけぇ。後は『もっと強い奴等』と戦って死線と修羅場を超える事じゃな』

 

──────と語っていたので、条件はクリアしているだろう。

 

「さて…………。あーあー『其処に隠れてる人』、怒らないから出て来て下さーい」

「何でバレた!?」

「自分からぶっちゃけたんだよなぁ…………」

 

色々と『熱い視線』が注がれれば、どんなに鈍感な人間でも気付くのは当たり前だ。

 

気配感知を幕末仕様に切り替えたままなので、此処等辺で元々の状態へ戻せば()()()()と、岩肌の影から姿を見せたのは『全長三メートル程度のヴァイキング衣装の女巨人』が、其の手に使い熟していると思しき『倍近い全長の鞭』をぐるぐるに巻いて持っている。

 

人類で有りながら巨大な四肢と胴を持つ者………慈愛の聖女 イリステラの言っていた予言に準えれば、彼女は(おお)きな人こと『巨人族(ギガント)』だろう。

 

「よく見れば、何で『夜の帝王』が此処に居るんだ!?」

「待って待って!?此の子はリュカオーンでは有るけど、リュカオーンの分け身なんです!」

「…………は?どういう事だ…………?」

「順を追って話しますから、落ち着いて聞いて下さい。先ずは──────」

 

今にも鞭を振るわんとしていた彼女に待ったを掛け、一つ一つ丁寧に此処に至るまでの経緯を話せば、彼女はあんぐりと口が開きっ放しになってしまった。

 

「──────という訳です」

「な、何と言う………。コホン、取り敢えずは名乗っておこう。私は『ヴェイノムスのルギニアス』。我が相棒『ヴェイノムス』と共に在る、誇り高き巨人族の戦士だ」

 

掲げる様に、或いは示す様に、己の得物を見せるルギニアスなる女巨人を見上げたペッパーは、巨人族は武器を含めた名前とする種族であり、武器に強い想い入れを持つ者達という認識の元、インベントリアから星帝剣グランシャリオを取り出し。

 

世界の真理書【深淵編】を開いた手に置いて、鞘に右手を当てて愛呪の装備不可能力を解除から、抜剣直後に七つの穴の一つに真理書を宝珠として納めて翳し、ルギニアスの自己紹介を真似て名乗りを挙げる。

 

「ヴェイノムスのルギニアスさん、俺は『グランシャリオのペッパー・天津気(アマツキ)』と言います。此方はリュカオーンの分け身のノワ、どうぞ御見知り置きを」

『ワゥウ』

「うむ、よろしく頼むぞ」

 

西の空が明るみを帯びる中、一人の勇者と一匹の分け身は巨人の女と巡り合った。

 

「にしても、ヴェイノムスのルギニアスさんは何故此処に?」

無双の双剣(モラ・ベガルタ)のディルナディアや無双の双剣(モラ・ベガルタ)のフィオネ達が、『白竜ブライレイニェゴ』の討伐に赴いたのだが、私は準備に手間取ってしまい遅れてしまってな………。皆の後を一生懸命に追って居た所に、黒い雷の気配を感じて辿り着いた所、グランシャリオのペッパー・天津気と獅子皇が戦っているのを目撃したんだ」

 

白竜ブライレイニェゴ──────天覇のジークヴルムのユニークシナリオEXに置ける討伐対象の一体。其れが動いているという事は、遠からず決戦フェーズが開幕する可能性が高い。そんな中、ルギニアスはこんな事を言ってきた。

 

「『実現杖(ザ・デザイアー)のディープスローター』曰く、『白竜は新大陸の東の端へと向かっている』と伝えたが。此処から何とかして、先に発った皆と追い付ければ良いのだが…………」

「…………ディープスローターさんが?」

「む?グランシャリオのペッパー・天津気よ、知っているのか?」

「えぇ、まぁ………。開拓者の間では知られている名前では有りますね………」

 

何故だろう、物凄く『嫌な感覚』が有る…………まさかとは思うが、ディープスローターが『此のシナリオ全体に何かしら関わっているのでは?』という、極々小さな疑念が生じる。だがしかし、確証に至る情報や証拠が少ない状態では、疑念も疑念のままでしか無いので、頭の片隅に留めるしか方法は無い。

 

取り敢えずノワは其の場にステイさせ、空中へと跳躍からの新大陸の空中写真撮影を行って降り立ち、ルギニアスに新大陸の東の端たる場所の『前線拠点』の位置を教えて、決戦の時にまた会える事を願い合って別れた後、時計を確認して『午前四時』だった事に驚愕。

 

使い捨て魔術媒体でホルヴァルキンへ、ノワと共にファストトラベルからの賃貸家屋のベッドにてログアウトしたが、一徹及び覇雷業封との激戦で溜まった疲労により、シャワーを浴びる前に最高峰のホテルのベッドへダイブして眠ってしまい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして次に目を覚ましたのは午前十一時半という絶望と、魚臣 慧(プロゲーマー)によって二日目のエキシビションマッチの出場ネームを『A-Z』に決められたという絶望の、クロスボンバーを諸に食らう羽目になったのであった。

 

 

 






後悔先に立たず


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