VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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開幕




顔合わせよりバチバチと、エキシビションに熱は入る

『御集まりの皆様!大変長らく御待たせ致しました!只今より、ギャラクシアヒーローズ・カオスの実機プレイ!エキシビションマッチを始めさせて頂きたいと思います!』

 

午前十時、ギャラクシアヒーローズ:カオスのエキシビションマッチ開催会場にてスポットライトが灯り、中央のステージに二つのフルダイブVRシステムチェアの最新バージョンと、一人の女性の姿を衆人観衆の前にて照らし示す。

 

同時に会場内のライトが調節され、ダンスホールめいた変色の連続と今回のGGCのテーマソングと共に、観客席の人々の声とボルテージの高揚を演出する。

 

『本日のエキシビションマッチ、司会進行兼実況は(わたくし)笹原(ささはら) エイト』が!解説はプロゲーミングチーム『若野牛(コルトバイソン)』より『浅間(あさま) 絢斗(あやと)』さんで御送り致します!本日はどうぞよろしく御願い致します!』

『どうも、解説出来るレベルに格ゲーをメインにはしていませんが………えぇ、どうぞよろしく』

 

眼鏡を掛けたスーツ姿の二十代後半の男性が、解説席からマイクを通じて声を発せば、観客席からは歓声が響き渡る。

 

「さて、早速になりますが!両チームの選手達に入場して貰いましょう!先ずは此方!アメリカ大手マルチプロゲーミングチーム『Zodiac(ゾディアック) Cluster(クラスタ)』、其の格ゲー部門『Star(スター) Rain(レイン)』!ですが!今回のチームには『もう一人』ッッッ、スペシャルなゲストが加わった!」

 

「えっ、なになに?」やら「何だ何だ?」と観客がざわつく中、チラッと横目でカンペを見たエイトは其の内容に若干表情が固まりつつも、其のまま棒読みにする事はせずにアレンジを加えて、己の言葉で観客達に伝えに行く。

 

「さぁ、入場です!スペシャルゲストを…………『ダイナスカルの猛禽』こと『アメリア・サリヴァン』を加えた、夢の様なタッグチームの御出ましだーーーーーーー!!!」

 

其の名に観客がざわつく中、白いスモークが上がってスポットライトが片方の入場口に集中。

 

シルエットより現れたのは、全米一位の格ゲーマーたるシルヴィア・ゴールドバーグに、Star Rainの一軍メンバーのルーカス・ガルシア、ジョンソン・ショーン・アンダーウッド、アレックス・テイラーと世界大会でも活躍する選りすぐりのメンバー達。

 

そして──────全米二位でシルヴィア相手に熱く、燃える様なバトルを繰り広げる、アメリカ屈指の実力者のアメリア・サリヴァンも出て来たのだ。

 

「え、うそ!?マジ!?」

「本物じゃねーか!?」

「シルヴィとアメリアが一緒に戦うって、スゲェ………スゲェよ………!」

「ドリームチームだ!」

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

ある者は大興奮、ある者はアメリカチームのガチ具合にビビり、ある者はコレを相手取る日本チームに同情する中、エイトは会場の盛り上がりに言及する。

 

『いやぁ〜………。此れは凄いですね、浅間さん…………』

『えぇ。シルヴィの『無敗記録を更新し続ける』名声や実力も凄いですが、アメリアも大会及び公式戦の総合勝率が『七割に下回った事が無い』。しかし此の二人がタッグを組むとは、一体何が有ったんでしょうね………』

『ですねぇ〜。さぁ、そんなアメリカのドリームチームに相手に戦うのは、我等が日本のマルチゲーミングチーム『電脳大戦(サイバー・バタリオン)』の格闘ゲーム部門──────『爆薬分隊(ニトロスクワッド)』ですッッッ!』

 

アメリカチーム同様、スモークとスポットライトが満たし、シルエットを映し出し、そして現れた『四人』に観客達は目を見開く。

 

何故ならば四人の内の三人、即ち『夏目(なつめ) (めぐみ)ことNu2meg(ナツメグ)以外の全員がコスプレしていた』事に驚愕したのだ。

 

「おいおい、何だありゃ………」

「何時の間に爆薬分隊はコスプレ集団になったんだ?」

「ってか一人足りなくない?」

「Kは何処だ〜!!!」

『な、何と言うか………皆さん個性的ですね!』

『そうですね。実力も未知数で何を仕掛けて来るか解らない、そんな怖さと強さを秘めている様にも感じます』

 

エイトや絢斗が各々喋る中、シルヴィとアメリアの視線は一人のコスプレイヤー……………『四人の中でオリジナルコーデらしき一人』に注がれる中で、互いのチームがステージに上がって向かい合う。

 

『パンプキンヘッドに女騎士、アレのどっちかがNo NameとNo Faceか?』

『楽しそうでイイね!』

「…………なぁ、あちらさんが何言ってるか解る奴居る?」

「えーと………此方の彼が顔隠しと名前隠しはどっちってのと、そちらの彼は楽しそうって言ってるね」

『!ほぉ、アンタ英語解るのか?』

『まぁ、簡単な会話くらいなら出来るけれど』

 

ジェイソンとアレックスの言葉を和訳、顔隠しに伝えた所でルーカスが興味を示して話し掛けたので、A-Zは彼へと簡潔に英語で答える。

 

『アンタがシルヴィが言ってた『AZ』か』

『…………アメリア・サリヴァンさん、初めまして』

 

そんなルーカスの会話を遮り、アメリアがA-Zと真正面で対峙する。猛禽と言われる理由にも意味が有ると解る鋭利な目付きだ、此れから彼女含めた世界の強豪と戦う事実が伸し掛ってくるが、フレンチフルコースの為にも下手な戦いは出来ない。

 

『あ、あれ?爆薬分隊側のメンバーが一人足りないようですが…………?』

「あぁ、大丈夫大丈夫。彼、現在進行系でちょっとした『戦争中』だから」

「そうそう、ちょっとトイレに戦争をしに………ね」

「大トリの大将格だし、彼は必ず来るよ」

 

其の為の時間稼ぎだ、其の為に策を講じてきたのだ。絶対に通してみせる。

 

『は、はぁ………其れでは改めましてエキシビションマッチのルール説明!今回の戦闘形式はシンプルな勝ち抜き戦、しかしながらギャラクシア・ヒーローズ:カオスは、前作とは全く異なるルールの新感覚格闘ゲーム!フィールドたるシティモード『喧騒(ライブリー)』、キューブゲットルールは『オン』に設定されています!』

 

更に!とエイトが指先に在るは、天井に吊るされた巨大な四方スクリーン。同時に展開されたのは『Babel(バベル)』という五文字。

 

『今回のギャラクシアヒーローズ:カオスと同じく、今秋ユートピアコンピュータエンターテイメントが世界へリリースする新機能、『Babel』についても御説明させていただきます!既にご存知の方もいらっしゃられるかもしれませんが、バベルとはUCEがサービス提供するフルダイブシステムに今秋九月末にリリースを予定している「リアルタイム・トランスレート・システム」の事です!』

「アレがA-Zが言った、リアルタイム翻訳システムだっけか?」

「うん。アレを使えば外国のプレイヤーとも、スムーズに会話出来る様になるっていう、少なからず『トンデモシステム』な匂いがする」

「此方の言葉が翻訳されるって事は、当然利用する価値が在るってね」

「一応ロールプレイは通る………のよね?」

「うん、大丈夫」

 

シャンフロシステムしかり、Babelしかり、ユートピア社の開発陣は化物揃いと見える。そんな化物開発陣が作ったシステムだからこそ、其処に突破口が在るのだから。

 

『今回のエキシビションマッチでは此の『Babel』が先行実装されており、日本のプロゲーミングチーム:爆薬分隊とアメリカのプロゲーミングチーム:スターレインの選手の皆様は、ゲーム内において言語の壁を気にする事無くコミュニケーションが出来るのですっ!!』

 

此のシステムが有れば、此方のロールプレイを通す事も容易くなる。即ちシャンフロシステムの根幹の一つある要素を、此の電脳と喧騒の都心にて振るう事が容易となるのだ。

 

『では早速開始しましょう!ギャラクシアヒーローズ:カオス、エキシビションマッチ!第一回戦は爆薬分隊からは『A-Z』選手、Star Rainからは『アメリア・サリヴァン』選手です!』

「さて、と………だ。初手から相手もフルスロットルで来た以上、此方もフルスロットルでぶつかりに行って来るよ」

「頑張れよ、A-Z」

「あーくん、ファイト!」

「気を付けて」

 

控え場所に三人を見送り、中央ステージに残ったA-Zはアメリアと対峙する。

 

第一試合、ダイナスカルの猛禽ことアメリア・サリヴァンと、最強のレトロゲーマー・A-Zの試合が此処に開幕する。

 

 

 






初戦より大爆裂


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