さぁ、見せよ
『さぁ、いよいよ始まります第一試合!
『アメリア選手は前作のバースト含め、あらゆる格ゲーで高い総合勝率を誇るプレイヤー。片やA-Z選手ですが『一切情報が無い』という点で、何を仕掛けて来るか解らないという所が脅威と成り得るかに注目したいですね』
アメリア・サリヴァンが初手から来た場合、温まっていないサンラクや恵にペンシルゴンが押し込まれ、一気に慧まで出番が回ってしまう可能性を考慮して、自分を一番手にしたのは我ながら良い判断だったと思う。
彼女が扱うキャラは中量級から重量級のキャラが大半を占めるが、かと言って軽量級キャラが使えない訳では無い以上、相手の手を絞り込むのは完全に難しい──────が、相手の使うキャラを『絞り込ませる方法』ならば有るし、知っているA-Zはキャラ選択画面で迷うこと無く『其れ』を選ぶ。
『おっと、A-Z選手はキャラ選択完了の様で…………!?ってミーティアス!?ミーティアスだ!!』
『しかも此のカラーリング、まさかとは思いますが…………』
実況のエイトがA-Zが選んだキャラに驚き、絢斗はミーティアスのカラーに既視感を抱いた。
何故なら彼が選んだミーティアスは『蒼と黒のラインが引かれた』、少しダークな雰囲気を醸し出す流星であり、前作のバーストにて其の勇姿を観ていた者からすれば、いやまさか?という疑問や疑念を抱かせるには充分な要素。
そして其れを見たアメリアもまた、自分の前に全一以外で『
『アメリア選手は…………か、カースドプリズン!?カースドプリズンだ!カースドプリズンをぶつけに来た!まさかの原作のヒーロー対ヴィランのマッチングだぁああああ!!』
黒いオーラを布の様に靡かせ、巨大な腕と装甲を纏った上半身と、細い脚に膝先からはオーラでブーツを型取りながら、胸の中心に太陽の如く光と輝きを宿す、呪われた監獄がピックされたのだ。
アメリア・サリヴァンというプレイヤーは、ゲーマー最強論争のアメリカ部門に置いて、常にシルヴィア・ゴールドバーグと切っても切れない関係に有る。
全米一位の流星に呪われた監獄で挑み、幾度苛烈に全力で叩きのめされようとも立ち上がり、後もう少しという段階まで至った其の実力に、脳を焼かれた観客やプレイヤーも少なからず居るし、シルヴィ以上に知名度やコアなファンが多いというのも、彼女の名が常に出て来る理由の一つだったりする。
『てっきり重量キャラの『ゼノセルグス』を使って来るかと睨んでいたが、まさかカースドプリズンだとは………』
『そういうアンタはミーティアスたぁ、アタシやシルヴィへの『当て付け』か何かか?』
『当て付け?まさか。そっちに『全力で勝ちに行く為』の、最高のキャラだからだよ』
Babelによって翻訳された会話によって、意思疎通がスムーズに行われている事を確認しつつ、A-Zは改めて脳内のタスクとカースドプリズンの情報を記憶の海よりサルベージし、戦闘中の整理・整頓・精査・反映が出来る様に準備を整える。
同時に始まる、第一試合の第一ラウンド開幕を告げる音。アメリアがヴィランキャラを選んだ事によるヴィラニックタイムで、ヴィラン側に三十秒間+ヒーロー到着までの準備猶予が与えられた中で、カースドプリズンは流星を
カースドプリズンはラウンド開始時、自身のスタート地点に必ず『トラック』がオブジェクトとして配置され、其の中にはガトリング砲を含んだ武器等が入っており、キャラの特性で『破壊したオブジェクトの残骸を吸収装着する能力』が有り、其の上限は『バイクや自動車といった乗り物』を破壊し、其のエンジン部を取り込む事で上限を高め、鈍重な巨体や機動を補強していくといったコンセプトを持つ。
デフォルトでも高火力を出せる腕でトラックを叩き壊し、中に入っていたガトリングガンや武装にトラックの残骸を取り込み、手始めにエイム調整とばかりに停車中の乗用車をガトリングガンの掃射で薙ぎ払い爆散させ、
「きゃあああああ!」
「ヴィ、ヴィランだ!?」
「逃げろぉ!!」
「反動や爆発に衝撃………どうやら今迄の格ゲーとの勝手が『全く違う』様だ」
違和感無く起こる現象をアバターのカースドプリズン越しに感じ、其れでも支障無しとしてアメリアはガトリングガンを放ち続ける中、爆発に巻き込まれたNPCの悲鳴や動揺が街に木霊して。
「だ、誰か……誰か助けて………ヒーロー!」
「──────もう、大丈夫ッ!」
悪によって平和が踏み躙られ、平穏に危害が加えるのであれば。
「俺が…………ミーティアスが来たからね」
閃光と共に到来せし流星が、怪我をした市民を拾って安全圏まで逃がす。正義は何時の時も、蔓延る悪を滅する為に立ち上がるのだから。
ラウンド開始から八十一秒、
『……………
『ん?何がだ?』
『アメリアが居る位置に、ミーティアスが到着するまでの時間だよ。私がミーティアスを動かした場合、障害物と道中の妨害無しで平均『七十から八十秒』は掛かる』
『……………確かに早いな』
『良いスピードじゃないか』
ケイオースシティを駆けて、ビルの隙間と空中を走り、アメリアのカースドプリズンが乗用車を破壊する音を聞き、現場へと急行する際のモーションを観ていたシルヴィアがそう呟き、ルーカスが問い掛けて彼女が答え、彼女との練習でタイムを思い出したジェイソンとアレックスが同意した。
(バーストから『かなり鍛えた』みたい。以前よりもずっと早いし、何より空中での姿勢制御とキャラコントロールに磨きが掛かってる)
観客達に両陣営の参加者達が見つめる画面に映るは、市民を安全圏に逃がして立ち上がる蒼黒のミーティアスと、装甲を武装を纏いガトリングガンの銃口を向けるカースドプリズン。
「
「あ?いきなり何だ?」
「……………まぁ、良い………かッッッッッ!!」
会話と静寂は一瞬、ミーティアスが加速を開始してカースドプリズンの持つ回転機銃が火を噴き、流星が跳躍回避からゲージ技・スターロードを起動。蒼空を踏み、一歩目を出した瞬間──────
「ッオラァ!!!」
「むぉ!?」
ビルの間を五度に渡る蒼と黒の光が迸り、弾幕の雨の到来よりも疾いキックが、回転するガトリングガンを真上から蹴り貫き、フレームを歪ませ。
「おいどうした、カースドプリズン!其の鎧を脱ぎたきゃ、もっと
「何を言ってる!?」
「此のゲームの
フレームが拉げて機能しなくなった
ギャラクシアヒーローズ:カオス、此のゲームは唯の格ゲーに有らず。
其の本質は『リアルタイムシミュレーションゲーム』なのだから。
星は輝く