VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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遅刻の代償は高く付く




全米一位&二位打倒チームX

「一徹は、身体に良くない、おごごごご…………」

「俳句かな?」

「季語は?」

「一徹」

「ゲーマーあるあるだわな………」

 

何と言うか今は猛烈に後悔している。タイムマシンが在ったなら昨夜の自分を寝落ちる前に引っ叩いて、覚醒させたままにしたかった程度には。

 

今日の正午までに出場ネームを決めなければならなかった中、魚臣(うおみ) (けい)によってレトロゲームセンターで使っているプレイヤーネームを『丸々其のまま』使われた挙句に、同じく寝坊した楽郎と一緒に明日のエキシビションマッチの作戦会議終了まで、食事は御預けにされてしまった。

 

「取り敢えず楽郎と永遠の出場ネームって決まってるの?」

「俺は『顔隠し(ノーフェイス)』だな。」

「私は『名前隠し(ノーネーム)』、流石に其のまま出場になったら色々大変だしね〜」

 

『自分の本性を知られたら今の仕事が減少するからだろ』のツッコミは、流石に野暮だろうし言わぬが花だ。其れを言ったら楽郎はゲームでボコボコに凹まされ、此方は走馬灯不可避レベルでベッドで搾り取られる未来しか見えない。

 

永遠と戦った楽郎曰く『ペンシルゴンとギャラクシアヒーローズ:カオスとの相性は()()()()()最高過ぎるし、下手したら手が付けられなくなるレベル』との事で、彼女に対する最適解は昨日の練習でペッパーがやった様に『悪巧みをされる前に捜し出して、さっさと叩き潰すのが一番』なのだとか。

 

「あ、そうそう。サンラク君とあーくんさ、折角エキシビションに出るなら『一緒にコスプレ』しない?」

「「コスプレ?」」

「うん。二人の出場名に因んだ、カリスマモデル直々のコーディネートだよん♪」

 

顔隠しとA-Zに因んだ衣装らしいが、果たして何になるのやら。「さっき速達便を頼んで、今日の夜には届く事になったから後で二人に渡しに行くね」と彼女が言ったので、輸送技術も随分と進歩した物だ。

 

「其れでだ。出場ネームは決めたし提出もしたけど、明日『誰が何番目に出場するか』を決めようと思うんだけど良いか?」

「シルヴィア・ゴールドバーグとアメリア・サリヴァンが何番手に来るかは判らんが、シルヴィはカッツォとアメリアはペッパーと戦いたいらしいし、其れを加味した順番で良いんじゃね?」

「いや、万が一にもアクシデントが有ったりしたら不味いだろうし、其れに備えた『幾つかプラン』を用意しておこう。何も起きなければ問題無いし、慧にとっては『研鑽の証明』な訳だからね」

 

使うキャラを絞り、アメリカのプロチームメンバー相手にどのキャラを当てるかを考え、此方のチームで欠員が出た場合のリカバリーを踏まえた『複数のプラン』を五人は構築。

 

最終的に恵が先鋒の永遠が次鋒、楽郎と梓の二人はシルヴィアとアメリアの出場順に応じて変更、大将を慧とする事で決定となったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は正午まで遡り、ホテルグランドスプリーム内のレストラン。

 

『ふぁぁ………ねむい………』

『シルヴィ、本当なら午前中からギャラクシアヒーローズ:カオスのトレーニングをする予定だった筈だが、既に昼過ぎだぞ。アメリアも同じ事を言ったが、一体どういう理由(ワケ)だ?』

 

大きな欠伸をしながらテーブル席の一画に座ってきた全米一位の格ゲーマー(シルヴィア・ゴールドバーグ)に、三人のマッチョマンの一人で最も背が高い『ジョンソン・ショーン・アンダーウッド』が、横目で全米二位の格ゲーマー『アメリア・サリヴァン』を見ながら問い掛けて来た。

 

アメリア本人も少し眠たげな様子ながら、きっちりと昼食を食べ終えて眠気覚ましのコーヒーを飲み干したらしく、普段は敵同士ながら今回は共に戦う事になっている彼女を見ている。

 

『いやぁ、何時やっても楽しいんだよねぇ。やっぱ夢中になると時間を忘れちゃうよ〜』

『…………聞いた限りじゃ、早く寝るとか言ってたよな?』

『アメリアも同じだったが………多分別のゲームをしてたな。件の神ゲーって言われてるタイトルだろ』

『あぁ、シャングリラ・フロンティア………だっけか』

『あったりまえじゃん!』

『『やっぱりか(よ)』』

 

ジェイソンに次いで答えたのは、ヒスパニック系の細マッチョな見た目で中々のルックスを持つ『ルーカス・ガルシア』であり、此の中では最もIQや知能が高い頭脳派の格ゲーマーとして知られている。

 

『あ!オーダー、オネガイシヤス!』

『はい、ただいま』

 

近くを通り掛かった店員に挙手してメニューを開くシルヴィ、店員もまた複数人のマッチョマンを前にしながらも、努めて冷静に一際小さな彼女の注文を聞き逃さない様に心掛けている様だ。

 

『エート………、ステーキ900グラム、四人前。ミディアム一人にレア二人、ウェルダン一人とレア一人トウェルダンハガーリック多メデ』

『ステーキ900g、ミディアム一つレア二つにウェルダン一つ。レア一つとウェルダン一つがガーリック多め。以上でよろしいでしょうか?』

『ヨロシイデス!』

『焼き上がりまで御時間を頂きますが、よろしいでしょうか?』

『ハーイ、オネガイシマース!』

『畏まりました』

 

英語で対応して日本の『オ・モ・テ・ナ・シ』からなる一礼と共に厨房へと向かった店員を見送り、ジェイソンはシルヴィに問う。

 

『まさかとは思うが、さっきのオーダー全部一人で食うつもりか?』

『当然ッ。此れからトレーニングなんだし、カロリーは入れとかないとね♪』

『相変わらずの健啖家だ、寝起きで其の量いくかね』

『胃袋も世界一ってか………』

 

呆れる様に言ったジェイソンに、其れも彼女の強さの秘訣かと見定めるアメリアだが、ルーカスは何処か不満気に言った。

 

『しっかし結局、日本観光は出来なかったな………。日本食の食べ歩きがしたかった………』

『食べ歩き、ねぇ…………ナンパの間違いだろ、ルーカス』

『私が言うのも何だが、其の内刺されても不思議じゃないと思うがな』

『あ、何だって?』

『君達、ちょっと静かにしてくれないか。──────『彼女の声』が聴こえない』

 

一触即発のバチバチの最中、金髪の暑苦しい顔立ちの男『アレックス・テイラー』が、耳元にスマフォを当てながらに放ったの声はスッと四人響いた。

 

目を閉じて聴覚に全神経を注ぎ、スマフォに『録音した声をリピート再生し続ける』という、およそ『普通では無い行動をしている』彼に、ルーカスは引き攣った顔で聞く。

 

『お前、其れ………電話の録音じゃなかったか………?もう数十回は聞いてるんじゃねぇか?』

『あぁ、例の日本(ジャパン)彼女(ハニー)だったか………』

『あぁ、そうとも!彼女の声は聖母マリアよりも優しく、俺の心を包んで、何時だって俺に勇気と力をくれるんだ!』

『『『イカれてらぁ…………』』』

 

シルヴィアと同じチームメンバー全員がドン引きする中、五人のスマフォにメールが届く。其れは明日のエキシビションマッチにて戦う相手チーム、『爆薬分隊(ニトロスクワッド)』の出場メンバー決定の通知でもあった。

 

『お、どうやら明日のエキシビションマッチの相手のメンバーが決まった様だ』

『みたいだな…………ん?』

 

五人の視線がスマフォの画面に向き、其の名簿の中に在った名前に注目が集まる。其処には自分達が戦う『K』と『Nu2meg』は爆薬分隊の一軍メンバーと知ってはいる物の、其れ以外の『No Face』と『No Name』に『A-Z』は聞いた事も無い連中だった。

 

『顔隠しと名前隠しにA-Z………?』

『聞いた事が無いネームだな、誰だコイツは?』

『さぁ?だが、K以外はどうとでもなるだろう』

『にしても此のA-Zってのは、まさかとは思うが………AZ、か?』

 

ジェイソンとルーカスにアレックスが首を傾げ、大将格の慧を見据えながらも、一つの名前に警戒色を示し。

 

シルヴィアは其の名前に『心の底からの笑み』を浮かべ、アメリアは其の名前に『目を見開いて獰猛な笑み』を浮かべていたのである…………。

 

 






プロが知らぬ助っ人達(一名は別)

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